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2018年5月16日 (水)

がん患者の微生物検査とは

患者情報をどう微生物検査に活かすのか?という命題は昔から言われていますが、あまり具体的な話はありません。理由の一つとして検体種別で分類し検査内容を決めている、分離された菌はどれを取るか決めているなど検査側に変化がないからである。

近年のがん治療は、肺がんを例に取ると「切らずに治す」というスタイルが主流になりつつあります。がん患者には感染症がつきものですが、がん患者だからといって特別な菌ばかりではありません。
治療する上で、細胞性免疫が下がる病態であれば、結核菌やノカルジア、リステリア菌が分離されやすくなり、液性免疫が下がる病態であれば肺炎球菌が分離されやすくなります。がん患者は、治療によるバリア破綻が増えることもあり、コモンな菌も侵入しやすい状況があります。つまり、ノカルジアやリステリア菌だけでなく、肺炎球菌や大腸菌、クレブシエラなども分離する機会が増えます。
そうすると抗生剤を投与する機会が増えるので、耐性菌が出現しやすい環境ができます。耐性菌といってもESBLやCREといった獲得耐性だけでなく、腸球菌やエンテロバクターなどの自然耐性を持つ菌が増えます。
写真は腸球菌ですが、腸球菌はもともとセフェム耐性ですが、ペニシリンが第一選択になると参考書には書かれています。セフェムが効かなくて、ペニシリンが効くのは細胞壁の構成がStreptococcusと異なるからです。
また、ペニシリンが効くのは、腸球菌の中でも分離頻度が一番高いE. faecalisのことであり、2番めに高いE. faeciumはペニシリン耐性のことが多いですため、腸球菌と言ってしまうと、「あれ、腸球菌なのにペニシリン耐性じゃん」とい結果が待っています。
2
がんでENBDの閉塞を繰り返す患者の胆汁。

E. faeciumはE. faecalisより少し丸みのある短連鎖が特徴です。
これが微生物検査のアウトプットをどのように考えるかです。
インプットでがん患者の情報を得る、がん患者がどのような菌がでてきやすい。
そのためにベストの結果をだせるように微生物検査は頑張る。そういう微生物検査にしたいと思います。
来週の大臨技ではそのような話をしたいと思いますので宜しくお願いします。

http://www.osaka-amt.or.jp/cgi-bin/sche/sche35.cgi?cm=1

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2018年5月15日 (火)

【ご案内】第30回臨床微生物迅速診断研究会総会開催のお知らせ

グラム染色とググったらトップに出てきた、本ブログですが今や2ページ目になってしまいました。管理人の私は4月に異動となり別の病院で働き始めました。

いや、異動すると3ヶ月は落ち着かないよと言われますが、周囲の人は変わり、物品を購入したり、あらゆる申請など様式も異なるので、今までのようにいきませんね。
とは言え、グラム染色のお話は続けていきますので宜しくお願いします。
さて、6月に第30回臨床微生物迅速診断研究会総会が天理医療技術大学の小松先生が総会長で、奈良県の天理市で開催されます。
今回は感染症の診断や診断検査とその向こう側に拘った内容になっています。私もグラム染色のお話をしますので宜しくお願いします。
第 30 回臨床微生物迅速診断研究会総会開催のお知らせ
テーマ「迅速診断を再考する」
第 30 回「臨床微生物迅速診断研究会」総会を下記の予定で開催致しますので、ご案内申し上げます。
会 期:2018 年 6 月 30 日(土)9:00〜17:30
会 場:天理医療大学(〒632-0018 奈良県天理市別所町 80-1)
【会場へのアクセス方法】天理総合駅(JR・近鉄)より徒歩 15 分(約 1km)
総会長:小松 方(天理医療大学 医療学部 臨床検査学科)
参加費:3,000 円(意見交換会 3,000 円)
内 容:
特別講演 「AST 活動に貢献する迅速診断とは」
金光敬二 先生(福島県立医科大学 感染制御学講座)
招請講演 「感染症診療における微生物検査の活用〜臨床医から検査室への要望〜」
笠原 敬 先生(奈良県立医科大学 感染症センター)
教育講演 「第一回 AMR 対策普及啓発活動表彰:グラム染色と感染症診療の活用」
前田雅子 先生(まえだ耳鼻咽喉科クリニック)
ワークショップ「臨床微生物学的検査におけるインプット・アウトプット工程を再考する」
1.塗抹検査:山本 剛 先生(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部)
2.培養同定検査:口広智一 先生(公立那賀病院 臨床検査科)
3.薬剤感受性検査:中村彰宏 (天理医療大学 医療学部 臨床検査学科)
4.遺伝子検査:木村圭吾 先生(大阪大学医学部附属病院 臨床検査部)
ランチョンセミナー「臨床微生物学検査の随想 忘れてはいけないもの〜人、絆、心〜」
山中喜代治 先生(エスアールエル学術顧問/前・大手前病院)
総会長講演「迅速診断を再考する」
小松 方 (天理医療大学 医療学部 臨床検査学科)
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2018年3月23日 (金)

培地物語(血液寒天培地 後編)  溶血反応

しばらく培地の話が続きます。

前回は 培地物語(血液寒天培地 前編)  血液は何でも良いのか?について書きました。http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-5443.html

血液寒天培地 私の後編は血液寒天培地の拘りです。
【そもそも、何で血液寒天培地ができたのか?】
寒天培地はロベルト・コッホが発案した(と言われる)培地ですが、最初はジャガイモ培地( Löwenstein–Jensen medium )で実施していたようですが、さすがに発育は今より悪かったと思います。

血液寒天培地の溶血性を調べたのはBrownがかなり研究(1919年)していています。かなりのボリュームで読むことができませんが興味があれば読んでください。
引用文献を見ていると食品から分離される細菌や咽頭炎から分離される菌を中心でS. anginosuやS. pyogenes、Staphylococcusの溶血性の研究が多いようです。今もそうですが、血液寒天培地に期待されているのは溶血性だったようです。さらに、血液寒天培地の歴史を調べていると結核菌培地として検討した結果が多く出てきます。L-J培地と血液寒天培地との比較では血液寒天培地の方が早く生えましたという論文がいくつか出てきます。
1J Bacterial.1953,Oct.66,448-452.

血液寒天培地に結核菌が生えるのか?と思われますが普通に生えてきます。感染性も考えたら危ないし、今は液体培地もあるのでやらないと思いますが生えます。

Photo_8血液寒天培地に生える結核菌

【溶血へのこだわり】
溶血性が見れるのが血液寒天培地に課せられた最大のミッションです。溶血と言っても緑色になるα溶血、コロニー周囲が抜けて見えるβ溶血がありますが、β溶血が血液寒天培地に求められる条件と思います。β溶血でも溶血性が強いS. aureusやS. pyogenes、S. dysgalactiae subsp. equilimilis(SDSE)から、S. agalactiaeやL. monocytogenesなどのような溶血が弱いもの、S. anginosusのようなβ溶血するがコロニーが小さいものまであります。

皆さんはどの溶血性を重視して血液寒天を選びますか?

Photo_9 α溶血の代表格。肺炎球菌。

Ggsmrsa_2 β溶血の代表格。S. aureus(大きい方)とSDSE(小さい方)。

Gbs 溶連菌でも弱いβ溶血のS. agalactiae

【溶血性と酸素】
我々は通常大気の条件で溶血性を見ますが、ストレプトリジン(厳密にはストレプトリジンO)は酸素条件で溶血性が失われるので、本来の溶血性を確認するためには嫌気条件で確認をします。

しかし、嫌気条件になれば生えるものも生えないので、検査室で炭酸ガス濃度をコントロールすることで溶血性を確認しやすくしています。昔はロウソク瓶培養をしていたわけですが、恐らく炭酸ガス濃度は10%程度になっていたかと思います。
炭酸ガス濃度は低くて5%は必要ですが、孵卵器のドアは開け締めが多いので、当院は7%濃度で対応しています。

【CAMP試験】

昔、ビリーザブートキャンプというのがありましたが、皆さんはしましたか?
かなりのカロリーを消費する運動だと思います。
さて、CAMPはβリジンという毒素が作用する際に、cAMPを産生する菌であれば溶血性が増強する相乗作用を確認するための検査です。
培養検査をしているとたまにCAMPが見られることがあり感動します。

Gbss_aureus_camp 培地上に発育したGBSとS. aureus。CAMPテスト陽性になっている。

次回は寒天物語(寒天培地の発明と内助の功 前編)です。

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2018年3月16日 (金)

培地物語(血液寒天培地 前編)  血液は何でも良いのか?

個人的に培地に拘りを持ちながら仕事をしています。

・培地には寒天が含まれますが、その辺のお店で売っている寒天とは一味も二味も違います。
・血液寒天にはヒツジ血液を使うことが多いですが、六甲山牧場のヒツジから採取された血液では菌の発育は良くありません。
・グラム陰性桿菌の分離培地ですが、関西はマッコンキー寒天培地、関東はBTB乳糖加寒天培地の流通が多いと言われます。
余談ですが、BTB白糖培地というものがあるので、BTB培地もしくはBTB寒天培地というのは厳密には誤りで、ドリガルスキー変法とか加えるのが良いです。

E_aerogenes 関西に多いマッコンキー寒天培地(E. aerogenes)
E_cloacae 関東に多いBTB乳糖加寒天培地(ドリガルスキー変法培地)(E. aerogenes)
要するに寒天培地は、患者にベストなものを使用してこその寒天培地であり、価格も大切ですが成分や製造方法に加えて、寒天や血液など基礎培地の組成が大切です。
例えば、上述しましたが血液寒天の血液にはヒツジの血液を多く用います。寒天培地用の血液にはヒツジの他にはウマやウサギを使いますが、ウサギは少量しか採取できないこと、心臓から直接血液採取を行い培地にすることなど手間が掛かります。ウマは飼育代が高いので培地も高いのでしょうね。


2

有名なものに、Haemophilusの発育性がありますが、Haemophilusは栄養要求も厳しい細菌で、一般的にはヒツジ血液寒天には生えません。ヒツジは生えませんが、ウマやウサギの血液には発育します。そのため、ヒツジ血液寒天を使うっている施設では、Haemophilusの検出目的に、血液を加温して変色させたチョコレート寒天培地を用いることになります。茶色なのは加温により溶血しヘモグロビンが変色するためで、溶血によりNADやヘミンといった産物が培地中に含まれるようになるためHaemophilusは発育します。チョコレートのような色ですが、カカオやチョコレートが入っているものではありません。

20170819_220259 去年の研修会で作ったチョコレートで作った培地。S. aureusっぽいです。

Haemophilusと同じく、Nutritionally variant streptococci(NVS)も通常血液寒天培地に生えないので、確認用にS.aureusを植えて、周囲に発育する様を確認します。周囲に生えるので衛星現象と言います。Haemophilusでも同様の現象が見られます。
2 NVSは真ん中にS. aureusを塗ると周囲に微小コロニーが発育します。

チョコレート寒天培地はHaemphilus以外では使わないのか?と思われるでしょうが、Neisseria gonorrhoaeやNeisseria meningitisはチョコレート寒天培地がキーになるので、材料ごとに使う培地を検査室で分けています。通常、泌尿器材料には用いないところも多いので、oral sexに起因するHaemophilusによる尿道炎や精巣上体炎の検出目的で尿を出しますが、目的菌を伝えないと永久に菌の検出はできなくなります。
20130820_1743472 20130820_174428

血液寒天培地とチョコレート寒天培地上の髄膜炎菌のコロニー。莢膜産生するのでキレイなムコイド様(光沢あり)になりますが、両者は微妙に違います。
同定が難しい菌種(質量分析装置でも間違えます)であり、結果を急ぐ菌になるので是非コロニーを覚えてください。
さて、ヒツジ血液を用いる理由は安くて大量に採取できるからですが、日本で使用しているヒツジ血液寒天培地の多くは、オーストラリアやニュージーランドで血液寒天培地専用の牧場で飼われたヒツジから採取され輸入してきます。日本にもヒツジがいると思いますが、六甲山牧場牧場のような栄養要求が高い食餌をしているヒツジの場合は血液中のコレステロール値が高いため発育が悪くなり、微生物検査には向きません。
専用の牧場で飼われたヒツジであるがこそ、安定した血液が供給されるわけです。そのため食餌の影響を大きく受けるので、日本では冬に輸入する血液は発育性が良く、夏に輸入する血液は発育性が落ちることがあります。南半球は日本と逆の気候なので、日本が冬でも向こうは夏になるので、牧草の状態も良く元気な血液が多く輸入されています。枯れ草を多く食べている日本が夏のヒツジ血液は少し元気が無いようです。

血液の質が少し落ちた場合は、培地の製法をコントロールして発育性が落ちないようにメーカーでは対応してくれています。ユーザーの皆様が不自由が無いようにメーカーで製品管理をしてくれているので、冷蔵輸送されますが1枚1枚温かみを感じて欲しいと思います。
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Photo B社の拘り抜いた主な血液寒天培地

血液寒天培地の基礎培地にペプトンを使いますが、コストの安いトリプトソイ(マメ科のペプトン)なのか、本来のペプトンであるブレインハートインフュージョン(ウシ心臓浸出液由来のペプトン)で発育性やコロニーの色なども大きく違います。ミューラーヒントン血液培地はブレインハートインフュージョンが基礎培地になりますが、たまに間違ってミューラーヒントン血液寒天培地に塗ってしまうと翌日のコロニーは大きく違うことになっています。

そのため、血液寒天培地はメーカー間差があり、発育しないで良い菌が発育するようになっていたり、逆に発育できなかったりするので、適当には決めてはいけません。何を目的にして、どの培地にするのかは微生物検査技師の手腕に関わってきます。
次回は寒天培地がどうしてできたかの話をします。

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2018年3月14日 (水)

第30回日本臨床微生物学会総会・学術集会のお知らせ

長らく更新が出来ていません。もはや月刊誌となっております。

FB版はショートのコメントを多くしていますので、また見てください。

https://www.facebook.com/GramStainGym/

時たま、くだらないポスターなども作成していますのでご覧ください。

手洗いの励行
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抗菌薬を絞るためにグラム染色をしましょう
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ところで、総会の話ですが、
来年の2月1日(金)~3日(日)に、ヒルトン東京お台場とホテル日航東京台場で第30回日本臨床微生物学会総会・学術集会が東邦大学医学部微生物・感染症学講座の舘田一博教授が総会長で開催されます。

学会ホームページが出来ましたので皆様にお知らせします。

https://www.societyinfo.jp/jscm2019/

スマホ版もあるようですね。

今回のテーマは「求められる責任とプライド -日本臨床微生物学会30年の歩みの中で-」としています。

今回で第30回になり、30年前の学会設立当時を知っている方が少なくなっている中で、もう一度あの時の思いを振り返り次の30年のさらなる発展に繋げたいという思いがテーマです。

特別講演としては、米国インディアナ大学のKaren Bush先生をお招きして、「β-lactamase: Past, Present and Future(仮題)」としてご講演をいただく予定です。あのβ-ラクタマーゼの研究で有名な先生です。

他にも
・「30周年特別企画 “日本臨床微生物学会 30年の思い、30年への期待」
・「地域対抗一般演題賞争奪戦」
・「臨床微生物学アトラス 臨床微生物学の軌跡/奇跡 ―真実を見逃さない目・経験―」をCD版として配布

など企画が目白押しです。

会員の方は勿論のこと、非会員の方にも魅力のある企画となると思いますのでご参加ください。

私も色々とお手伝いさせて頂く予定ですので、どうぞ宜しくお願いします。

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2018年2月14日 (水)

AMR対策におけるグラム染色の位置づけ

先日の学会は皆様お疲れ様でした。

3日間のプログラムは盛り沢山であっと言う間に終わりましたね。
グラム染色カンファレンスはプラチナ化したチケットを獲得した参加者が大勢参加してくれました。いつも準備してくれている東京・神奈川の実務委員の方ありがとうございました。来年は100名以上入るお店を予定しております。宜しくお願いします。

20180210_000928 今年のTシャツはAspergillusの菌糸です。

学会は空き時間を利用して色々と聞いていましたが、やはり話題に上るのは抗菌薬適正使用チームの加算要件が公開された影響もあり、グラム染色をどのように使うのか?とい話題が多かったように思います。
個人的に8地区ワークショップでグラム染色とAMR対策についてポスター掲示させて頂きました。

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近畿地区のポスターはここからダウンロード可能です。
グラム染色は微生物を確認して、診断を行い、起炎微生物であればそれに見合った抗生剤投与を行うというのが標準的な使い方ですが、別に微生物が見えなくても、それが診断に寄与することも大きな役割の一つです。

例えば、喀痰検査は肺に異常陰影があったり、呼吸器症状とともに気道分泌物が出るので色々な疾患の鑑別のため検査を行います。当然、間質性肺炎や肺水腫といった感染症以外の鑑別診断のため提出されることがあります。

その場合は質の悪い喀痰であれば、過剰な抗生剤投与がなされる訳ですので、真の細菌性肺炎より良質な喀痰提出が求められる訳です。

ただし、微生物の確認が無いのは

①見えない微生物は存在しないか(レジオネラ肺炎やマイコプラズマ肺炎など)
②見えるはずが見えなくなったのか(抗生剤の投与歴があり消失した)
③感染症以外なので見える筈がないのか(肺水腫、間質性肺炎、心不全、癌性リンパ管症など)

ということを考えていかないといけません。
感染症以外であれば早期に抗生剤投与は中止できるし、そもそも初期治療薬が不要かもしれません。

微生物検査ばかりしていると、喀痰が出てくるとあたかも起炎微生物を検出しないといけないのか?という錯覚に陥ることがありますが、実はそうで無いことが混じります。
医師が何を期待して喀痰検査を出すのか?考えて報告コメントに残すことも今後必要かもしれません。

いくつか、聞いていてそう思いました。

そのためには、胸部X線を読む力や身体所見を見る力も必要です。医師に教えて貰い、それをきっかけに自ら学び、喀痰グラム染色に必要な情報を加えていってほしいですね。

写真は菌が見えない特集です。

4①心不全

3 ②癌性リンパ管症

Photo ③レジオネラ肺炎

2 ④マイコプラズマ肺炎

4_2 ⑤抗生剤投与後で菌消失

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2018年2月 1日 (木)

たまに連絡事項 今後の予定

たまに予定をアップさせて頂いています。適当にご覧ください。

1. 第28回日本臨床微生物学会総会・学術集会
平成30年2月9日(金)~10日(日) 岐阜の長良川国際会議場など

個人的にはシンポジウム2、パネルディスカッション1、8地区対抗ワークショップ、論文の書き方セミナーをお手伝いさせて頂きます。

①シンポジウムは今年で3回目の医師を感激させた微生物検査~検査技師の知識と経験と第6感~ です。今年も2題あります。微生物検査のプロセスを通じて症例にどう向き合うのか考えていきたいと思います。

②パネルディスカッション1は微生物検査は外来診療をどう変えるか?です。AMR対策の一環で微生物検査をする機会は多いですが、微生物検査を通じて外来診療を変えて治療方針の大きな変更や抗生剤の処方を減らすことができるのか考えていきたいと思います。

また会場でお会いできることを楽しみにしております。

2.熊本県臨床検査技師会 臨床微生物・遺伝子合同部門研修会

平成30年2月17日(土) 14:00~17:00 熊本大学医学部附属病院医学教育図書館棟

「グラム染色が役に立った症例、役に立たなかった症例、しくじった症例」

第二の故郷熊本です。

はっきりと決まっていませんが予定だけでも告知
4月14日(土) 広島県(薬剤師対象)
4月20日(金) 札幌市
6月16日(土) 東京都
11月16日(金)から18日(土) 鹿児島県(感染症学会地方会)


写真は扁平上皮癌に続発した癌性リンパ管症患者の喀痰グラム染色所見です。
菌は何も見えませんので塗抹陰性で返した例です。加えて、組織球が多く、好中球が少ないことで慢性炎症または肺胞に異常がある病態が背景に隠れていないかコメント付き。

癌性リンパ管症のため、リンパうっ滞があり肺胞へ逆流することで肺水腫を起こしていた症例です。菌が居ないだけでなく、見える細胞を細かく報告すると+αの情報が得られます。

Photo

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2018年1月25日 (木)

AMR対策セミナーの成果は?

皆様、遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

既に、前回の更新が1ヶ月前となり、このブログも月刊化してしまいました。もう少しこまめに更新していきたいと思いますので、今年も宜しくお願いします。

さて、今回は少しだけ真面目で笑える話なので気軽に読んでください。

先日、仙台で行われたAMR対策臨床セミナーに行ってきました。関西地区や四国地区など近場でも予定されていましたが、既に予定がブッキングしていたので、少し遠い場所ですが行ってきました。

仙台は、9月のセミナー以来なので、ほぼ3ヶ月ぶりです。今は低価格で飛行機が搭乗できることもあり、東京へ新幹線で行くより安くつきますので、これもAMS(Antimicrobial Stewerdship)の主旨に合致していると自己満足していました。
「遠いところから来た」とバレないようにと、マスクをして会場に潜んでいましたが、最終的には色々な方に見つかってしまいました。身体が大きいから仕方ないかもしれません。

AMR対策に微生物検査が必要なのは十分に理解していますが、どこのどの部分にどういった検査が必要なのか自分でも確認がしたかったので参加しましたが、一番驚いたのは、恐らく開業している年配の医師と思しき参加者が熱心に聞いていることです。開業医の方も耐性菌には興味があり、AMR対策には関心があるのだなと少々感動しました。

河北新報に記事が載っていました。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201801/20180109_13029.html

セミナーではAMR対策の現状から、臨床応用する時のポイント、耐性菌を拡大しないための予防の3本柱で講義があり、大変興味深く聞かせて頂きました。
臨床検査技師として、AMR対策の中で、何が求められているのを聞いていましたが、やはり早く正しい診断に寄与し、抗菌薬が必要な場面かどうか確認するために、良いデータを返す努力を惜しまないことや耐性菌を早期に察知して情報を伝え、感染拡大を防ぐために具体的に何を第一に考えれば良いのか確認ができました。個人的にグラム染色を用いて、検査結果の付加価値を高めて、より診断と治療に貢献しようと思っていることを再確認できました。

ところで、仙台の行き帰りは飛行機で、冬季のこの時期は気圧の変動も激しく、その関係で鼓膜がバリバリと言っていました。一時篭ったようになるので空気抜きなどをしていましたが、帰ってきてもバリバリ言っているので耳鼻科を受診すると「急性中耳炎に急性副鼻腔炎」と言われました。そうです、典型的な航空性中耳炎になりました。
でも、別に発熱も無いし、耳痛は自制内なので、治療方針として「今回は抗菌薬を服用することはせずに経過観察します。」と、きっぱり抗菌薬の処方を断りました。私もAMR対策を職場のスローガンとして先陣に立ち動いているので、安易な抗菌薬を断ったことに満足していました。抗菌薬処方はGrade Cですしね。

Otitis Media: Diagnosis and Treatment
https://www.aafp.org/afp/2013/1001/p435.html

しかし、1日経ち、3日経ち、症状に著変は無く、悪化も無く。1週間が過ぎたところで青っ鼻が出てきたので早速グラム染色をしました。見事な肺炎球菌でした。液性免疫が下がっている証拠でしょうか。中耳炎の診断で鼓膜切開せずに鼻汁を見ると起炎菌が推定できると書いていたので試してみました。


Photo 610円払い自分の鼻汁を染めてみました。

そして、1週間たちましたが、症状に大きな改善が無いのと、外耳も腫れてきた気がするので、鼓膜切開してもらおうと思い耳鼻科再受診しました。
成人は麻酔しないといけないので、麻酔の準備があると言われました。準備中にぼそっと「切開すると楽になるけど、この状態では普通しないね。」と言われたので、今回は抗菌薬内服の道を選びました。

「鼻汁のグラム染色をしたんですが肺炎球菌が沢山いるので、それでしょうかね。」と話をしながら、勧められた抗菌薬は”オグサワ(CVA/AMPC+AMPC)”でした。”オグサワ”とはPKPD理論を参考にして抗菌薬の投与量をコントロールした処方になります。”オグ”はオーグメンチンの略でCVA/AMPCのこと。オーグメンチン1錠にはAMPCが250mg含有されていますし、β-ラクタマーゼ阻害薬のCVAも125mg含んでいます。1日3錠になるので、AMPC量は750mgになります。肺炎球菌はPCGのMICが2μg/ml以下のものが90%以上も占めるので、time above MIC30%以上維持したい場合は腎機能正常者ではAMPCは1,500mg/日必要です。不足分はAMPCであるサワシリン”サワ”を追加するので、オーグメンチン3錠+サワシリン3カプセルという処方になります。CVAは用量を増やすと下痢に成りやすくなるので、”サワ”の追加だけにします。

しかし、今回の原因菌は肺炎球菌です。ペニシリン耐性菌はあるけど、PBP変異によるものでβ-ラクタマーゼ阻害薬は不要です。そのため、AMPC 6カプセル"サワサワ"/分3の処方が適切になります。

そのため、「いや、肺炎球菌だからここは”サワサワ(AMPC倍量)”でしょう」と切り返すと、「大学では”オグサワ”が良いよと言われたよ。」と言われました。折角グラム染色までしているので、ここは”サワサワ”でと相談し、内服を開始することとしました。アカハラと思われるこのやり取りですが、半日おきに耳の状態が良くなり1週間後に治りました。ペニシリンは本当に良い薬だと体感しました。

また、時間があれば、肺炎球菌のペニシリン耐性はβ-ラクタマーゼでは無いのでCVAは要らないんですよという話をしにいこうと思います。

AMR対策に力をいれようと思い意気込んだのは良いのですが、実臨床はウマく行かないこともあるだなと思った瞬間でもあります。でも、グラム染色は裏切らないなと改めて実感しました。グラム染色はAMR対策の武器になります。日本でももっと広めて海外に紹介したいと思います。

仙台では美味しい牛タンを頂きました。また行きたいです。

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2017年10月25日 (水)

グラム染色の結果が届かず書類送検

先週、インターネットをみていると下記のニュースを見ました。


「検査報告遅れで男児に障害、病院職員書類送検」

記載内容を確認していますと、血液検査でグラム陽性球菌の反応が出たので、検査の委託会社からFAXが届いていたが、主治医に届かず、抗菌薬を中止してしまい、思い脳の後遺症が残った。報告を怠ったとして検査室の責任者を書類送検。

という衝撃的な内容であった。

検査結果がFAXで届いていたが主治医に連絡が遅れたことは事実でしょうが、これで技師長だけが書類送検になるとはかなり厳しい処分である。

報道各社の内容をまとめてみましたが以下のようです。

1月31日(木)に男児が入院した。入院時に血液検査(恐らく血液培養)を採取した。
2月2日(土)に血液検査が陽性反応(恐らく血液培養陽性)となり、グラム陽性球菌が陽性(恐らく、グラム染色をして陽性球菌)が確認された。
検査を請け負っていた検査会社はFAXでこの病院の検査室へグラム染色所見について報告をしたが、主治医には届いておらず、主治医は別の疾患を疑い抗生剤を終了した。結果的にこの患者は髄膜炎を発症して後遺症が残った。

当時の状況を全て見ている訳でありませんが、これは「検査報告」という一つの病院システムのエラーで生じた事例であり、検査室は報告を適切に出来なかったのかもしれませんが、

・提出した医師は検査結果の確認をしっかりと行っていたのか?
・病棟も検査結果が順次返ってきているのか確認をしていたのか?
・検査結果が最終となっていないのに、何故抗生剤を中止することになったのか?
・髄膜炎であれば入院時に髄液穿刺をして検査をしていなかったのか?なぜそこがクローズアップされていないのか?
・500床規模の病院ですが、血液培養という重要な検査が何故外部委託で運用されているのか?
・そもそも土日も含め時間外に主治医は在籍していたのか?
・技師長だけ処罰を受け、検査担当医や病院管理者、主治医および主治医の診療科長も処罰の対象になっていない。

など、色々な疑問を多く感じます。

最終的に業務内容の改善をしたため再発防止に努めているとのことです。これは患者にとってはありがたいことです。

皆さんの病院ではどうですか?

上記の内容で気になる点があります。

・血液培養が外部委託であれば、細菌検査は全外注の可能性が高い。そのため、検査室で働く職員は、検査結果の重要性について意識が薄れている可能性がある。結局、その結果、FAX連絡が主治医に直ぐに伝わらなかった可能性がある。
・FAXが来たとして、主治医がその時間に在籍するのか?当番医であればその医師に報告が行くようにできていたのか? 普通は特別な指示が無ければ提出医のみしか連絡をしない。

・病院で働いていたのは正規職員なのか?委託職員なのか? 職員はFAXで来た内容を仕分けして急ぐものは至急で報告することを業務内容として認識していたのであろうか。

・グラム陽性球菌の反応陽性。そもそも肺炎球菌だろうと思うが、肺炎球菌かどうかグラム染色所見で確認ができただろうに。コメントでフォローしたり、GPC chainという所見だけでも十分違う内容だったのでは無いか。子供の市中感染でGPCなんだから肺炎球菌か黄色ブドウ球菌なんでしょう。


Cbc 血液培養の肺炎球菌
Mssa2 血液培養の黄色ブドウ球菌
所見が全然違いますよね。

外部委託が悪い訳では無い。外部委託でもシステムを組めば院内実施と同様の質が担保されることも多い。院内実施でも、細菌検査がイケてないのであれば同様のことは生じる。細菌検査を重要視しない医療機関は多く、直ぐに費用対効果という観点でそこそこ規模が大きな病院であっても外部委託に頼っている施設も多い。総合病院で救急もあれば細菌検査は院内で実施して欲しいと思う。何度も言うが、質の高い検査を保つのであれば、それは外部委託業者が入ってでも良いと考える。ただし、自前と院内委託との違いは指示命令体系が異なり、院内委託の方が業務上の制限がかかることが多いことである。この問題を解消すれば良いのであるが、こういう施設の多くは感染症には関心が無い医師が多いので問題提議すらできていないことも問題である。

感染管理加算が2012年から算定できるようになり、来年で6年目になる。要件の一つとして在籍3年目以上の臨床検査技師を専任で置くようにということが要件になっていると思う。専任とは最低50%以上の業務をしている(解釈によって少々異なります)とあるが、1週間で半分では無く、一日の半分を院内感染対策に従事し、かつ1週間で50%以上であることが条件と思われる。当然ですが細菌検査室で培地を塗っている時間はこの50%以上には入らないので、細菌検査室の外で活動していることが条件になる。恐らく、細菌検査室を有する病院でもこの条件を保持できている病院は多くないと思うし、細菌検査室が無い病院の場合はもっと条件に満たないのでは無いか。さらに、感染管理室に臨床検査技師の机すらないのが現状ではないだろうか。

こういう判例は、マイナスイメージが強いが、この機会に自院の対応について深く考えさせられるものである。

感染管理に従事する臨床検査技師がいるのであれば、耐性菌の検出状況や病棟別材料別菌発生状況(週報)以外にも、

・血液培養の複数セット採取率は90%以上を維持している
・血液培養は1000ベッド当たり20を超えて採取している
・グラム染色所見は当日のうちに報告している
・適切な材料が採取されたかどうかの確認を随時おこなっている(喀痰の外観管理やゲクラー分類など)
・血液培養検査は院内で実施していることを条件に盛り込む
・土日など外来休業日に細菌検査室を稼働した場合は加点する
など、院内で保護してくれる医療従事者が少ない場合はせめて保険点数上で保護して頂きたいと思う。

10年後には

細菌検査はお金掛かるんでしょう?
細菌検査は解釈が難しいから院内では・・・?
という声がなくなってくれることを願っています。
過去の訴訟事例
・血液培養陽性例でMRSA陽性の報告遅れて損害賠償
・便のグラム染色でMRSAを見落とし報告の遅れ
(便のグラム染色像で黄色ブドウ球菌って、無理な話ですね。)

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2017年10月19日 (木)

グラム染色カンファレンス in 岐阜

下記のカンファレンスは、募集開始から4時間余りで定員に達しました。多数ご応募ありがとうございました。


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微生物学会に併せて、毎年グラム染色カンファレンスを勝手に企画しております。

今回も岐阜で開催をする予定です。
昨日から申込を開始しましたので告知します。

・日 時:2018年2月9日(金)19:00~21:00 (受付開始18:30~ )

・場 所:「旬菜 clover dining」

・参加料:5,000円(飲食代込み)

・募集人数:70名

・症例提示

1 タイトル未定
杏林大学医学部附属病院・米谷 正太

2 タイトル未定
日本医科大学付属病院・根井貴仁

3 タイトル未定
西神戸医療センター 臨床検査技術部 山本 剛

今年も表紙に正解が隠れてますが全員が外れる問題を出します。

20170120_194320 去年の模様です。

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