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2013年8月16日 (金)

血液培養5日で、ロン!

訳があり血液培養のデータを取っています。

血液培養の培養日数のことがたまに話題になりますが皆さんの施設では何日間培養しているのでしょうか?

・自院の患者背景を考えて培養日数を設定している。

・7日間(または6日間)培養している。

・メーカーからの推奨されるがまま5日間で培養している。

血液培養は自動機器の導入が進み、その検出率が向上してきたと言われています。

用手法の場合は最初の数日間は朝、昼、夕と1日何回も振倒培養をしなければならなかったのですが、自動機器はそれを機械的にしてくれます。しかも、陽性かどうかの判断は寒天に発育させるのでは無く、培地成分を分解した際に発生する炭酸ガスを管底のセンサーが感知して、一定以上のガス発生が認めた場合に陽性となる仕組みを持っています。自動機器は検出感度の向上ができたため、陽性までかかる時間の短縮も可能となりました。

22陽性ボトルは左(右は培養前) BacT/ALERTの場合

自動機器の培養日数が5日間で良いのかどうかの検討は下記の論文が引用されることが多いですが、用手法と自動機器の検出感度を比較した場合に累積陽性率は用手法で7日間であったものが5日間で良かったということで、5日間を超えて発育した細菌の臨床的意義は低いものが多く、5日間は適切な日数設定だそうだ。

Time to Detection of Positive BacT/Alert Blood Cultures and Lack of Need for Routine Subculture of 5- to 7-Day Negative Cultures(JOURNAL OF CLINICAL MICROBIOLOGY, OCt. 1992, p. 2743-2745)

本当に5日間で良いのか?という疑問に対しては以下のような答えが多いようです。

・前述したように5日間を超えて発育した細菌の臨床的意義は低い。

・日常的に良く遭遇する細菌(大腸菌や黄色ブドウ球菌など)は3日以内に発育することが多い。

・5日間あればViridans Streptococcusによる感染性心内膜炎はほぼ100%検出できる。

・機器を効率よく稼働させるために5日間培養でも十分やっていける。

などなど。

確かに、Common diseaseをメインに対応している市中病院の多くはこの範疇に入ってくるので5日間で設定しても良いのでしょう。

疑り深い私としてはこの5日間を超えて陽性となる細菌は本当に臨床的意義は低いのか考えてみた。

陽性例475例のうち、5日間を超えて陽性になったものは8例ありました。

陽性となったものは、

Propionibacterium 3例、嫌気性GNR 2例、Klebsiella 1例、Moraxella 1例、Viridans Streptococcus 1例でした。

Propionibacteriumが一番多いのは予想通りでした。このPropionibacteriumが検出された患者背景を見てみると3例中1例は化膿性脊椎炎(骨生検でも同一菌種検出)であり、2例は皮膚消毒不十分によるコンタミネーションとなりました。Propionibacteriumですがこの3例を含めて10例の検出がありましたが、7例は5日目までに培養が陽性になり、コンタミネーションとなりました(陽性時間:3.6~6.0日)。

Propionibacteriumは嫌気ボトルが優先的に陽性になり下記の形態がグラム染色上で分岐した陽性桿菌が確認できるため、培養結果をまたなくても介入が可能です。稀に陰性に染まるのがクリニカル・パールでもあります。

600×1000

上記の他の菌種でコンタミネーションとして考えられた症例は1例のみで、トータル8例中5例で原因菌と判断されました。疾患別では消化器がんの術後や化学療法中の発熱、化膿性脊椎炎、尿路感染症がありました。

このように何気なく検査している内容でも検証してくことで実際の検査内容が適正化できたり、普段雑菌扱いのPropionibacteriumも原因菌として検出されるデータも掘り起こすことができます。

最終的にこの結果から5日間培養で良いのか、やはり7日間培養を継続する必要があるのか迷います。この結果から考えると現行の7日間培養は継続するか、5日間培養に変更して患者背景によって培養期間を変更してみるかになると思いますが後者は検査者によっても、主治医によってもバラツキが生じるので7日間培養を継続することになりそうです。 

Photo抗菌剤吸着樹脂(APB)ボトル

もう直ぐBacT/ALERTも抗菌剤吸着樹脂が本格導入されるので検出感度も向上しそうで楽しみですね。

検査には必ず限界値が存在します。通常は検出しても良いものでも検出できない場合も少ないですが含まれてきます。現時点で何が良いのか、どういう結果が期待され、どのくらいで結果が生まれるのか考えながら検査を続ける必要があるのではないでしょうか。

例えば、感染性心内膜炎でも培養に時間がかかるBartonellaについては28日間以上の培養日数が必要ですので、5日間で『陰性』と返っても当たり前な結果が返って来ます。Cryptococcusについては早くても5-14日間培養が必要ですので同じことですね。

何事も検査室と医師とのコミュニケーションは大切だと思います。

追記:『ロン』とは麻雀用語で他人が捨てた牌で自牌が上がる(場が終了する)ということです。

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おもむろにfacebookのページを作成してみました。

拙い英語で簡単に紹介しております。興味のあるユーザーの方は『いいね!』を押して下さい。

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コメント

おはようございます。
 自分たち施設では、提出数が多くなった時期がありまして、7日間を6日間に変更しました。
 しかし、それでも追いつかず、5日間に行おうかと思いましたが、去年のデータより6日間で発育したE. coliなどが数件あったので、それは見送りました。(見逃したくなかったので)
 いずれかまたこのような事があると思いますので、あと1台設置するか5日間培養まで良しとするか今後の課題かと思っています。
 臨床とのやり取りがやはり大事かと思いますので、長期培養が必要なら連絡もしくはコメントとして残すようにしていきたいと思います。

投稿: のんべ~ | 2013年8月19日 (月) 08時21分

のんべ~様
コメントありがとうございます。自施設がどのような結果になっているのか検証をしたのでその報告を学会でしようと思いデータをまとめてみました。まあ、面白いデーターかなとは思います。Propionibacteriumに関してはコンタミ菌としての悪名が高いのですが原因菌として出てくることがどのような疾患にあるのだろうかと思い探っていました。
微生物をした事が無い方はメーカー依存になる傾向があり、5日間培養でええやろってことを言われても意見を言えるようにしています。
当院もようやく血液培養装置が倍になりましたので気兼ねなく使っているところです。

投稿: 師範手前 | 2013年8月21日 (水) 18時04分

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