耳原GP+1セミナー体験記
7月30日に大阪の耳原総合病院でGP+1セミナー感染症編が開催されお話する機会を頂きました。
今年、耳原総合病院には総合内科に、あの藤本卓司先生が赴任され一層厚みのある診療が行われているようです。藤本先生と言えば感染症レジデントマニュアルの著者であり、グラム染色所見を感染症診療の一つとして、初学者向けに分かりやすく、またポケットサイズの参考書を作られています。http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=81168
個人的には藤本先生とは感染管理のお仕事でご一緒させて頂いた15年程度のお付き合いがあり、今回呼んで頂きました。この研究会で学んだ内容は数知れず。http://www.kipn.net/index.htm
個人的には藤本先生とは感染管理のお仕事でご一緒させて頂いた15年程度のお付き合いがあり、今回呼んで頂きました。この研究会で学んだ内容は数知れず。http://www.kipn.net/index.htm
当日は、私のグラム染色・培養検査の話と
・埼玉医大 岡先生の感染症プラチナ特講 (感染症プラチナマニュアル:https://www.medsi.co.jp/books/products/detail.php?product_id=3556)
・滋賀医大ベストティーチャー賞長尾先生の胸部画像のお話 (やさしい呼吸器教室:http://tnagao.sblo.jp/)
・耳原総合病院の藤本先生の身体所見のお話
+総合内科の河村先生より感染症・身体所見クイズ
と盛り沢山の内容でした。
こんな講師陣の中に混じって良いのかと少し感激しながら参加しました。
当日は声を掛けて頂いた藤本先生はじめ、耳原総合病院のスタッフ(特に医局課長の川畑様)の皆様ありがとうございました。
募集人数が50名でしたが、当日は研修医や専攻医中心に100名近く参加されており、中にも学生が何人が居られました。
当日は微生物が苦手な受講生も多いと思い、かなりベーシックな内容からGP+1だけに、+1として同定・感受性が終わるまでに推測できるものについて話をしました。
微生物検査は原因菌の特定に必要な検査であり、その内容を深読みすることは臨床推論を行う上でかなりのアドバンスであると思います。
特にグラム染色所見を用いた感染症診療については、患者さんが来て主座がわかればそこの材料を採取、染めて抗生剤を絞るとなんと簡便な方法なんでしょうか。しかも炎症の状態も目の当たりにできます。
培養検査はグラム染色の欠点を補うことができる検査です。グラム染色より感度が良いので、グラム染色では確認が出来なかった菌について考察することができます。また、グラム陰性桿菌とざっくり切っても、翌日培養で確認すると培地上のコロニーが全く違うので、グラム染色所見より明確に菌種推定ができます。
グラム陰性桿菌ばかりで、らせん桿菌(Campylobacter)も無いし、これだけではわからないかな。
これだけハッキリしていれば十分に菌種推定が可能ですね。
当日は会場からグラム陰性桿菌で菌が細い場合には腸内細菌群は除外しても良いのでは無いか?という高度なコメントも頂きました。
緑膿菌には抗緑膿菌作用の抗菌薬が必要ですが、Klebsiellaには必要がありません。抗緑膿菌作用を狭めるだけでも抗菌薬の絞込ができていることになります。
コロニーの見方は教科書的には色々あり、臭いや色、光沢、粘り気なども参考になります。
また、グラム染色の大きなメリットは複数菌でも同時に検出可能なことと、それが感染巣から出てきているかどうかの確認も可能なところです。肺炎球菌は尿中抗原でも検出可能ですが、M. catarrhalisは不可能で、尿中抗原のみ陽性でペニシリンだけを使うと失敗するので、グラム染色所見を同時に考えて抗菌薬を選択することが必要です。
培養の欠点をグラム染色で補えますし、グラム染色の欠点を培養で補うこともできます。
ここに身体所見と画像所見、総合的に捉える診察スキルが加わると巨大なパワーが得られるのは間違えないですね。
医師の皆さんは検査室から診療のコツを教えてもらう機会があると思ってもこなかったと思いますが、検査室には色々と情報があります。気になれば検査室に顔を出してみては如何ですか。
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