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2013年9月 9日 (月)

グラム染色は複数菌が同時に判明できるメリットがある

グラム染色は感染症の原因菌を確認するアイテムですが、グラム染色無しではもう初期抗菌薬の選択は出来ないと思われている方も多くなってきていると思います。

感染症はだいたい1臓器1つの原因菌で成り立つことが多いのでグラム染色で多く確認される菌を見た場合には、それが感染症の原因菌なんだろうと思うことが多いですよね。

グラム染色のメリットは早く、安く(どこかの牛丼チェーン店のようなフレーズですが)、簡単に出来る他、複数菌が一緒に分かるということがあります。

下記は喀痰グラム染色で複数菌確認された例ですが、肺炎球菌とStreptococcus anginosus group(昔ミレリ菌と言っていたやつ)の2菌種が確認されたものです。こういう場合はそれぞれの菌の由来が異なることがあります。見て考えた診断名は慢性の肺化膿症に急性の市中肺炎というものです。

1×1000

2×1000

・Streptococcus anginosus groupは連鎖球菌で大小不同と染色性の悪いレンサ球菌⇒肺化膿症の原因菌として有名

・Streptococcus pneumoniaeは二双性の球菌。染色性は良く、莢膜が確認されるものがある⇒市中肺炎の代表的な原因菌。

肺炎で喀痰グラム染色を急ぐ例だったのですが、膿性痰の中には2つの菌種。これは病態が複雑そうと思い胸部画像所見も確認したところ、やはり肺化膿症と思われる陰影と市中肺炎と思われる陰影が混合していたという結果でした。

結局治療薬はそれほど大きく変わりませんが、肺化膿症が起きやすい病態があることに関しては経過を見ながら対処することになりました。

胸部画像所見は複数の病変を一度に捉えることができますがその中身(原因菌)までは判断できないことが多い。一方、グラム染色は病変が複数かどうかの判断はしにくいが、原因菌が複数いるかどうかは判断しやすい。胸部画像所見とグラム染色はお互いに苦手としている内容をカバーしてくれる良い検査です。

喀痰グラム染色は、材料採取条件が良く、しっかり染めると嘘はつきませんよね。

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