« 2017年3月 | トップページ

2017年4月18日 (火)

そうです、ただ見るだけでは無いんです

臨床検査技師養成校(指定校)の病院実習担当を毎年しております。臨床検査技師になるためには病院実習で単位の取得が必要で、医学科のように学校自前で病院を確保してない学校も多いこともあり、色々な学校から学生がやってきます。

学生の特色も様々で、

・都市部の国公立大は半分以上大学院に進むので、病院検査には殆ど興味を持たない学生が来ます。母校は1/4しか病院に行きません(とほほ)。活躍する範囲が拡がるのは良いことなんですがね。

・郊外の国公立大や私立大は病院検査に興味を持つ学生が多いです。

・短期大学や専門学校は病院検査に興味を持つ学生が多いです。
当院には幸い、微生物検査について学びたい学生が来るので、グラム染色のことや最新の薬剤耐性菌検査について教える機会が多いです。

学生のレポートを見ていると、グラム染色の重要性について書いていることがあります
・学校では菌を染めて見ることしか習わないが、染色像や形態を詰めて鏡検すると菌種推定ができて面白い。

・抗生剤の選択を希望する医師に重要な情報を、培養結果が出る前に伝えることができて、抗生剤の適正使用に繋げている。

・培養で検出される菌を予測して、培地の組み合わせを考えることで検査の合理化が図れる。

などなど。

確かに、学校では各検査内容についての教育が主体で、検査結果の組み立てについては殆どありません。ましてや、感染症治療に重要な抗生剤との繋ぎ合わせについては殆ど無く、自分の検査がどこでどのように使われているのか考える時間があまりないと思います。私も学生時代にはローマ字を書いて、細かい難しい名前の試験の何が大切か良く分からないなと思っていました。

先日のレポートでは、「グラム染色はただ単に菌を形態付けて報告するだけでは無く、治療薬の選択まで応用するために、菌を細かく分類して報告することに意義付けがある。検査結果についての臨床的意義付けをしっかり行い、医療に役に立つ検査結果の報告に努めたい。(要約)」と書いていました。良いこと書きますね。

そうです、ただ単に見るだけではないのです。

・菌種が推定できれば情報を伝える。

・材料が不適切なものであれば伝え、可能であれば再採取して貰う。

・抗生剤を分類して、起炎菌の場合は感受性率を参考に抗生剤についての情報も伝える。

グラム陽性球菌(1+)は肺炎球菌なのか?、腸球菌なのか?黄色ブドウ球菌なのか?これは診断を及び抗生剤の選択時には重要です。肺炎球菌はβラクタマーゼを出さないので阻害剤配合は不要ですし、腸球菌ならセフェムは耐性である、黄色ブドウ球菌であればMRSAかもしれない、などなど。

Photo 是非、推定して報告して欲しい喀痰の肺炎球菌(大葉性肺炎)

3 複数菌が見えるのも重要な情報です(肺膿瘍)

23 予期せぬ菌の場合は非常に有用です(肺ノカルジア症)

今年の医師国家試験でも肺炎球菌性肺炎時の抗生剤の選択と、溶連菌菌血症時のde-escalationについて出題があり、グラム染色も幅が広がっています。

Photo_2
Photo_3
普段、何気なくしていることですが、学生にとっては大変刺激的な内容なのでしょう。
基本を忘れず、また応用例についても加えながら楽しく実習を続けさせたいと思います。
教員の方々も学生教育は非常に大切で、大変だと思いますが、1人でも良い臨床検査技師を世の中に送り出したいですね。

| | コメント (0)

2017年4月 7日 (金)

【ご案内】第24回日本臨床微生物学会教育セミナーの開催について

勉強会の開催案内ばかりですいません。

今年の8月に神戸で教育セミナーを開催します。先日、学会ホームページにも掲載し、募集を開始しました。まだ先の話のようですが、予算取りなどあると思いますので早めに紹介します。

日程:平成29年8月19日(土曜日)午前9時~8月20日(日曜日)午後1時
場所:神戸市立医療センター中央市民病院 講堂
担当:笠原 敬(奈良県立医科大学感染症センター)、山本 剛(神戸市立西神戸医療センター臨床検査技術部)
テーマ:臨床現場で期待される微生物検査室の構築

------

プログラム

8月19日(土曜日)1日目

午前(9時~11時30分)
 講義1:感染症医から見た微生物検査室のあり方
  講師 奈良県立医科大学感染症センター 笠原  敬
 講義2:同定感受性結果を待たずに検査結果を有効に活用するためのノウハウを学ぶ
  講師
  (1)塗抹検査結果をどう活かすのか?
   西神戸医療センター臨床検査技術部 山本  剛
  (2)簡易検査で報告できる同定結果
   関西医療大学保健医療学部 大瀧 博文
  (3)感受性検査結果を予測できる簡易検査の活用
   神戸大学医学部附属病院検査部 中村 竜也

午後(13時~17時30分)
 講義3:耐性菌サーベイランスを現場に活かす
  講師 大阪国際がんセンター感染症センター 河村 一郎
 講義4:微生物検査と抗菌薬サーベイランス
  講師 京都薬科大学 臨床薬剤疫学分野 村木 優一
 講義5:本音で語る 微生物検査室ディレクターの仕事
    ~微生物検査技師の人材育成と効果~
  講師
  (1)大学病院の立場から
   順天堂大学病院医学部附属病院順天堂医院臨床検査部 三澤 成毅
  (2)市中病院の立場から
   亀田総合病院臨床検査部 大塚 喜人
  (3)検査センターの立場から
   株式会社エスアールエル 島川 宏一

ランチョンセミナー(仮題)微生物と免疫
  講師;奈良県立医科大学免疫学講座教授 伊藤 利洋

8月20日(日曜日)2日目

午前(9時~12時)
 講義6: 感染制御における微生物検査技師の役割
  講師 金沢医科大学臨床感染症学 飯沼 由嗣

 演習:ケーススタディ方式によるグループディスカッション
  プレゼンター
  (1)兵庫県立尼崎総合医療センター感染症内科/ER総合内科 松尾 裕央
  (2)兵庫県立こども病院感染症科 笠井 正志

講義の順番については入れ替わる場合があります。日程等は後日ホームページでお知らせします。

参加費:5,000円
交流会費:4,000円
募集人数:100名(先着順受付)
参加資格:当会会員であること
申し込み方法
E-mailまたはFAX・往復はがきに、以下の事項を明記し、下記事務局までお申し込みください。(1)第24回日本臨床微生物学会教育セミナー参加希望、(2)交流会の参加希望、(3)所属、(4)氏名(フリガナ)、(5)会員番号、(6)連絡先住所、(7)電話番号、(8)FAX番号、(9)メールアドレス、なお、往復はがきで申込の際は返信用はがきに宛名・宛先を忘れずにご記入ください。

締め切り:平成29年7月14日(金曜日)必着
申込先
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-26-2 五反田サンハイツ1209
日本臨床微生物学会事務局 E-mail:jscm@qk9.so-net.ne.jp
TEL:03-5437-1480 FAX:03-5437-1488

--------

神戸の夜を堪能して頂けるような意見交換会も考えています。

皆様宜しくお願いします。

Photo

| | コメント (0)

« 2017年3月 | トップページ