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2021年5月 6日 (木)

検体の梱包について 〜こういうのはダメよ〜

3度目の緊急事態宣言発令中です。皆様、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしょうか?

さて、新型コロナウイルス感染症診断のための検査依頼を受けていますが、改めて検体搬送上の注意点について気になったので解説していきます。検体を輸送・梱包する際のガイドラインとして日本では「ゆうパックを利用して検体を送付する場合の包装に関する遵守事項」が広く利用されています。https://www.mhlw.go.jp/file/06-eisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/2_7_13.pdf

新型コロナウイルス感染症の輸送に関するガイダンスは国立感染症研究所が出しているものが詳しく記載されています。専門家向けに書いているので少々難しいかもしれません。https://www.niid.go.jp/niid/images/pathol/pdf/2019-nCoV_200228.pdf

ゆうパックも言わば民間の輸送業者に過ぎませんが、世界保健機関策定の「感染性物資の輸送規則に関するガイダンス」に従っていますので、梱包方法が守られていれば輸送はOKです。もちろん、3種病原体以上の危険な微生物が含有されている輸送については、さらに厳しい基準があり、例えば、多剤耐性結核菌の保有施設は届出が必要ですし、運搬については事前に警察に届け出る必要があります、

SARS-Cov-2を検査する場合は鼻腔拭い液または唾液が検査材料として用いられることが多く、検体はスクリューキャップ付きの容器に入れて、正しくシーリングしたのちに2重のビニール袋に包装した後に、輸送容器に入れて運搬しなければなりません。2重のビニール袋は検体がもし漏れた場合に汚染が拡がらないため重要です。

スクリューキャップとシーリングですが皆様の施設ではどうしていますか?外部委託業者については普段梱包に注意を払ってこなかった医療機関から検体が搬送されてきますが、適当に検体を入れている施設があると聞きます。

スクリューキャップはしっかりと最後まで締めることで液漏れがなくなります。

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半開きになっていれば液漏れしたり、漏れていなくても開封時に液垂れしたりとかなり危ない状態と言えます。家で醤油やケチャップの蓋が半開きになっていると皆さん嫌な気持ちになると思います。家庭内の喧嘩で収まればそれで良いんでしょうが、業務の上でSARS-Cov-2 PCR positiveの検体ってなると本当に背筋が凍りそうですね。

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シーリングは何でしていますか?手っ取り早いのはセロハンテープでしょう。最初は粘着性もあり良いかもしれませんが、液が漏れた場合は粘着性がなくなり液漏れをしてきます。また、隙間がたくさん生じるためスクリューキャップのシーリングには向いていません。

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いつもお世話になっている絆創膏は医療機関でも手っ取り早く使えるアイテムかもしれません。しかし、液漏れがした場合は少しであれば吸収しますが、液漏れが激しい場合は滲み出てきます。傷口から出ている自分の血だったら絆創膏は取り替えたら良いのでしょうが、これがSARS-Cov-2 PCR positiveの検体ならどうしましょう。怖いですね。もはやノーガードの戦いです。

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パラフィルムと書いていますが、検体をシーリングする専用のフィルムが検査室にはあります。医療形の方なら皆さん同じでしょうが、私は大学生のときに初めて見て感動しました。感動のあまりビローんってしていた友人は「それ高いねんで」って先生に注意されていました。

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しっかりとシーリングしたら最後は2重容器(ビニール袋)に入れて搬送を待つのみです。

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今回が見易いために色水を使いましたが、唾液であれば無色なので漏れがさらにわかりにくくなります。

入れる側は必ず、出す側の気持ちを考えて梱包してください。

特に新型コロナウイルス感染症の感染予防のためしっかりと教育啓蒙を進めることは微生物検査技師は必須です。

まだ先の見えない戦いですが、もうひと頑張りしていきましょう。

 

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