« ご無沙汰しております | トップページ | 第19回神戸グラム染色カンファレンスの開催 »

2014年6月25日 (水)

ぐっとくる診察記事とグラム染色

当院でグラム染色所見を確認する場合に行っていることは主に下記の通りです。

・患者のサマリー(現病歴や既往歴、社会歴など)
・身体所見の確認
・検査所見(臨床検査、画像所見など)の確認


医師だと当たり前の行為かもしれませんが、臨床検査技師は検査室が中心の活動であり、現場に立ち会う機会が少ないため、この辺の重要な内容を情報として得ないことが多いのです。

グラム染色を見ていると、推定起炎菌が確認される局面が出てきます。
肺炎球菌のように明らかにこれだろうというものは良いのですが、中々そこまでは自信が無い場合もあると思います。

「グラム染色の結果を急いで欲しい」という要望も多く貰っていますが、そこに診察で得た情報が多ければ多いほど推定起炎菌の情報は出しやすいと思っております。

先日も診察記事に「反跳痛+、筋性防御-」という情報の記載がありました。

細菌検査室の中で「これが意味していることは何でしょうか?」という質問をしましたが明確な答えは返ってきませんでした。当たり前です、学生の頃もそうですが、卒後教育の中でそのような言葉を仕事の一部として使うことは無かったからです。

これは主に腹部の状態を表しているものです。腹痛といっても胆嚢から大腸、穿孔も含めると色々な病気が隠れています。まあ、外科で開腹手術をするとなると確認も出来て早いのですが、そうはいきませんよね。

・反跳痛(rebound tenderness):お腹を押して離した時に痛みが出ること。普通は押している時に痛いのですが、そうでは無く離した時の方が痛いという所見です。これは腹膜刺激症状の一つであり、腹膜まで炎症が波及したかどうか確認するものです。ちなみに虫垂炎の時の反跳痛はブルンベルグ(Blumberg)徴候と言います。

・筋性防御(muscle defence):腹膜の炎症が更に酷く(汎発性腹膜炎)なり、腹部が板のように硬くなるものです。即手術が必要なサインです。

以上より、腹膜炎があることが解りますが、内科的な治療継続をするのか、手術適用かどうかはこれから精査ということになります。

子宮内膿瘍が採取された場合にも、このような所見を確認した上でグラム染色像の確認をします。

400 ×1000

複数菌種が確認され、嫌気性菌を疑うような所見が確認されます。大腸との癒着や穿孔などを考える良い検査結果になるかもしれません。

こういうことを知った上で、診察記事を読んでいるだけで緊張感が高くなりませんか?
普段より会話や記事記載があるが何となくしか解っていないより、このような大事な記載を解釈することもグラム染色を読む上では大切な内容と思います。色々と知るとグラム染色も発展するかもしれませんね。

参考に良く書かれているものとして

・髄膜炎のチェックをしている所見(髄膜刺激症状の確認):項部硬直、jolt accentuation(ジョルトサイン)、ケールニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候など 
>項部硬直:寝転がり首を持ち上げると肩から上がる(顎が胸に着かない)。
>jolt accentuation(ジョルトサイン):頭を振り、頭痛が増強するかどうか確認するもの。

Photo ×1000 髄液Cryptococcus

・腎盂腎炎、水腎、腎結石、腎膿瘍のチェックをしている所見:肋骨脊柱角叩打痛(CVA tendeness)
>こぶしでコンコンと叩く(ダンダンと叩かない)と痛い。尿路系の異常を確認する。
更に興味を深めたい方はねじ子先生の本がお勧めです。本屋の回し者じゃありませんので。

Gbs6002 ×1000 腎盂尿Streptococcus agalactiae

「ねじ子のぐっとくる体のみかた」
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=84798

|

« ご無沙汰しております | トップページ | 第19回神戸グラム染色カンファレンスの開催 »

その他」カテゴリの記事

コメント

原因菌とそれが引き起こす症状から疾患を推察するのは面白そうですね♪逆も推測した菌が出てくると面白そうです(*^^*)

投稿: さくら | 2014年6月25日 (水) 20時35分

さくら様 早速ありがとうございます。
そうですね、グラム染色所見も一つの臨床推論ですのでグラム染色所見から疾患を推測することも可能なものがあります。

投稿: 師範手前 | 2014年6月25日 (水) 22時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ご無沙汰しております | トップページ | 第19回神戸グラム染色カンファレンスの開催 »