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2014年6月16日 (月)

ご無沙汰しております

今年度と次年度の計画づくりなどこの時期は忙しく、また梅雨入りに伴って毎年恒例の体調不良も重なりブログ更新が上手くいっておりませんでした。

お会いする方々からブログに対する応援メッセージを頂きますが、最近は催促されたりと色々と迷惑をかけております。また色々と要望なども頂ければと思います。
今週始まる感染症学会でお会いできることを楽しみにしております。
さて、細菌検査は検体を依頼され、その材料中の病原菌を的確に同定して、併せて治療に適した抗菌薬を選んで頂くために感受性検査を報告するのがミッションです。
検査を依頼されて、材料に見合った寒天培地を選択して翌日検出菌をピックアップする。その前にある程度増えた菌はグラム染色で確認が出来るので、依頼されたその日のうちに報告する。こういうプロセスで進めています。
検体が来た場合に、材料の質などもチェックします。それは適切な条件で採取された材料なのかどうかのチェックです。まあ、無いとは思いますが、髄液として頂いた検体を顕微鏡で見ると扁平上皮が沢山あり、複数菌種確認された。つまり、喀痰を示唆するグラム染色像が得られたが、普段見ている像とは違うことに気付きます。こういった場合は、材料が適切に採取されていないことやラベルを貼り間違えて依頼されたなどミステイクが理由の場合があります。しかし、病態によりこのような状況は可能性として0(ゼロ)では無いので、主治医に採取条件を聞いたり、カルテ上で患者の状態を検索したりする訳です。
こんな状況はどうですか?
外来から20歳代前半男性の尿が出てきました。スメアは下記の通りです。

Photo ×1000
通常、年齢、性別、材料から想像するとこんなのが出てくると予想されるので、そのマッチングを行うと思います。
2 ×1000 (N. gonorrhoae)

600×1000 (E. coli)
おかしいなと思い、カルテを除いて採取条件を確認すると、患者さんは下半身の稼働障害がある方でした。寝たきりのため、排尿が満足に行えず尿路感染症を繰り返し、一部尿路変更をしているようです。
そうすれえば、複数菌感染もあり得るし、緑膿菌の可能性も出てくる。
また、閉塞は強い場合などは嫌気性菌の尿路感染症も可能性として残る。人工物留置の場合は閉塞していることもある。
私たちが年齢と材料で判断していると思わぬ落とし穴が存在します。普段と異なる状況がスメアで確認された場合は、そのまま直ぐに報告せずに、一度カルテに目を通してみてはどうですか。培養や判定の条件も少し変える必要も出てくるかもしれません。

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コメント

師範がおっしゃるように,「なんじゃこれ?」という塗抹に出会ったときは,まずはカルテを見に行くことを心がけています.”創部””膿”とあった場合,具体的に採取部位はどこなのか?普段嫌気培養は実施していないような検体だけれども,これは敢えて先生が依頼してきたのか? といったことなど,何とか調べようとしています.
ただ,他の検体や業務に追われ,カルテにすぐアクセスできることをいいことに,その作業を怠りがちになるのも確かです.わたしたち技師は患者さんの顔が見えないからこそ,いろいろな手法を用いて患者さんの情報を得ることが重要だと,いつも思っています.

投稿: Kei | 2014年6月20日 (金) 07時46分

Kei様

そうですね。やはり患者さんを中心として良質な医療提供を心掛けることは医療者として当然のことかと思います。
普段、カルテと疎遠だった臨床検査技師ももっと積極的にカルテを活用することが必要な時代になってきたと思います。
これからお互いにがんばっていきましょう。

ちなみにカルテの記事記載は利用されていますか?
当院では記事記載を積極的に使うようにします。
結構、誰から聞いたとか具体的に名前記載されていることがあり驚きますし、言ったことと違う解釈をされていることがありますよね。その誤解を解くべきしっかりと記載するようにしています。

投稿: 師範手前 | 2014年6月25日 (水) 19時17分

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