グラム染色はReal-Time Multiplex Testである
微生物検査には色々な検査があります。検査の特徴をよく理解することは感染症の診断を行う上で重要です。
陽性結果には真の陽性と偽陽性が混在しますが、臨床検査の場合は殆どが真の陽性を意味します。
陰性結果には真の陰性と偽陰性が混在しますが、臨床検査の場合は真の陰性かどうか証明できるものは少なく、偽陰性ではないということをよく考えないといけません。
グラム染色のメリットは迅速で簡便な検査で、菌種によっては推定ができ、検査試薬も安価に購入ができます。高額機器の導入も不要でやる気があれば誰だってできます。デメリットは感度が低い、菌種同定が難しい時があり、感受性は確認できない、何より判読技術に少し時間がかかります。
新型コロナで脚光を浴びたPCR検査は感度も高く正確ですが、標的となる微生物以外は反応しません。最近は多項目同時検査が可能ですが、機器も試薬も高額で、微生物がある程度存在しなければ陽性の結果が得られず限界があります。
グラム染色は、判読を覚えると非常に多い情報量を私たちにもたらしてくれます。特に複数菌でも一度に推定菌が分かることだってあります。
本当にその醍醐味を知ってしまうと感染症診療を行う上で手放すことができない検査ですね。
写真は気管支拡張症でフォロー中でしたが、急に肺炎となり受診された時に染めた喀痰グラム染色です。3菌種(肺炎球菌+インフルエンザ菌+肺炎桿菌)が確認できました。
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