これは重症肺炎か? その1
先月の更新日を見ると4/18。もう月刊グラム染色道場と化しています。
更新が遅くなり申し訳ありません。FB版は結構まめに更新していますので、そちらも宜しくお願いします。
本日は少し症例を交えてディスカッションをしたいので症例提示します(架空症例なのですいません)。
さて、事例です。
患者:80代、男性。
主訴:鼻水、咳嗽、痰
既往歴:糖尿病(治療中)、高血圧
現病歴:1週間前に近医で感冒と言われAZMの処方を受けた。2日間経っても症状の改善が無く、他院を再受診し、経口セフェム内服。その後2日間経過しても改善が無く当院受診。
身体所見:体温37.5℃、心拍数100回/分、血圧150/100mmHg、呼吸数21回/分、SpO2(ルームエアー)95%。左背部下肺でcoarse crackleあり。胸部Xpにて左下肺野にすりガラス影あり。
臨床検査:WBC 9500、Plt 16.2万、CRP 6.8mg/dl、AST 32、ALT 36、BUN 15、Cre 1.00、Glu 256。
喀痰グラム染色を実施したところ下記の画像が得られた。
これは余計なお世話でしょうか?また、的確な結果報告でしょうか?
少し考えてください。
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コメント
肺炎球菌性で重症化しやすい!
投稿: 後期研修医 | 2021年1月28日 (木) 21時06分
後期研修医様 コメントありがとうございます。
見ての通りグラム染色像は肺炎球菌です。鼻汁もあり、肺炎の所見もあることからこの症例については喀痰グラム染色所見から肺炎球菌性肺炎が疑われます。
ただし、A -DROPスコアは2点で中等症であることから重症ではなさそうです。基礎疾患を有している場合は入院加療になるかもしれませんが、外来フォローも可能かと思います。
血液培養を施行して陰性であれば解熱後2日で抗菌薬が終了できるのではないかと思います。
喀痰グラム染色のみでは重症度は分かりません。必ずカルテを参照しながら(患者の状態を見ながら)今後の対応について確認が必要となります。
検査室は気になれば喀痰グラム染色所見の報告はしておいた方が良いでしょうね。
投稿: 師範手前 | 2021年3月23日 (火) 00時11分