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2015年8月 4日 (火)

これぞ極みの世界

暑中お見舞い申し上げます。皆さん元気ですか?

先日、京都でチーム医療のセミナーがあり実務委員で参加させて頂きました。
前日が暑かったので、天気予報で最高気温を見ると「予想 37℃(前日比-2℃)」と紹介されていました。37+2なので前日39℃。普段熱形表で見ている患者さんの体温では無いですか。で、当日は予想を上回り39.2℃も猛暑でした。神戸に帰ってきて36℃が涼しいと思ってしまいました。

さて、たまに臨床推論の勉強会に参加させて貰います。色々と患者背景や身体所見、臨床検査所見などを総合的に解釈しながら最終診断を行うものです。
少しFACEBOOKに掲載したものをアレンジしますが、グラム染色も似たような推論を行うことが多いので、この思考過程は非常に検査の役に立ちます。
たまにはこのような極みの世界が出てきます。
血流感染を証明するために血液培養を採取すると思います。元々血液中の菌数が少ないために、血液の直接スメアは行わずに血液は直接培地に添加を行います。

血液培養が陽性になると最初いグラム染色像を見て、鏡検で見えた菌の対して、適したサブカルチャー(寒天培地に分離する作業)を行い、単一菌と確認した上で同定と感受性検査を行っていきます。当院では陽性例の約90%が単一菌のみの検出例である状況です。

最近では質量分析法を用いた菌種同定が5分程度で出来てしまうため、血液培養からのグラム染色法の活用度合いも下がってきましたが、まだまだ使えるものだなと思います。

血液培養は殆どの施設(外注含む)で自動機器を使用しています。陽性になればシグナルが鳴り、教えてくれます。そして培養ボトルを抜きますが、その場合、血液が混入した培地は濁ったり、溶血したりとそれぞれ検出菌に応じた顔になっています。

そして、抜いた瞬間に培養ボトルの色を見て菌が推定できることがあります。

20150729_184851_2

グラム陽性の連鎖球菌はその代表的なもので、究極にはその色で菌種推定を行う他、患者さんの病態が推理できるものが多いです。

もちろん、グラム染色の形態的特徴を重ねて確認するとより協力な推論材料になります。
写真はその例です。興味がある方は検査室に行き微生物技師さんに見せて貰ってください。

①Viridans group Streptococci 溶血が緑がかって見えます。
→感染性心内膜炎を疑い報告時にコメントを残す
(肺炎球菌はこれに類似しますので注意が必要です)

②Enterococci やや混濁した溶血(ワイン色)が見えます。
→急性腎盂腎炎や急性胆管炎を疑い報告時にコメントを残す

③β haemolytic Streptococci 非常に透明度の高い溶血(ワイン色)が見えます。
→蜂窩織炎や壊死性筋膜炎、化膿性関節炎を疑い報告時にコメントを残す
グラム染色と並べるとこんな風になります

Photo

微生物検査に興味が湧いてきた方は、検査室へGO!!

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コメント

いつも勉強させて頂きありがとうございます。
細菌検査技師の先生方は色、匂い、形など様々な細菌の特徴、検出された患者背景など、様々な点を考えての菌の予想、同定。なんとか話について行こうとしがみついております。
今回の溶血に関しても、バイアルの比較は見たことがなく、大変勉強になりました。
今回は血液培養の培養後のボトルの見た目での違いでしたが、Group A Streptococcus陽性の方で(TSLS、数日間の透析施行)、一般、生化の血液検査が連続して溶血コメントが入っていた経験がございます。採血手技ではなく細菌による溶血の可能性もあったのでしょうか。
採血での陽性をもって診断につながるものとは思ってはおりませんが、本症例を症例検討会にあげる機会があり、参考にさせて頂きたく書き込ませて頂きました。
ご多忙とは存じますが、ご教授頂けますと幸甚てます。よろしくお願い致します。

投稿: 抗菌薬半人前薬剤師 | 2015年8月12日 (水) 21時34分

抗菌薬半人前薬剤師様

コメントありがとうございます。
元々、溶血性疾患や赤血球膜の脆弱な方であれば溶血もしますし、採血手技でも溶血はあります。

末梢循環不全があれば採血も難しいでしょうし。

上記2つが無ければ溶血毒による溶血の可能性はあると思います。しかし、菌増殖をしなければ明瞭か確認はできず、採血しただけでその結果であれば相当なショック状態にあると言っても過言ではありません。C. perfringensによる敗血症性ショックを経験した時は既に溶血が多かったように思います。

投稿: 師範手前 | 2015年8月13日 (木) 20時01分

お忙しいなか、ご回答頂きましてありがとうございます。
培養はもちろんの事、その他の検査も、影響のある様々な病態や、要因がある中での結果であると再認識させて頂きました。
処方箋の向こう側を考えるだけではなく、検査の向こう側、検査が行われている現場も考え、結果をきちんと評価し、薬剤の選択、評価ができるよう勉強します。
今度ともよろしくお願い致します。

投稿: 抗菌薬半人前薬剤師 | 2015年8月24日 (月) 21時33分

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