真菌は何色に染まるのか
真菌のグラム染色について質問を頂きました。
真菌は細胞壁が分厚いので、グラム陽性に染まるものが多いですが、それは酵母様真菌だけで、糸状菌は赤く染まるものを多く見かけます。
なぜ、同じ真菌なのにこのような違いがでてくるのでしょうか。
グラム陽性菌になるのですが、細菌のグラム陽性菌とは細胞壁の構造が異なります。そもそも、細菌は原核生物で、真菌は真核生物なので染まり方も異なるはずです。
真菌のグラム染色だけを集めた参考書がありますが、そこにはこう書かれています。同じ真菌でも、酵母様真菌と糸状菌では染色性が違うのが良くわかる説明です。
・酵母用真菌は細胞壁にクリスタル紫が浸透しやすく、脱色を受けにくいためグラム陽性は強固に染まる。つまり濃紺色。
・糸状菌は細胞壁にクリスタル紫の浸透が悪く、容易に脱色作用を受けて、後染色のサフラニン(フクシンでも良い)で染まる。つまり赤色。
そのため、グラム陽性に染まる細菌に比べて酵母様真菌より濃く染まっていることが確認できます。
酵母様真菌でも、Cryptococcusは莢膜形成があるので、菌周囲は赤くなり、菌は少し青く見えます。また、Exophialaのような黒色真菌はメラニン色素の影響もあり、黒く見えます。
微妙な染色性の違いですが、この繊細さは菌種の鍵となるので、1つ1つ丁寧に観ていくと良いと思います。
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