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2018年5月16日 (水)

がん患者の微生物検査とは

患者情報をどう微生物検査に活かすのか?という命題は昔から言われていますが、あまり具体的な話はありません。理由の一つとして検体種別で分類し検査内容を決めている、分離された菌はどれを取るか決めているなど検査側に変化がないからである。

近年のがん治療は、肺がんを例に取ると「切らずに治す」というスタイルが主流になりつつあります。がん患者には感染症がつきものですが、がん患者だからといって特別な菌ばかりではありません。
治療する上で、細胞性免疫が下がる病態であれば、結核菌やノカルジア、リステリア菌が分離されやすくなり、液性免疫が下がる病態であれば肺炎球菌が分離されやすくなります。がん患者は、治療によるバリア破綻が増えることもあり、コモンな菌も侵入しやすい状況があります。つまり、ノカルジアやリステリア菌だけでなく、肺炎球菌や大腸菌、クレブシエラなども分離する機会が増えます。
そうすると抗生剤を投与する機会が増えるので、耐性菌が出現しやすい環境ができます。耐性菌といってもESBLやCREといった獲得耐性だけでなく、腸球菌やエンテロバクターなどの自然耐性を持つ菌が増えます。
写真は腸球菌ですが、腸球菌はもともとセフェム耐性ですが、ペニシリンが第一選択になると参考書には書かれています。セフェムが効かなくて、ペニシリンが効くのは細胞壁の構成がStreptococcusと異なるからです。
また、ペニシリンが効くのは、腸球菌の中でも分離頻度が一番高いE. faecalisのことであり、2番めに高いE. faeciumはペニシリン耐性のことが多いですため、腸球菌と言ってしまうと、「あれ、腸球菌なのにペニシリン耐性じゃん」とい結果が待っています。
2
がんでENBDの閉塞を繰り返す患者の胆汁。

E. faeciumはE. faecalisより少し丸みのある短連鎖が特徴です。
これが微生物検査のアウトプットをどのように考えるかです。
インプットでがん患者の情報を得る、がん患者がどのような菌がでてきやすい。
そのためにベストの結果をだせるように微生物検査は頑張る。そういう微生物検査にしたいと思います。
来週の大臨技ではそのような話をしたいと思いますので宜しくお願いします。

http://www.osaka-amt.or.jp/cgi-bin/sche/sche35.cgi?cm=1

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2018年5月15日 (火)

【ご案内】第30回臨床微生物迅速診断研究会総会開催のお知らせ

グラム染色とググったらトップに出てきた、本ブログですが今や2ページ目になってしまいました。管理人の私は4月に異動となり別の病院で働き始めました。

いや、異動すると3ヶ月は落ち着かないよと言われますが、周囲の人は変わり、物品を購入したり、あらゆる申請など様式も異なるので、今までのようにいきませんね。
とは言え、グラム染色のお話は続けていきますので宜しくお願いします。
さて、6月に第30回臨床微生物迅速診断研究会総会が天理医療技術大学の小松先生が総会長で、奈良県の天理市で開催されます。
今回は感染症の診断や診断検査とその向こう側に拘った内容になっています。私もグラム染色のお話をしますので宜しくお願いします。
第 30 回臨床微生物迅速診断研究会総会開催のお知らせ
テーマ「迅速診断を再考する」
第 30 回「臨床微生物迅速診断研究会」総会を下記の予定で開催致しますので、ご案内申し上げます。
会 期:2018 年 6 月 30 日(土)9:00〜17:30
会 場:天理医療大学(〒632-0018 奈良県天理市別所町 80-1)
【会場へのアクセス方法】天理総合駅(JR・近鉄)より徒歩 15 分(約 1km)
総会長:小松 方(天理医療大学 医療学部 臨床検査学科)
参加費:3,000 円(意見交換会 3,000 円)
内 容:
特別講演 「AST 活動に貢献する迅速診断とは」
金光敬二 先生(福島県立医科大学 感染制御学講座)
招請講演 「感染症診療における微生物検査の活用〜臨床医から検査室への要望〜」
笠原 敬 先生(奈良県立医科大学 感染症センター)
教育講演 「第一回 AMR 対策普及啓発活動表彰:グラム染色と感染症診療の活用」
前田雅子 先生(まえだ耳鼻咽喉科クリニック)
ワークショップ「臨床微生物学的検査におけるインプット・アウトプット工程を再考する」
1.塗抹検査:山本 剛 先生(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部)
2.培養同定検査:口広智一 先生(公立那賀病院 臨床検査科)
3.薬剤感受性検査:中村彰宏 (天理医療大学 医療学部 臨床検査学科)
4.遺伝子検査:木村圭吾 先生(大阪大学医学部附属病院 臨床検査部)
ランチョンセミナー「臨床微生物学検査の随想 忘れてはいけないもの〜人、絆、心〜」
山中喜代治 先生(エスアールエル学術顧問/前・大手前病院)
総会長講演「迅速診断を再考する」
小松 方 (天理医療大学 医療学部 臨床検査学科)
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