英語を読もう
最近はグラム染色ネタが少なくてすいません。色々と思うがままに書きつくしております。
今回もグラム染色が主体のお話ではありませんので悪しからず。
この前地元の技師会で『医学英語の中の微生物検査』という内容で講演依頼があり、偉そうに講義してきました。
微生物検査を長く続けていると避けて通れないのが英語です。微生物検査技師のみならず臨床検査技師は英語を苦手としている人は多いと思います。私もそのうちの1人でした。まあ、高校時代は悪い点を取り続け完全に人生計画を失敗したんだと思っていました。
就職して英語が避けて通れない分野であることが分かりました。とりあえず読みました。
お陰様で今は辞書は片手に無くても読めるようになりました。そのため英文を読むのが面白くなってきました。理由はネタが非常に新鮮で斬新なものが多いことや、日本で当たり前に行われている微生物検査の行程は何が根拠となって出来ているのか?など自分自身知りたい情報を入手し納得行くまで読むことが出来るからです。
日常生活から、趣味、アイドルのことまで細かいことを知らずに生活出来なくなっていた私としてはインターネットの普及は非常に有難いことです。そうそうこのブログもそうですが。
検査室で仕事をしていると医師からの問い合わせも多くなりました。それは微生物のことは当然ですが、抗生物質のことも多くウエイトを占めるようになってきました。微生物と抗生物質となれば感染症トライアングルに必要な患者という大事な要素も含まれてきます。微生物のことは同定の条件と検出菌の臨床的意義を含めて学ぶ必要が出てきます。なので検査室には成書と呼ばれるこの3つの本を欠かすことが出来ません。
・細菌のことならこれ:Bergey's Manual of Systematic Bacteriology(左から1番目、2番目)
・臨床微生物のことならこれ:Manual of Clinical Microbiology (左から3番目、4番目)
・感染症のことならこれ:Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases(右から2番目、3番目)
ちなみに一番右の赤い本が大学の微生物学/臨床微生物学の教科書。
厚さにして赤本:英語の本=1;11。そりゃ卒後教育で覚えることが多いはずです。というか大学の講義では本当に基本の基本であり、実際の臨床現場では網羅出来ている範囲が狭いのが良く分かります。まあ、国家試験を目的としたものですので実臨床とは少し解離があるのは当たり前と思います。
でもどうして英語を読まなければいけないのでしょうか。
上の本の写真にもありますが、日本語の参考書と教科書の引用文献の殆どは海外の教科書だったり文献だったりします。日本語でも十分大切なことは記載されていますが詳細までは書いていないことが多く、自分が知りたい内容まで届かないことも多くあります。内容は筆者の主観も入ってしまうことがあり、ややバイアスもかかり正確な内容で無い事もしばしば経験します。知りたければ直接原著論文なり読まなければ、産まれる内容もそれなりになります。今は、インターネットが普及して知りたい情報はその場で直ぐに読む事ができるようになりました。しかも無料のものも多くあります。
ガイドライン一つについても、内容には検査方法や薬剤感受性の情報は多く記載されています。実際に臨床で使用する抗生物質の情報まで網羅されているのですから、必要な情報をまとめて報告する微生物検査室では把握しておいておかなくてはいけません。良い結果は正確なデータでもありますが、臨床で活用してくれないデータほど無駄なものはありません。例えば、NTM症でCAMの感受性が無いとか、迅速発育抗酸菌でIPM/CSの感受性が無いなどは問題外でしょう。先ほどの赤本には記載はあるでしょうか?記載はありませんし、授業がしっかりされているのかも不明です。やはり知る努力はここでは重要なミッションになってきます。
書いてなければ、教えて貰う。教えて貰えない場合は・・・
諦めますか? 調べますか?
日本語で記載が無ければ・・・
諦めますか? 調べますか?
最初は嫌ですが、そのうち分かるようになるでしょう。産みの苦しみは避けて通れない場所にあります。苦手でも少しトライしてみてはどうでしょうか?
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