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2016年1月 4日 (月)

グラム染色で勝つ!!

ブログ愛好家の皆様、新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。

皆さん、初夢は如何でしたか? 私は見たか見ていないか覚えていません。
おみくじを引きましたが見事大吉を引き当てました。この1年も頑張れそうです。

さて、グラム染色による感染症診療支援は根付いているようで、まだその威力を発揮していない施設も多いと思います。うちもその一つですが、もっと誰もが第一線で簡単にできるようになればと思いますが、やはり染色は簡単でも鏡検に技術が必要なので難しいこともありますね。

これからインフルエンザが流行する時期になりますが、ウイルス性の呼吸器疾患に続発する細菌性肺炎があります。インフルエンザ罹患後にはS. aureusによる肺炎が有名(http://wwwnc.cdc.gov/eid/article/12/6/pdfs/05-1141.pdf)ですが、肺炎球菌性肺炎も調べると沢山あるんだという報告(http://www.cdc.gov/mmwr/pdf/wk/mm58e0929.pdf)もあります。

肺炎球菌と黄色ブドウ球菌にはペニシリン耐性菌がありますが、肺炎球菌は黄色ブドウ球菌と異なり、β-ラクタマーゼを産生しません。そのため、ペニシリン耐性とは名前が付きますが肺炎由来の場合はペニシリンが第一選択となる機会が多くなります。

では、インフルエンザの既往がありその後に肺炎になった場合には、この両者をどのように区別して抗生剤を選択すれば良いのだろうか。最初からブロードな抗生剤を行くから関係ないよと思っている人はいないでしょうか。両者はグラム染色をすることで分けることができます。

喀痰グラム染色をして下記のような莢膜をもつグラム陽性でペア、またはレンサ球菌が多数確認された場合は肺炎球菌がかなり強く推定できます。

Photo
この場合はペニシリンが第一選択になりそうです。

また、黄色ブドウ球菌の場合はクラスター形成するグラム陽性球菌が確認されます。

Mssa3
形態上かなり違うので鑑別がしやすいと思います。

この場合はペニシリンのみであればβ-ラクタマーゼで分解されて効果が発揮できないでしょう。

黄色ブドウ球菌かコアグラーゼ陰性ブドウ球菌か判断できないじゃないかと思う方も居ると思いますが、その通りです。培養してみないと何とも言えませんし、MRSAかどうかもこのスメアからは判断し難いと思います。

しかし、膿性痰でこのように喀痰スメアで多核白血球が多数あり、貪食も多い場合は黄色ブドウ球菌を強く疑わないといけません。MRSAかどうかは既往があるのか、保菌圧の高い場所(医療施設や集団生活を送る場所に滞在している期間が長いなど)に居なかったなど患者背景により推定することが必要です。超重症肺炎であれば抗MRSA薬の投与の避けれない状況もあるでしょう。ブドウ球菌多数と分かるだけでも有用な情報になるのは間違いありません。

このようにグラム染色を駆使すると少し抗生剤の使い分けもできます。

こういうのカプセル状のブドウ球菌が沢山ある場合は黄色ブドウ球菌の可能性MAXです。培養したらMSSAが発育してきました。

Mssa5
また、このようなスメアに遭遇した場合も抗生剤の選択が少し変わるでしょう。

Photo_2肺炎球菌とモラクセラの混合性肺炎

モラクセラ(M. catarrhalis)はβ-ラクタマーゼを産生するので、ペニシリンを分解してしまい、肺炎球菌には効果がありますが、肺炎の治療としては効果が期待できません。この場合肺炎球菌尿中抗原をすれば陽性になるかもしれませんが、モラクセラが居ることは教えてくれません。

やはりグラム染色は偉大です。

皆さん、今年もグラム染色を使い病原菌に勝つように頑張っていきましょう。

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コメント

本年もよろしくご指導お願いいたします。

師範手前様のブログ写真は本年も研修医および指導医も含め活用させていただいています。

中々これほど綺麗な写真は素人では難しいと思います。
頭がさがる思いでいつも勉強させて頂いてます。

今年もますますマニアックな話題もっと期待してますからね。


投稿: 倉敷太郎 | 2016年1月 7日 (木) 21時48分

 師範手前さま、本年もよろしくお願いいたします。
 肺炎球菌とモラクセラの混合性肺炎の時、選択抗菌薬としては、やはり肺炎球菌への抗菌活性を考えたら、患者さんの状態が内服で治療できそうであれば、”オグサワ”でしょうか。オーグメンチン375㎎2錠+サワシリン250mg2錠 1日2回朝夕 とか。
 第2世代セフェム、という手もあるのでしょうか。ただ、先日、PSSPなのに培養ではなぜかCEZ,CTM,SBT-CPZで”R”判定の症例があって、ええっ、と思いました。
 あるいは、LVFXというキノロンに逃げるか、ですが、キノロン耐性の肺炎球菌もあるので、と思うと、やはりオグサワのほうがいいのでは?と思いますが、この考察はいかがでしょうか。

投稿: 三省 | 2016年1月12日 (火) 18時17分

モラキセラの混合感染がグラム染色で認められれば抗菌薬の工夫は必要ですが、案外日常のグラム染色でモラクセラの混合感染は見つけやすく思います、インフルエンザ桿菌同様、貪食像が確認できる感染症のため病態を推定しやすいです。
今の時期的に多い小児にかぎらず成人の気管支炎肺炎感染症患者では少なくないように思います。
小児にサワオグ、気になるのは副作用はどうなのか気になります、成人では当院でも使用経験がありますが・・・
確定後の小児の短期使用ではいかがでしょうか、ご指導ください。

投稿: 倉敷太郎 | 2016年1月12日 (火) 22時09分

三省さま

いつもありがとうございます。本年も宜しくお願いします。
>PSSPなのに培養ではなぜかCEZ,CTM,SBT-CPZで”R”判定の症例があって、ええっ、と思いました。

の件ですが、もともとCEZやCTM、SBT/CPZの判定基準がありませんので何とも言えません。どのように判定基準を作られているのか聞いてみては如何でしょうか。

倉敷太郎様
いつもお世話になっています。
Moraxella catarrhalisの解釈って難しいですよね。特に小児では喀痰で見えても保菌と判定されることが多いという報告もありますしね。肺炎像があれば別なんでしょうがね。
Neisseria属の特徴として貪食像として捉えられていますが、実は細胞内寄生で見えているということです。英語表記も良くintracellutionと記載がありますし、本当に難しいです。
COPDの場合はかなりキツイ肺炎になるので、その時は電話報告をしています。

投稿: 師範手前 | 2016年1月20日 (水) 22時38分

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