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2013年10月29日 (火)

グラム染色道場 オフ会 in 名古屋

いつも本ブログを愛読して頂きありがとうございます。

2007年3月から開始したブログですが来年で7年目になります。

思えば日常検査でグラム染色所見の解釈について悩んでいた時期でもあります。それまではどういう菌が見えるのか推定菌種まで行き届かない所見報告が殆どだったのでは無いのでしょうか。それは日常検査室内では普通の会話に過ぎなかった内容ですが、臨床感染症にとっては欲しい内容だったに違いありません。

今では色々な学会や研究会などでも菌種を推定するコメントが当たり前のようになり、その結果グラム染色に根付いた感染症診療が進んできたと思います。

さて、前置きはここまでにして・・・

来年(2014年)の2月1日、2日に名古屋で臨床微生物学会総会が開催されます。

http://www.congre.co.jp/jscm2014/

その時期に合わせて『グラム染色道場 オフ会 in 名古屋』を開催しようという動きがあります。オフ会といってもグラム染色に関するカンファレンスをしようというものです。

全国の方々とお話していて、うちの地域にはグラム染色に関するカンファレンスは無いんですよという声を聞きます。今回学会に合わせてですがオフ会と称してカンファレンスを開催しようと思っていますので学会ついでに参加してやろうという方は宜しくお願いします。

日時:2014年1月31日(金) 20:00頃開始予定

場所:名古屋駅近辺

参加費:無料ですが。会場や会食に関しては割り勘になる予定。

参加条件:我こそはグラム染色マニアと思われる野郎と女郎。学生もオッケーです。

募集:2013年10月29日から開始。

参加希望の方は大変申し訳ありませんが、人数把握をしておきたいので参加希望の方は予め下記のアドレスに必要事項を記入の上申し込みをお願いします。

グラム染色道場 オフ会 in 名古屋 事務局

gof131あっとまーくyahoo.co.jp(ご面倒ですがあっとまーくを@に変換して下さい。)

記載して頂く内容:氏名、施設(学校)名、職種(科)、メールアドレス及びグラム染色にかける熱い思いを一言

日常ではこんな事恥ずかしくて聞けないネタ、自分ではこう考えるけど話す相手が居ないので寂しいネタ、自分はこんなにグラム染色を愛しているネタ、グラム染色がきっかけで結婚したよネタなどフランクに話できる会をと考えています。

皆様の応募お待ちしています。

写真は肺炎なので染めて欲しいという依頼があった喀痰。さあ、あなたならどう答えますか?

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2013年10月22日 (火)

英語を読もう

最近はグラム染色ネタが少なくてすいません。色々と思うがままに書きつくしております。

今回もグラム染色が主体のお話ではありませんので悪しからず。

この前地元の技師会で『医学英語の中の微生物検査』という内容で講演依頼があり、偉そうに講義してきました。

微生物検査を長く続けていると避けて通れないのが英語です。微生物検査技師のみならず臨床検査技師は英語を苦手としている人は多いと思います。私もそのうちの1人でした。まあ、高校時代は悪い点を取り続け完全に人生計画を失敗したんだと思っていました。

就職して英語が避けて通れない分野であることが分かりました。とりあえず読みました。

お陰様で今は辞書は片手に無くても読めるようになりました。そのため英文を読むのが面白くなってきました。理由はネタが非常に新鮮で斬新なものが多いことや、日本で当たり前に行われている微生物検査の行程は何が根拠となって出来ているのか?など自分自身知りたい情報を入手し納得行くまで読むことが出来るからです。

日常生活から、趣味、アイドルのことまで細かいことを知らずに生活出来なくなっていた私としてはインターネットの普及は非常に有難いことです。そうそうこのブログもそうですが。

検査室で仕事をしていると医師からの問い合わせも多くなりました。それは微生物のことは当然ですが、抗生物質のことも多くウエイトを占めるようになってきました。微生物と抗生物質となれば感染症トライアングルに必要な患者という大事な要素も含まれてきます。微生物のことは同定の条件と検出菌の臨床的意義を含めて学ぶ必要が出てきます。なので検査室には成書と呼ばれるこの3つの本を欠かすことが出来ません。

・細菌のことならこれ:Bergey's Manual of Systematic Bacteriology(左から1番目、2番目)

 

・臨床微生物のことならこれ:Manual of Clinical Microbiology (左から3番目、4番目)

 

感染症のことならこれ:Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases(右から2番目、3番目)

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ちなみに一番右の赤い本が大学の微生物学/臨床微生物学の教科書。

厚さにして赤本:英語の本=1;11。そりゃ卒後教育で覚えることが多いはずです。というか大学の講義では本当に基本の基本であり、実際の臨床現場では網羅出来ている範囲が狭いのが良く分かります。まあ、国家試験を目的としたものですので実臨床とは少し解離があるのは当たり前と思います。

でもどうして英語を読まなければいけないのでしょうか。

上の本の写真にもありますが、日本語の参考書と教科書の引用文献の殆どは海外の教科書だったり文献だったりします。日本語でも十分大切なことは記載されていますが詳細までは書いていないことが多く、自分が知りたい内容まで届かないことも多くあります。内容は筆者の主観も入ってしまうことがあり、ややバイアスもかかり正確な内容で無い事もしばしば経験します。知りたければ直接原著論文なり読まなければ、産まれる内容もそれなりになります。今は、インターネットが普及して知りたい情報はその場で直ぐに読む事ができるようになりました。しかも無料のものも多くあります。

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ガイドライン一つについても、内容には検査方法や薬剤感受性の情報は多く記載されています。実際に臨床で使用する抗生物質の情報まで網羅されているのですから、必要な情報をまとめて報告する微生物検査室では把握しておいておかなくてはいけません。良い結果は正確なデータでもありますが、臨床で活用してくれないデータほど無駄なものはありません。例えば、NTM症でCAMの感受性が無いとか、迅速発育抗酸菌でIPM/CSの感受性が無いなどは問題外でしょう。先ほどの赤本には記載はあるでしょうか?記載はありませんし、授業がしっかりされているのかも不明です。やはり知る努力はここでは重要なミッションになってきます。

Photo迅速発育抗酸菌による乳腺炎(チールネルゼン染色)

書いてなければ、教えて貰う。教えて貰えない場合は・・・

諦めますか? 調べますか?

日本語で記載が無ければ・・・

諦めますか? 調べますか?

最初は嫌ですが、そのうち分かるようになるでしょう。産みの苦しみは避けて通れない場所にあります。苦手でも少しトライしてみてはどうでしょうか?

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おもむろにfacebookのページを作成しています。

拙い英語で簡単に紹介しております。興味のあるユーザーの方は『いいね!』を押して下さい。

4www.facebook.com/GramStainGym

 

 

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2013年10月 7日 (月)

感染管理加算と臨床検査技師

昨年感染管理加算が設定されました。加算1は400点、加算2は100点です。更に加算1の施設同士で連携をとると100点が加算されます。

昨年末の集計では加算1の届出施設が973施設、加算2の届出施設が2486施設あるようです。http://www2.medica.co.jp/topcontents/infection_201206/pdf/019.pdf

私の住んでいる兵庫県ではどれだけ届出施設があるのでしょうか?

加算1が45施設、加算2が150施設の計195施設。加算1の届出は12.9%、加算2の届出は43.1%の施設が行われています。

加算1の要件として専従の医師か看護師が必要で医師不足の中において市中病院で専従の医師を設置するにはかなり力を入れている施設以外では無いと思います。看護師の場合は一定期間の研修を経たものになるので、大まかに言えば認定看護師か専門看護師が居る事が条件になってきます。

認定看護師になるには研修コースのある日本看護協会や、都道府県単位の看護協会、大学の研修コースに受かり、更に認定試験に合格することが前提です。今は認定試験に合格するより研修コースに入る方が、何倍もの倍率となり簡単なものでは無くなりつつあります。認定看護師さんが今の感染管理加算の主軸となっているのは紛れもない事実ではないでしょうか。

認定看護師もそうですが、加算の要件には連携という文言があります。つまり加算施設同士のパートナーが必要になります。パートナーは1対1でも構いませんが、どちらかが加算の条件を満たさなくなると、連携どころか加算もとれません。

パートナーの配分を見た加算2/加算1の比率を見てみますが、兵庫県は3.3となり加算11施設当たり3-4施設の加算2と連携していることになります。ちなみにこの比率が最も大きいのは高知県で7.3、最も低いのは1.4となっています。つまり高知県では加算連携するにあたり広範囲、または加算1と連携している加算2の施設がかなり多くなっています。長野県では加算1と加算2の連携がほぼ1対1で行われているので相手探しが大変かもしれません。特に認定看護師の研修コースがある地域では加算1の施設が多い結果となっているようです。長野県は頑張っていますね。

加算の申請施設の中でどの職種の関わりが多いのか?というデータもあります。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000032e8y-att/2r985200000333qx_1.pdf

中医協が5/29に公開したデータですが、加算1を申請している144の施設を対象にアンケートした結果

専従者+専任者の数は医師:3.01、看護師:2.95、薬剤師:1.45、臨床検査技師:1.36と4職種の中で最も関わっている人数が少ないといった状況となっています。悲しい状況は専従はわずか0.03と殆ど無いに等しい数字ですし、加算2の施設においては1.01となり辛うじて1人居る程度になります。

加算1と加算2の平均人数の差を比較した場合では、医師:-1.38、看護師:+0.41、薬剤師:-0.33、臨床検査技師-0.37という状況です。どの施設もそうですが臨床検査技師に院内感染に関わろうという雰囲気はまだまだ薄いようです。

看護師は認定看護師と専門看護師を足した値は1.27ですので有資格者+αで感染管理を行っている計算になります。今は認定看護師は1808人(http://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/cn)いますが、認定臨床微生物検査技師は全国に591人(http://www.jscm.org/seido/meibo.html)ですので認定看護師さんの1/3しか居ません。加算に必要な要件は3年以上勤務の臨床検査技師になるので別に認定臨床微生物検査技師では無くても良いので、微生物に対して専門知識が無い臨床検査技師でも加算は十分にとれることになります。しかし、院内感染対策もそうですが、微生物検査は専門性の高い部署になり、生化学の自動機器のように配属の翌日から測定できるという甘いものではありません。また、院内感染に関わるのですからやはり微生物を良く知っている臨床検査技師は必要だと常々思っています。せめて院内感染に関わるデータの集計ができて、データが読める人であれば良いのですが。院内に微生物検査室が無ければ専門に理解している人は少ないでしょうし、頭の柔らかい若い人に仕事を押し付けてしまいがちになるのではないかと勝手に思っています。

こういった劣悪とも取られる状況でも感染管理加算の影響は大きく以下のように臨床検査技師が関わったであろう内容について結果が記載されています。

・課題にタイムリーに対応できるようになった
・感染対策に関する最新情報がタイムリーに入る。
・検査部門からの速やかな情報が有効である。
・感染対策や抗菌薬使用に関するコンサルテーションが増えた。
・必要な培養検査や採血がしっかり依頼されるようになった。
・ MRSA 薬のAUDが激減した。カルバペネム系は変化なし。
・ アウトブレイクの発生予兆に気がつき対策をとるに変わった。
・ CD 陽性、抗酸菌陽性などの患者、MRSA、ESBL などの耐性菌患者の把握ができるようになった。

やはり感染管理には微生物データが必要であり、それを早くフィードバックすることで患者に還元できることが良く分かります。

米国の感染対策に習い対策をする中でスタッフの不足が米国と比較して大きく違うところです。日本の臨床検査技師はこのような状況で対策を良くしていると思います。日本に多剤耐性グラム陰性桿菌が少ないのはこういった努力の賜物ではないかとも感じます。

でも、もう少しだけ臨床検査技師は院内感染対策を進める上で必要なんだという認知度を上げていかなければならないと思う。

少し取り留めの無い内容になりましたが、結論として認定資格を取るにこしたことは無いでしょうが、臨床検査技師はやっぱり院内感染対策に欠かすことができないんだという認識を各施設で持って動いて欲しいと切実に思っています。

恐らく、加算1の点数は医療費を圧迫しているので下がるでしょう。8月に総務省から出た資料には更に詳しく記載されてます。次年度の保険点数改訂の資料となることは間違いありません。院内感染対策は今は医療安全対策の一環というのが強調されている資料ですね。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/77608.html

写真は先日あった感染管理認定看護師研修コースの微生物学実習の風景です。

T先生の泡がブクブク・・・も定着してきました。

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