迅速に報告してこそのグラム染色
先日はカルテねたで書かせて貰いました。意外にも反響が大きく載せて正解だったと思います。
さて、グラム染色を毎日見ていますが、その醍醐味と言いましょうか有効活用の場は以下の2つでは無いでしょうか。
・初期治療の抗菌薬を絞る:臨床所見などからある特定の起炎菌が推定され、その確認のために行う。
例えば、市中肺炎の肺炎球菌などは最たるものでは無いでしょうかね。前から言っているように画像では場所は確認できても、それが肺炎なのか、また起炎菌が何なのかは解りません。
・予想が外れたので抗菌薬(治療方針)を変更する:
例えば、細菌感染症と思っていたら酵母様真菌が確認された場合など。カルバペネムを入れているからの安堵感は一瞬んにして無くなります。そのインパクトは計り知れないものでしょう。
こういうのはありきたりの内容なので皆さんはしっかりと報告されていると思います。
特に、「予想が外れたので抗菌薬(治療方針)を変更する」というところは、既に抗菌薬が投与され安心感が少しは漂う状態になっていると思うので、しっかりと出来るだけ早くコメントをしたいものです。不適切な治療を継続する意味は無いと思います。
例えば、こういう症例があるとします。
クローン病がベースにある患者で下痢が酷くなってきたので来院してきた妊婦の場合ですが、原疾患の悪化と安易に考えてしまいステロイドを投与する場面もあるかと思います。
そうです。便で見える魅惑のらせん桿菌であるCampylobacter。
http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/campylobacter-d.html
カルテを見ているとそんなことが書かれています。
http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/campylobacter-d.html
カルテを見ているとそんなことが書かれています。
直ぐに電話です。
検査;「先生、便のスメアでCampylobacterが見えています。」
主治医;「・・・、え、ほんまに!?」。「治療した方が良いんかな?」
検査;「先生、便のスメアでCampylobacterが見えています。」
主治医;「・・・、え、ほんまに!?」。「治療した方が良いんかな?」
検査;「調べると、妊婦の場合は治療が必要な群になっていますけどね。」
報告した甲斐があり治療が奏功する例です。
報告した甲斐があり治療が奏功する例です。
患者さんに喫食歴を聞き直してみましょう。中々言えないでいる鶏刺しの喫食歴ありと追加情報が出てくると思います。
何はともあれ、何かおかしいので早く報告した方が良いのでは無いかという疑問を持つことは大事ですね。感染症診療に携わっている以上、そのあたりのアンテナはしっかりと磨いておきましょうね。もしくは何か見える時計など持ち合わせてみてはどうでしょうか。
直ぐに報告してこそのグラム染色だと思います。
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