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2015年2月 6日 (金)

第二回 グラム染色道場 オフ会が無事終了

昨年から臨床微生物学会総会・学術集会の時期に合わせて「オフ会」と称したグラム染色に基づいたカンファレンスを開催しています。

昨年は名古屋、今年は東京で学会があるということで、神奈川県下微生物大好きな有志の方たちにお世話して頂き横浜で開催させて頂きました。物凄く盛り上がりました。

1 やはり、みなとみらい地区はいつみても綺麗です。

今回参加された方の多くは微生物、いやグラム染色マニアの方たちで、38名(うち臨床医2名)の参加がありました。

ご飯とビール片手に、ケーススタディ方式で、それぞれグラム染色所見を見てどうった微生物を推定するのかというものです。
2 開催前から既に盛り上がり気味

運用については以下(関西の面々で行っている臨床推論を高めるカンファレンスである、DHC(Diagnostic High level Conference)通称ど変態カンファレンス方式を採用しています)

・優秀者には商品があります。私から本を謹呈しています。

・答えは紙に書いてもらいます。解答者が分かるようにしています。1問ずつあり即時回収をしてきます。ググる時間は与えないガチ勝負です。要は自分が勝てば良いので、隣と話をすると自分が損をする。また、追加質問は自分しか分からないような質問をすると尚良い。

例えば、グラム陰性桿菌が見えて、「オキシダーゼ試験の結果は何ですか?」というのは皆さんのヒントになるので質問の質が問われます。

・患者サマリーに加えてグラム染色所見を参考に起炎菌を種レベルで解答します。

・4題出題しますのでその合計点で争います。
3 さて、SS君の司会で会が始まりました。

4_2 トップバッターは去年幹事のSさん

新生児の体液でずんぐりむっくりしたやや薄い紅色のグラム陰性桿菌→Prevotella biviaでした。

アミン臭(窒素化合物のツンとした臭い)が強いというのがヒントでした。

Photo これは「あみん」。たぶん匂いは良いはず。

ちなみに個人的にはグラム染色を見なくても菌名が当たりました。おほほ。
5 二番手は来年幹事のOさん

免疫不全の患者で発生した、グラム染色で見えない?、抗菌薬が一時的に効果があった肺炎→肺結核でした。

好中球が沢山あり、菌が見えない場合は抗酸菌は外せませんよね。

キノロン投与し一時的に軽快しても最終的に重症化するのが多いですからね。ちゃんと診察して勧めたい抗菌薬の一つですよね。(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21195001

Photo_2 三番手はTさん(S先生から拝借)

血液培養から湾曲したグラム陰性桿菌が発育したお婆さん→なんと、V. choleraeの菌血症。Vibrioって腸内細菌より一回り大きいし、湾曲する傾向がありますが、あそこまで湾曲するとは、思わずH. pyloriって書いてしまった・・・。

6 しんがりは私(SSさんから拝借)

眼が突然痛いと言って来院された農家の女性→Aeromonasの眼窩蜂窩織炎
Photo_4 湾曲した中型のグラム陰性桿菌。緑膿菌との鑑別が難しいところです。

今回は葉野菜の収穫が忙しく、結膜炎の上から眼を擦ったら腫れたという症例でした。これは年末の桶狭間カンファレンスでも出した症例です。

農家→栽培農家→葉野菜→巻いて育つ→淡水が溜まる→バイオフィルム化→Aeromonasの曝露リスク↑→汚染された手で眼を触る→粘膜に付く→腫れる

世界で2例目の報告でした(これは1例目:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15077892

野菜でも葉野菜はAeromonasの付着率が多いという報告があります。

Aeromonasは水曝露の細菌です。河で遊んだり、水泳したり、生水、生ものの喫食歴が鍵となることがあります。この菌が出れば淡水との接触が無いか聞きこむのが大事です。

ちなみに、玉葱はB. cepaciaが関係してきます。

小さいですが表紙のスライドはこれです。

Photo_3 写真は我が兵庫県が誇る発電量日本一の奥多々良木ダム

え、ダム?と思いでしょう。ダムは英語でHydroとも言います。

ダムが好きなのか?という発想ですが、菌の中でなになにが好物だよと言う場合にPhilaという文字が菌名に入りますよね。L. pneumophila(肺が好き)、Haemophilus(ヘモグロビンが好き)とかもそうです。

ということで、ダム好きとくれば→Hydro Phil→A. hydrophilaが想像できるようになっています。

グラム染色を見なくても菌名が分かるようになっています。

ちなみに、ダム好きのファンであればご存知日本ダム協会が出している刊行誌「ダム日本」の表紙を頂きました(http://damnet.or.jp/jdf/dniback.html)。ちなみに私はダム好きではありませんので悪しからず。

点と点を結んで線にして、一つの症例について診断していく。感染症の診断には微生物の検出が大きなウエイトをしめてきます。それは治療方針の決定に必要なので。

推論を高めてグラム染色を覗く。

覗いたものが典型像と合致するのか検討する。

耐性菌について考える(グラム染色では耐性菌かどうかは分かりませんが、菌が絞り込めれば自然耐性の抗菌薬は分かります)。

想像と食い違えた場合は見直して検討をしなおす。

こういったトレーニングを積むことでグラム染色がもっと役立つものになるはずです。
来年は仙台で学会です。また前日にオフ会を予定しておりますので近づきましたら紹介します。また良ければ参加してください。

T_2  当日配布したTシャツ(非売品です)

T_3 予算の都合でカラーには出来ませんでした。おじさんはHans Christian Joachim Gram氏

Photo_5 参加賞にはキットカットがありました。

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コメント

こんなに楽しく、横のつながりも拡がるグラム染色のオフ会(カンファ)はここだけだと思います。

多くの人がこのBlogを見ていると思うので来年に向けてアピールさせて頂きます。

まだ参加されたことのない方(もちろんされた方も)、開催告知を見かけたら迷わず申しこんでください。すぐに予約枠は埋まってしまいます。
臨床微生物学会とセットの名物企画としてグラム染色マニアに浸透していくことを願っています。

投稿: 司会のSS | 2015年2月 7日 (土) 11時50分

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