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2013年10月 7日 (月)

感染管理加算と臨床検査技師

昨年感染管理加算が設定されました。加算1は400点、加算2は100点です。更に加算1の施設同士で連携をとると100点が加算されます。

昨年末の集計では加算1の届出施設が973施設、加算2の届出施設が2486施設あるようです。http://www2.medica.co.jp/topcontents/infection_201206/pdf/019.pdf

私の住んでいる兵庫県ではどれだけ届出施設があるのでしょうか?

加算1が45施設、加算2が150施設の計195施設。加算1の届出は12.9%、加算2の届出は43.1%の施設が行われています。

加算1の要件として専従の医師か看護師が必要で医師不足の中において市中病院で専従の医師を設置するにはかなり力を入れている施設以外では無いと思います。看護師の場合は一定期間の研修を経たものになるので、大まかに言えば認定看護師か専門看護師が居る事が条件になってきます。

認定看護師になるには研修コースのある日本看護協会や、都道府県単位の看護協会、大学の研修コースに受かり、更に認定試験に合格することが前提です。今は認定試験に合格するより研修コースに入る方が、何倍もの倍率となり簡単なものでは無くなりつつあります。認定看護師さんが今の感染管理加算の主軸となっているのは紛れもない事実ではないでしょうか。

認定看護師もそうですが、加算の要件には連携という文言があります。つまり加算施設同士のパートナーが必要になります。パートナーは1対1でも構いませんが、どちらかが加算の条件を満たさなくなると、連携どころか加算もとれません。

パートナーの配分を見た加算2/加算1の比率を見てみますが、兵庫県は3.3となり加算11施設当たり3-4施設の加算2と連携していることになります。ちなみにこの比率が最も大きいのは高知県で7.3、最も低いのは1.4となっています。つまり高知県では加算連携するにあたり広範囲、または加算1と連携している加算2の施設がかなり多くなっています。長野県では加算1と加算2の連携がほぼ1対1で行われているので相手探しが大変かもしれません。特に認定看護師の研修コースがある地域では加算1の施設が多い結果となっているようです。長野県は頑張っていますね。

加算の申請施設の中でどの職種の関わりが多いのか?というデータもあります。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000032e8y-att/2r985200000333qx_1.pdf

中医協が5/29に公開したデータですが、加算1を申請している144の施設を対象にアンケートした結果

専従者+専任者の数は医師:3.01、看護師:2.95、薬剤師:1.45、臨床検査技師:1.36と4職種の中で最も関わっている人数が少ないといった状況となっています。悲しい状況は専従はわずか0.03と殆ど無いに等しい数字ですし、加算2の施設においては1.01となり辛うじて1人居る程度になります。

加算1と加算2の平均人数の差を比較した場合では、医師:-1.38、看護師:+0.41、薬剤師:-0.33、臨床検査技師-0.37という状況です。どの施設もそうですが臨床検査技師に院内感染に関わろうという雰囲気はまだまだ薄いようです。

看護師は認定看護師と専門看護師を足した値は1.27ですので有資格者+αで感染管理を行っている計算になります。今は認定看護師は1808人(http://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/cn)いますが、認定臨床微生物検査技師は全国に591人(http://www.jscm.org/seido/meibo.html)ですので認定看護師さんの1/3しか居ません。加算に必要な要件は3年以上勤務の臨床検査技師になるので別に認定臨床微生物検査技師では無くても良いので、微生物に対して専門知識が無い臨床検査技師でも加算は十分にとれることになります。しかし、院内感染対策もそうですが、微生物検査は専門性の高い部署になり、生化学の自動機器のように配属の翌日から測定できるという甘いものではありません。また、院内感染に関わるのですからやはり微生物を良く知っている臨床検査技師は必要だと常々思っています。せめて院内感染に関わるデータの集計ができて、データが読める人であれば良いのですが。院内に微生物検査室が無ければ専門に理解している人は少ないでしょうし、頭の柔らかい若い人に仕事を押し付けてしまいがちになるのではないかと勝手に思っています。

こういった劣悪とも取られる状況でも感染管理加算の影響は大きく以下のように臨床検査技師が関わったであろう内容について結果が記載されています。

・課題にタイムリーに対応できるようになった
・感染対策に関する最新情報がタイムリーに入る。
・検査部門からの速やかな情報が有効である。
・感染対策や抗菌薬使用に関するコンサルテーションが増えた。
・必要な培養検査や採血がしっかり依頼されるようになった。
・ MRSA 薬のAUDが激減した。カルバペネム系は変化なし。
・ アウトブレイクの発生予兆に気がつき対策をとるに変わった。
・ CD 陽性、抗酸菌陽性などの患者、MRSA、ESBL などの耐性菌患者の把握ができるようになった。

やはり感染管理には微生物データが必要であり、それを早くフィードバックすることで患者に還元できることが良く分かります。

米国の感染対策に習い対策をする中でスタッフの不足が米国と比較して大きく違うところです。日本の臨床検査技師はこのような状況で対策を良くしていると思います。日本に多剤耐性グラム陰性桿菌が少ないのはこういった努力の賜物ではないかとも感じます。

でも、もう少しだけ臨床検査技師は院内感染対策を進める上で必要なんだという認知度を上げていかなければならないと思う。

少し取り留めの無い内容になりましたが、結論として認定資格を取るにこしたことは無いでしょうが、臨床検査技師はやっぱり院内感染対策に欠かすことができないんだという認識を各施設で持って動いて欲しいと切実に思っています。

恐らく、加算1の点数は医療費を圧迫しているので下がるでしょう。8月に総務省から出た資料には更に詳しく記載されてます。次年度の保険点数改訂の資料となることは間違いありません。院内感染対策は今は医療安全対策の一環というのが強調されている資料ですね。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/77608.html

写真は先日あった感染管理認定看護師研修コースの微生物学実習の風景です。

T先生の泡がブクブク・・・も定着してきました。

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コメント

いつもこのWEBで勉強させてもらっています。
ありがとうございます。

こちらは加算2の施設です。細菌は外注しています。
こちらの立場からすると年4回のカンファレンス参加は加算1の施設のレベルが低いと結構しんどいものがあります。
連携はあってないようなものでした。

CD 陽性、抗酸菌陽性患者の取り扱い。MRSA、ESBL などの耐性菌患者の把握は我々レベルでも以前からしています。


もっと教育的で技師全体のレベルが底上げできる方法はないでしょうか・・・・

とくにびっくりしたのは、細菌検査を外注して加算1を取っている施設があることです。

投稿: 若葉の検査技師 | 2013年10月15日 (火) 13時18分

若葉の検査技師さん コメントありがとうございます。

加算連携を平成24年度から開始して、施設間差に気がついた方は多いと思います。

・加算1と加算2の開きが大きい
・加算1同士、加算2同士の開きが大きい

加算連携を組んでみて期待通りの感染対策が進んでいるところ、そうでないところが多いと思います。
連携を組む先は大学病院なら固いと思われて志願する施設も多いと思います。まあ、お金が絡むことですので人員も資源も経験も豊富な施設にお願いすれば問題は無いでしょう。大学がダメなら市民病院や基幹病院にお願いするという考えになるのでしょう。

まずは加算を組む場合に施設間通しでお見合いをすると良いでしょうし、気が合わなければ他の施設と連携を組めば良いのでしょうが、そう思っているのは現場の人のみで、管理者まで届かない声のことが多いのでしょう。

今回の加算の条件として大きなウエイトを占めているのが感染管理をする看護師でしょう。この看護師さんが居ると加算1が申請できるのですが、そこには微生物検査室の設置義務はありません。なので、微生物は苦手だなあという方々ばかり集まっている可能性は空くなからずとも生じてきます。
感染管理の看護師とは言え万能では無いでしょうし、医師であっても万能では無いでしょう。抗菌薬は処方しても根本的なことは薬剤師さんにお願いしますという光景は散見されます。薬剤師も抗生剤は苦手でということもあるでしょう。この一連の負の連鎖を考えた場合には、餅は餅屋ということで微生物は臨床検査技師にということになります。微生物は苦手ですっていう臨床検査技師は多いはずです。結核の集団発生がありました、対策を教えて下さいという内容について相談しても満足に解答できる加算1の施設は多く無いでしょう。全てが完璧な施設は本当に少ないでしょう。

ただし、加算1の施設は、加算2からの相談内容については解答しなければならない規定がありますので、分からないとか教えて欲しい内容は解答する義務が生じます。正論であれば加算1の取り下げになるでしょうが、そういうことをすると混乱を招くので基準を設けないといけません。基準・・今は明確で無いのです。平成26年度の診療報酬改定には細かい規定について記載があるという噂があります。加算2がサーベイランスできていない場合は加算できないとか・・・。
指導できない加算施設は淘汰されていくと思います。

なので、加算連携を組んでいるので、遠慮なくどんどん相談をすると良いと思います。相談に対して適切な対応が出来ない場合はクレームを付けると良いと思います。

微生物検査室が無くても、微生物の相談を受けることができる施設はありますし、微生物検査室があっても相談を受けれない施設はあります。保険算定の基準に認定技師が居るとか、二級技師が居ればさらに加算が見込めるようにもって行ければニーズに合った連携が組めると思います。

そもそもお金では無く、患者を守るために感染対策は必要ですので地域で盛り上げることは賛成です。
若葉の技師さんのように志の高い臨床検査技師を増やしていくことが今後大事になると思っています。

答えになっていないかもしれませんがお許し下さい。

投稿: 師範手前 | 2013年10月16日 (水) 19時28分

Hi there administrator, I just wanted to give you a quick heads up that your Web address: is being flagged as a potentially malicious web page in my web browser firefox. I'd highly suggest having someone look into it. You can lose a lot of site visitors due to this issue. Very best of Luck.

投稿: toms shoes outlet online | 2013年11月 1日 (金) 22時47分

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