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2016年8月11日 (木)

喀痰グラム染色はここまで分かることがある

当院でグラム染色至急と言えば、喀痰と尿と関節液。

それぞれ採取してから30分以内を目処に報告をしています。

喀痰グラム染色所見は抗生剤の選択をする上で重要ですが、当院では病態も含めてコメントをすることがあります。

例えば、2週間ほど咳が止まらないという主訴で来院する患者ですが、痰切れが悪いということがわかり喀痰グラム染色のオーダーがあります。

「喀痰グラム染色所見を見て頂きたいのですが・・・」という依頼でやってきますが、所見として見る点は以下のとおりです。

①喀痰として適切に採取されているものかどうかの判断。
②①であれば多核白血球が多いかどうか。
③②の時には白血球の種類と量(どれが多いか)、核が明瞭か否か(不明瞭な場合は古いことを示します)。
④多核白血球優位の場合は微生物が居るかいないか確認する。微生物の確認があれば優位な微生物についてコメントをする。

例えば下記の場合はこのように言います。
「多核白血球が優位にあり、グラム陽性双球菌があり肺炎球菌を疑います。一部莢膜形成もありますので間違い無いと思います。貪食像は少なめですが見られます。」

→肺炎球菌性肺炎を示唆する所見としてコメントします。

4 喀痰1000倍

オーソドックスですが、的確なコメント内容だと思います。
しかし、菌が見えない場合はどうしましょう?

咳や痰が出るので出す場合がありますが、下記の場合はどうしましょう?

2 3 喀痰1000倍

このスメアから分かるのは、多核白血球は少ないが存在すること、フィブリン糸のような線状うの物質に絡みあうようにすりガラス状の粘液糸が確認される。上皮でも線毛上皮が多く見られ、マイコプラズマ肺炎のような異型肺炎を疑います。多くがマクロライドやテトラサイクリンの投与が検討されます。

CLINICAL MICROBIOLOGY REVIEWS, Oct. 2004, p. 697–728

この場合は粘液糸とフィブリン糸の交錯がポイントになります。
また、このようなスメアはどうしましょう?

今度は白血球はありますし、線毛上皮や粘液糸はありますが、フィブリン糸はありません。

これは気管支喘息の悪化に伴う像です。慢性炎症に出てくるマクロファージも見えます。少しマイコプラズマ肺炎とは異なる像です。

Photo_3 2_3 1000倍

また、気管支喘息の場合は肺実質に炎症所見が無いことがあり、胸部X線はキレイなことが多いと思いますので、マイコプラズマ肺炎じゃないと予想は付きます。こういう場合は抗生剤処方を一時見合わせて経過をみていくようです。

このようにグラム染色で病態把握をすることでより診断に近いものになります。

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