新型コロナウイルスのPCR検査に思うこと
新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が発令しております。自宅待機にも慣れてきたかと思いますが、感染拡大とともにPCR検査の稼働回数が増えてます。
PCR、PCRといっても結核菌PCRと同じようなイメージをしている医療従事者が多いと思いますが、新型コロナウイルスの標的となる核酸はRNAなので、取り扱いは結核菌DNAとは少し異なります。また、従来のPCRのようにキット化されて、保険点数もついていますが、体外診断用試薬の適用がないものが多く流通しています。そのため、内部精度管理を含めての検証をしっかり行うのがキモです。
また、キット化されても陽性がピタッと出るものもあれば、うーん、うーんと悩む症例も多い。コンタミ排除を完璧にしているが、どう考えてもコンタミは否定できないという結果判定も遭遇します。陰性例もRNAがしっかりと抽出できているのか疑心暗鬼になります。
通常のPCRよりかなり手の込んだ検査であることは理解して欲しい。
こういうことはニュースや新聞、雑誌などに取り上げられる機会も少なく、また取り上げられたとしても難しい内容になるので、到底一般市民の眼には止まらない内容です。TVでもその辺をしっかりとコメントしている医療関係者もいますが、状況を理解せず「PCRを全例に」と話している人も目にします。それは正解かもしれないが、有機的に考えると無駄も多いと思う。
今回のPCRの目的は診断・治療もさることながら、二次感染を防ぐためにもウイルスがいるかいないかを判断する重要な役割をしています。結果はゼロか100%かのどちらかを求められおり、操作の不慣れからくる偽陽性・偽陰性は避けなければならない。そのため、検査手順がしっかりと見直しできるスタッフとスタッフのスキルトレーニングが重要です。
また、「スタッフ不在のため今日はできない」、「人が少ないので今日は結果が遅くなる」など日常では許容できるものでも、新型コロナウイルス感染症は猶予をくれません。機器や試薬は買ってもらえるが、臨床検査技師はそうそう増やしてもらえません。恐らく、どの施設でもPCR戦略グループを作り、マンパワー確保のため一定期間はスタッフの日当直は免除されたり、1人のスタッフが倒れた場合でも体制が維持できるように検査室全体で後押しすることが必要です。
言葉は悪いですが、これはCOVID-19と臨床検査技師の戦争です。現場の方のみならず管理者の方はしっかりと後方射撃を行うことが大切です。
全国のPCRに関わっている皆様の力なしで、現在の診療は維持できません。皆さん頑張りましょうね!!!
しかし、この動画は面白い。
https://togetter.com/li/1481255
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