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2017年4月18日 (火)

そうです、ただ見るだけでは無いんです

臨床検査技師養成校(指定校)の病院実習担当を毎年しております。臨床検査技師になるためには病院実習で単位の取得が必要で、医学科のように学校自前で病院を確保してない学校も多いこともあり、色々な学校から学生がやってきます。

学生の特色も様々で、

・都市部の国公立大は半分以上大学院に進むので、病院検査には殆ど興味を持たない学生が来ます。母校は1/4しか病院に行きません(とほほ)。活躍する範囲が拡がるのは良いことなんですがね。

・郊外の国公立大や私立大は病院検査に興味を持つ学生が多いです。

・短期大学や専門学校は病院検査に興味を持つ学生が多いです。
当院には幸い、微生物検査について学びたい学生が来るので、グラム染色のことや最新の薬剤耐性菌検査について教える機会が多いです。

学生のレポートを見ていると、グラム染色の重要性について書いていることがあります
・学校では菌を染めて見ることしか習わないが、染色像や形態を詰めて鏡検すると菌種推定ができて面白い。

・抗生剤の選択を希望する医師に重要な情報を、培養結果が出る前に伝えることができて、抗生剤の適正使用に繋げている。

・培養で検出される菌を予測して、培地の組み合わせを考えることで検査の合理化が図れる。

などなど。

確かに、学校では各検査内容についての教育が主体で、検査結果の組み立てについては殆どありません。ましてや、感染症治療に重要な抗生剤との繋ぎ合わせについては殆ど無く、自分の検査がどこでどのように使われているのか考える時間があまりないと思います。私も学生時代にはローマ字を書いて、細かい難しい名前の試験の何が大切か良く分からないなと思っていました。

先日のレポートでは、「グラム染色はただ単に菌を形態付けて報告するだけでは無く、治療薬の選択まで応用するために、菌を細かく分類して報告することに意義付けがある。検査結果についての臨床的意義付けをしっかり行い、医療に役に立つ検査結果の報告に努めたい。(要約)」と書いていました。良いこと書きますね。

そうです、ただ単に見るだけではないのです。

・菌種が推定できれば情報を伝える。

・材料が不適切なものであれば伝え、可能であれば再採取して貰う。

・抗生剤を分類して、起炎菌の場合は感受性率を参考に抗生剤についての情報も伝える。

グラム陽性球菌(1+)は肺炎球菌なのか?、腸球菌なのか?黄色ブドウ球菌なのか?これは診断を及び抗生剤の選択時には重要です。肺炎球菌はβラクタマーゼを出さないので阻害剤配合は不要ですし、腸球菌ならセフェムは耐性である、黄色ブドウ球菌であればMRSAかもしれない、などなど。

Photo 是非、推定して報告して欲しい喀痰の肺炎球菌(大葉性肺炎)

3 複数菌が見えるのも重要な情報です(肺膿瘍)

23 予期せぬ菌の場合は非常に有用です(肺ノカルジア症)

今年の医師国家試験でも肺炎球菌性肺炎時の抗生剤の選択と、溶連菌菌血症時のde-escalationについて出題があり、グラム染色も幅が広がっています。

Photo_2
Photo_3
普段、何気なくしていることですが、学生にとっては大変刺激的な内容なのでしょう。
基本を忘れず、また応用例についても加えながら楽しく実習を続けさせたいと思います。
教員の方々も学生教育は非常に大切で、大変だと思いますが、1人でも良い臨床検査技師を世の中に送り出したいですね。

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背景など病態把握」カテゴリの記事

コメント

TB,チールネルゼン染色に関して教えてください。
今日、久々に至急TB染色をしました。
この患者、2回目の提出だったので、前回結果を確認したところ、”血痰により、参考値”とコメントあり。
今回も、血痰(新鮮血)でない、茶色痰で、膿性部分たっぷりでした。
TB至急時、私は常にG染色もついでにするのですが、結果は
TB(-)、コーボ様真菌(多数)で報告した。血痰でTB染色、液体培養は偽陰性となることがあるんでしょうか?
核酸増幅法PCRならわかるのですが・・・前回のコメント者は15年も細菌検査従事者なのですが・・・??
つまらない、疑問ですいません。よろしくご教示ください。

投稿: | 2017年5月 4日 (木) 23時07分

TB,チールネルゼン染色に関して教えてください。
今日、久々に至急TB染色をしました。
この患者、2回目の提出だったので、前回結果を確認したところ、”血痰により、参考値”とコメントあり。
今回も、血痰(新鮮血)でない、茶色痰で、膿性部分たっぷりでした。
TB至急時、私は常にG染色もついでにするのですが、結果は
TB(-)、コーボ様真菌(多数)で報告した。血痰でTB染色、液体培養は偽陰性となることがあるんでしょうか?
核酸増幅法PCRならわかるのですが・・・前回のコメント者は15年も細菌検査従事者なのですが・・・??
つまらない、疑問ですいません。よろしくご教示ください。

投稿: | 2017年5月 4日 (木) 23時09分

投稿ありがとうございます。

血痰と喀血は意味が違いますが、今回は血痰が出たということで話をさせて頂きます。

血痰は肺や気管支が出血し、血が混じった痰が排泄されることです。鼻出血が上気道の血液が痰に混じって喀出される場合も含まれますが、前者は肺結核で十分に発生しますが、後者は肺結核とは関係の無い血痰です。

血痰が出ることで、肺や気管支の慢性炎症、肺結核、肺がんなどが鑑別にあがりますので、肺結核除外のために結核菌検査を出すことはあると思います。

今回は茶褐色の痰ということで、緩慢に出血している状態を反映している喀痰という判断で宜しいでしょうか。この場合は感染症では誤嚥性肺炎、肺膿瘍、大葉性肺炎で見かけることがありますし、感染症以外でも肺胞出血、肺水腫でみかけることがあります。そのため喀痰検査としては適していると判断できますが、最終的に適しているかどうかは喀痰スメアの結果になります。白血球が少なく上皮成分ばかりである場合は肺結核の状態を反映していないので参考値になる可能性があります。喀痰の品質評価を顕微鏡下で実施したものかどうか検査室に聞いて頂く必要があります。

一方鮮血痰の場合は気管支や肺が障害を受けて急激な出血を起こし、血餅が血痰として認識される場合があります。その場合は検査に適してないことが多いので、参考値になってもおかしくありません。

痰の色ですが、鮮血か褐色(または鉄さび色)の違いを検査提出時に記録として残す必要があります。当院では鮮血痰は不適切な喀痰として扱うことがあります。顕微鏡下ではマクロファージは無く、下気道から排泄されたものでない可能性があるためです。

結果解釈ですが、当然検査ですので診断するために必要な情報として知る必要がありますが、肺結核を除外する場合はあくまでも培養陰性の結果が必要です。感染リスクを考えた場合には喀痰スメア陰性の結果は重要です。ただし遠心集菌法で3回連続の結果が大切なのはご存知の通りです。結核菌PCRは3回のうち最も良い痰で行うことが効率的で、オーダー時にその旨を伝えることが大切です。当院で一度データを取りましたが、3連痰のうち3回目で塗抹陽性になったものが2割程度あります。1回目、2回目は陰性ですので結核菌PCRも陽性にならないことが多いです。結核菌PCRは塗抹の検出限界と同じと思って頂いても良いので、塗抹陽性時には十分に威力が発揮できますが、塗抹陰性時にはPCR陰性、培養陽性という結果が出る可能性もあり、肺結核の診断には培養検査の結果を見る必要がありますね。

最終的に新鮮血で無い血痰は肺結核の検査には適している痰と理解しています。

投稿: 師範手前 | 2017年5月 9日 (火) 20時54分

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