AMR対策セミナーの成果は?
皆様、遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
既に、前回の更新が1ヶ月前となり、このブログも月刊化してしまいました。もう少しこまめに更新していきたいと思いますので、今年も宜しくお願いします。
さて、今回は少しだけ真面目で笑える話なので気軽に読んでください。
先日、仙台で行われたAMR対策臨床セミナーに行ってきました。関西地区や四国地区など近場でも予定されていましたが、既に予定がブッキングしていたので、少し遠い場所ですが行ってきました。
仙台は、9月のセミナー以来なので、ほぼ3ヶ月ぶりです。今は低価格で飛行機が搭乗できることもあり、東京へ新幹線で行くより安くつきますので、これもAMS(Antimicrobial Stewerdship)の主旨に合致していると自己満足していました。
「遠いところから来た」とバレないようにと、マスクをして会場に潜んでいましたが、最終的には色々な方に見つかってしまいました。身体が大きいから仕方ないかもしれません。
仙台は、9月のセミナー以来なので、ほぼ3ヶ月ぶりです。今は低価格で飛行機が搭乗できることもあり、東京へ新幹線で行くより安くつきますので、これもAMS(Antimicrobial Stewerdship)の主旨に合致していると自己満足していました。
「遠いところから来た」とバレないようにと、マスクをして会場に潜んでいましたが、最終的には色々な方に見つかってしまいました。身体が大きいから仕方ないかもしれません。
AMR対策に微生物検査が必要なのは十分に理解していますが、どこのどの部分にどういった検査が必要なのか自分でも確認がしたかったので参加しましたが、一番驚いたのは、恐らく開業している年配の医師と思しき参加者が熱心に聞いていることです。開業医の方も耐性菌には興味があり、AMR対策には関心があるのだなと少々感動しました。
河北新報に記事が載っていました。
河北新報に記事が載っていました。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201801/20180109_13029.html
セミナーではAMR対策の現状から、臨床応用する時のポイント、耐性菌を拡大しないための予防の3本柱で講義があり、大変興味深く聞かせて頂きました。
セミナーではAMR対策の現状から、臨床応用する時のポイント、耐性菌を拡大しないための予防の3本柱で講義があり、大変興味深く聞かせて頂きました。
臨床検査技師として、AMR対策の中で、何が求められているのを聞いていましたが、やはり早く正しい診断に寄与し、抗菌薬が必要な場面かどうか確認するために、良いデータを返す努力を惜しまないことや耐性菌を早期に察知して情報を伝え、感染拡大を防ぐために具体的に何を第一に考えれば良いのか確認ができました。個人的にグラム染色を用いて、検査結果の付加価値を高めて、より診断と治療に貢献しようと思っていることを再確認できました。
ところで、仙台の行き帰りは飛行機で、冬季のこの時期は気圧の変動も激しく、その関係で鼓膜がバリバリと言っていました。一時篭ったようになるので空気抜きなどをしていましたが、帰ってきてもバリバリ言っているので耳鼻科を受診すると「急性中耳炎に急性副鼻腔炎」と言われました。そうです、典型的な航空性中耳炎になりました。
でも、別に発熱も無いし、耳痛は自制内なので、治療方針として「今回は抗菌薬を服用することはせずに経過観察します。」と、きっぱり抗菌薬の処方を断りました。私もAMR対策を職場のスローガンとして先陣に立ち動いているので、安易な抗菌薬を断ったことに満足していました。抗菌薬処方はGrade Cですしね。
Otitis Media: Diagnosis and Treatment
https://www.aafp.org/afp/2013/1001/p435.html
しかし、1日経ち、3日経ち、症状に著変は無く、悪化も無く。1週間が過ぎたところで青っ鼻が出てきたので早速グラム染色をしました。見事な肺炎球菌でした。液性免疫が下がっている証拠でしょうか。中耳炎の診断で鼓膜切開せずに鼻汁を見ると起炎菌が推定できると書いていたので試してみました。
https://www.aafp.org/afp/2013/1001/p435.html
しかし、1日経ち、3日経ち、症状に著変は無く、悪化も無く。1週間が過ぎたところで青っ鼻が出てきたので早速グラム染色をしました。見事な肺炎球菌でした。液性免疫が下がっている証拠でしょうか。中耳炎の診断で鼓膜切開せずに鼻汁を見ると起炎菌が推定できると書いていたので試してみました。
そして、1週間たちましたが、症状に大きな改善が無いのと、外耳も腫れてきた気がするので、鼓膜切開してもらおうと思い耳鼻科再受診しました。
成人は麻酔しないといけないので、麻酔の準備があると言われました。準備中にぼそっと「切開すると楽になるけど、この状態では普通しないね。」と言われたので、今回は抗菌薬内服の道を選びました。
成人は麻酔しないといけないので、麻酔の準備があると言われました。準備中にぼそっと「切開すると楽になるけど、この状態では普通しないね。」と言われたので、今回は抗菌薬内服の道を選びました。
「鼻汁のグラム染色をしたんですが肺炎球菌が沢山いるので、それでしょうかね。」と話をしながら、勧められた抗菌薬は”オグサワ(CVA/AMPC+AMPC)”でした。”オグサワ”とはPKPD理論を参考にして抗菌薬の投与量をコントロールした処方になります。”オグ”はオーグメンチンの略でCVA/AMPCのこと。オーグメンチン1錠にはAMPCが250mg含有されていますし、β-ラクタマーゼ阻害薬のCVAも125mg含んでいます。1日3錠になるので、AMPC量は750mgになります。肺炎球菌はPCGのMICが2μg/ml以下のものが90%以上も占めるので、time above MIC30%以上維持したい場合は腎機能正常者ではAMPCは1,500mg/日必要です。不足分はAMPCであるサワシリン”サワ”を追加するので、オーグメンチン3錠+サワシリン3カプセルという処方になります。CVAは用量を増やすと下痢に成りやすくなるので、”サワ”の追加だけにします。
しかし、今回の原因菌は肺炎球菌です。ペニシリン耐性菌はあるけど、PBP変異によるものでβ-ラクタマーゼ阻害薬は不要です。そのため、AMPC 6カプセル"サワサワ"/分3の処方が適切になります。
そのため、「いや、肺炎球菌だからここは”サワサワ(AMPC倍量)”でしょう」と切り返すと、「大学では”オグサワ”が良いよと言われたよ。」と言われました。折角グラム染色までしているので、ここは”サワサワ”でと相談し、内服を開始することとしました。アカハラと思われるこのやり取りですが、半日おきに耳の状態が良くなり1週間後に治りました。ペニシリンは本当に良い薬だと体感しました。
また、時間があれば、肺炎球菌のペニシリン耐性はβ-ラクタマーゼでは無いのでCVAは要らないんですよという話をしにいこうと思います。
AMR対策に力をいれようと思い意気込んだのは良いのですが、実臨床はウマく行かないこともあるだなと思った瞬間でもあります。でも、グラム染色は裏切らないなと改めて実感しました。グラム染色はAMR対策の武器になります。日本でももっと広めて海外に紹介したいと思います。
仙台では美味しい牛タンを頂きました。また行きたいです。
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