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2014年4月21日 (月)

久々の稽古でござる

そう思えば最近は稽古をするのを忘れておりました。腕を磨くには何事も反復練習が大事でござる。

さて、このような場合はどういう報告をするのが良いでしょうか?

患者は80代の男性。既往歴は特記事項なし。

1週間前から倦怠感あり、近医受診し膿胸と診断された。ドレナージが必要になり紹介受診。胸腔穿刺をすると黄色の胸水が引け、胸水は悪臭を伴っていた

  1)推定可能な起炎菌は何か?

  2)スメアから見た病気の背景は何か?どこから来たの?

  3)初期抗菌薬として良さそうなの無いかな?と聞かれたらあなたはどうアドバイスしますか?。

さあ、What's your diagnosis?

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背景など病態把握」カテゴリの記事

コメント

いつも勉強させていただいてます。

今回の症例ですが、グラム陽性菌は球菌か桿菌か分かりにくいですが球菌ぽいかなと思います。なんとなく形から腸球菌を考えました。
他にはやや淡いグラム陰性桿菌もみえますが、こちらは腸内細菌というよりは緑膿菌かなと考えました。胸水に悪臭があるとのことなので、もしかすると嫌気性菌でしょうか?となるとバクテロイデスあたりでしょうか。

どこ由来の菌か?ですが、嫌気性菌とか腸球菌だとすると腸管由来と考えましたが、これらの菌が膿胸の起炎菌となりうるかはちょっと分かりませんでした。腸管から血流にのってくるのでしょうか。

抗菌薬はピペラシリン・タゾバクタムかセフェピムを考えましたが、腸球菌だとやなのでピペラシリン・タゾバクタムかなと思います。
うちの病院だとけっこう広域のものをガンガン行くのでカルバペネムも併用してるかも。

私が読みとれたのはこれくらいでした。

投稿: 見習い | 2014年4月21日 (月) 22時29分

追加。

横隔膜より下の臓器には何も所見はありません。
患者の口臭は臭いが強い。

見習い様

腸球菌がここから出てくる場合は非常に珍しいですよね。例えば肝臓が破裂したり、腹膜炎を起こしている腹水からここに波及したり。どちらにしても症状が色々あるのでちょっと症例とはずれるように思いませんか?
また、連鎖球菌にしては小さいと思いませんか?

投稿: 師範手前 | 2014年4月22日 (火) 18時44分

はじめまして。
グラム染色は全然の薬剤師です。
ですので、菌の形態や大きさからは全く想像つかないのですが、
膿瘍形成、臭い、グラム陽性菌から、Peptostreptococcus
誤嚥によるもの
ABPC2g 6時間毎に加えて口腔ケア
ではどうでしょうか。

投稿: ゆう | 2014年4月23日 (水) 13時20分

ゆう様 ありがとうございます。薬剤師さんということでグラム染色は初心者でしょうか。グラム染色所見を参考にすることで抗菌薬を絞ることが出来るので薬剤師さんとしても活躍の場が増えるのでは無いでしょうか?

さて、膿瘍、臭い、誤嚥という推論は非常に良い視点だと思います。つまり嫌気性菌感染症を疑うことは必然的に入ってくると思います。嫌気性菌の多くは抗菌薬に感受性があるので、逆に耐性で問題になる菌を覚えておくと簡単です。
耐性化が問題になるのはBacteroidesやFusobacteriumやPrevotellaなどの一部β-ラクタマーゼ産生菌ですね。Bacteroidesを除き、問題になるのはペニシリナーゼの存在です。つまりアミノペニシリン単独では分解されて失活する恐れがあるということです。
抗菌薬でも嫌気性菌に全く活性が無い抗菌薬がある、抗菌活性が悪い抗菌薬があるというものを予め整理しておくと良いでしょう。嫌気性菌感染症が問題に成る場合は結構重症化してからなので、いざと言う時にスパッと答えれるように準備が肝心です。

さて、このスライド(少し見難いですが)ではざっと見て4菌種見えると思いますがどうでしょうか?
GNRが2つとGPCが1つ、GPRが1つでしょうか。GPRの推定は少し難しいですが大きさから言うとClostridiumは可能性が低いですので病原性としてはかなり低いと考えます。問題はあとの3つ。
ヒント
・GPCは不染性で小さい
・GNRその1は染色性が悪く、先端が尖っている
・GNRその2は染色性が良く腸内細菌を疑わせるが好気培養陰性です。

さてどうでしょう。もう少し考えてみましょう。

投稿: 師範手前 | 2014年4月23日 (水) 23時25分

いつも勉強させてもらっています。m(__)m

このスライドですが難しくてよくわからないですが
悪臭があるということで、嫌気性菌の混在している誤嚥性肺炎がメイン疾患なのでしょうか?

Peptostreptococcus(GPC)+Fusobacterium(GNR)
Arcanobacterium(GPR)

あたりでしょうか?
薬剤はS/Aで様子をみていきますか?
もう一つのGNRがいまいちピンときません。
…勉強不足ですm(__)m

投稿: くるみ | 2014年4月24日 (木) 13時58分

んーなるほど、腸球菌は珍しいのですね。
双球菌ぽい形から腸球菌かなと思ったのですが浅はかでした。材料別の頻度がわかってないのでそのあたりを押さえておかないといけないわけですね。

菌が並んでると比較して大きい小さいは分かるんですが、菌の大きさは周りの細胞(好中球?)など比較して見るものなのでしょうか?

投稿: 見習い | 2014年4月25日 (金) 21時06分

見習い様

そうですね。連鎖球菌でも臓器別にどういった菌が多く出てくるのか覚える機会も必要ですね。腸球菌ですので腸によく居ます。横隔膜より上の臓器で検出するには横隔膜を超える何かの理由が必要です。

大きさですが、基準となる菌の大きさ、例えばブドウ球菌とか肺炎球菌などよく遭遇する菌を基準に考えるのが一般的です。教科書的には2マイクロより大きいか小さいかだったと思います。

投稿: 師範手前 | 2014年4月25日 (金) 21時19分

2)バクテリアルトランスロケーションでしょうか?
3)起炎菌として、嫌気性菌を考えます。嫌気性菌なら、さまざまな菌体が混在していること、不思議ではないかなあと思います。医療暴露歴がないので、抗菌薬はABPC/SBTを、腎機能悪くなければ3gx4で行こうと思います。

1)の答えは正直良くわからないので、勉強します。

投稿: なるみ | 2014年4月27日 (日) 03時14分

内科医(卒後8年目)です。敗血症診療が好きです。私が技師だったら以下のように伝えると思います。
細長いGNRおよびGPCが多数みられ、貪食像がみられます。
GNRに関してprevotella属、Fusobacteriumといった口腔内嫌気性菌および、口腔由来と思われるstreptococcus(milleri group?)属が考えられます。う歯や歯周病はありませんか?
抗菌薬はSBT/ABPC 1.5g q8hrを選択します。CLDM単剤の治療はおすすめしません。

投稿: headbangerth | 2014年4月29日 (火) 20時41分

ヒントありがとうございます。
グラム染色を自分で見て菌の予想は全くです。

・GPCは不染性で小さい
  →Peptostreptococcus
・GNRその1は染色性が悪く、先端が尖っている
  →Fusobacterium
・GNRその2は染色性が良く腸内細菌を疑わせるが
 好気培養陰性です。
  →prevotella

やはり誤嚥によるもの。
βラクタマーゼを産生する菌もいるのでS/Aを。
腎機能にもよりますが1.5g×4。加えてやはり口腔ケアを。
治療期間は。。。治療反応後、2週間まで経静脈的。
憎悪なく、ドレナージ難渋などあれば
A/C経口へとスイッチし2-4週でしょうか。

投稿: ゆう | 2014年5月 1日 (木) 18時03分

皆様、たくさんのコメントありがとうございました。
模範解答は記事にさせて頂きました。

また稽古問題を作成したいと思います。

投稿: 師範手前 | 2014年5月 7日 (水) 22時55分

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