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2015年1月22日 (木)

第26回日本臨床微生物学会総会・学術集会のお知らせ

来週の1/31、2/1に東京で第26回日本臨床微生物学会総会・学術集会が開催されます。

今回はベーシックレクチャー2でグラム染色のお話をさせて頂く機会を得ました。

内容ですがベーシックだけに基礎的な話になりますが、それを中心に話していきます。
出来るだけ2-3年の経験者でも解るような内容にしていきますが、それでは少し詰まらないので実臨床の話も加えたいと思います。

内容を少し紹介します。

皆さんもご存知ですがグラム染色は診療報酬で61点となっています。

グラム染色は感染症診療を行う上で原因微生物の特定を行う臨床検査の一つです。

・微生物検査は時間がかかると思われがちですが、グラム染色のTAT(turn around time)は非常に短い。

・臨床検査の中でも比較的低コストで実施でき、微生物検査室が無くても検査ができる。

・一度に複数菌が存在しても判断ができ、菌種によっては推定ができる。

・材料評価に用いることで培養結果の解釈時に参考になる。

・結果を通じて臨床医とコミュニケーションが図れる。

「グラム染色で何が解るんですか?」とか、「感染症の診断は出来ないでしょう」とか言っている人は居ないでしょうか。

感染症を起こすと多くの場合は原因菌の増殖が旺盛になります。増殖してくれば抗菌薬の前投与やグラム染色で染まらない菌以外は見えてくる機会が増えます。それが無菌材料から検出することができれば起炎菌の可能性が高まりますし、常在菌の混入が考えられる材料(例えば喀痰)でも優位な菌であれば起炎菌の可能性が高くなります。そのため日常診療の中でグラム染色を行うだけで起炎菌が推定可能になり、それに適した抗菌薬の投与が可能になります。

自覚症状や臨床所見から感染症であることや感染臓器の特定は可能ですが、多くは起炎菌の種類は解りません。肺炎などはその代表的な感染症と思います。
まだグラム染色をされていないが感染症診療に携わっている医療従事者の方々、またはこれから志す学生の皆様、微生物検査室の門戸を叩いてみてはどうでしょうか。

ところで感染症診療の原則という言葉は色々な場所で聞かれるようになりましたが、「グラム染色の原則」という言葉は良く思えば無かったかと思います。

少し考えてみました。

「グラム染色の原則」

・適切に採取された検査材料を用いる
・綺麗な標本を作成する
・正しく染色を行う
・正しく判読をする
・解りやすい結果を報告する

どうでしょうか?他に何かあれば教えて下さい。

あと、検査結果には限界があり、その限界について考慮するなどでしょうかね。
やはり正しい染色技術は大切なスキルの一つです。

下記は尿から検出された腸内細菌(大腸菌)ですが、後染色(当院はパイフェル液)の時間を変えて見てみました。

1 パイフェル液10秒
2 パイフェル液30秒

後染色の時間は適当にしても染まることが多いですが、実はしっかりと時間を置かないと推定菌の判断に迷うことがあります。尿だから迷わないかもしれませんが、時間が短いと染色性が少し損なわれます。

嫌気性菌や緑膿菌は染色性が腸内細菌に比べるとパイフェル液の染まりが少し悪いことがあります。皆様、少し気にしながら染めてみて下さい。

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コメント

TATが非常に短いという利点を,最大限生かす

その日に返せばいいや,というスタンスでは意味がない


原則に加えるべき内容ではないですが,
当たり前のことを当たり前に思えていない人も見受けられますので・・・。
臨床が何を求めているのか,しっかりと意識して検査に臨みたいと思います。

投稿: Kei | 2015年1月28日 (水) 18時02分

Kei様

微生物検査に興味をあまり持たない医師は多いと思います。

必要なのは治療の目安ではないかと思います。
菌種によって抗菌薬を選択して確実に治療することは最低限必要になりますよね。

緊急性の高い疾患であれば同定の手段についは言及は少なく病原性の高い菌なのか、感受性を持つ抗菌薬は何なのか、感染巣はどこなのかということを聞いてくる人が多いですね。

61点分で十分すぎる結果を報告することがG染色の最大限の効果と考えています。

今回は本当に基礎的な話です。
菌の形をどのように表現して、その菌かどうか分別する。
分別すると何を考えて、どう報告するか。
疾患やデバイスにより出てくる菌種も特徴があったりしますのっで最後はその内容についてどう情報を掴むのかという話をします。

簡単すぎたらすいません。

投稿: 師範手前 | 2015年1月28日 (水) 19時12分

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