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2012年11月 7日 (水)

報告どうしていますか

グラム染色結果の報告って皆さんどうしていますか?

電子カルテやオーダー上のコメント欄に凝縮してコメントするのも大変です。

下記の内容はいくつか講演に伺った時に聞くものです。

簡単には下記のようなスメアが見えた場合には何てコメントするのでしょう。材料は関節液です。

Mssa600×1000

考えられるコメントとして

・推定菌種はブドウ球菌(またはStaphylococcus)です。

・グラム陽性球菌で集塊(または菌塊)状の菌です。

最低でもグラム陽性球菌に加えてブドウ球菌を臭わすような内容でコメントしたいものです。ブドウ球菌と考えることで診察内容も変わることが期待されるからです。

関節液でレンサ状球菌で見えた場合は多くがStreptococcusで腸球菌を除きペニシリンが感受性のものが多く、耐性菌という考えが殆ど無くなるためかと思います。

ではこのスメアはどうでしょうか。血液培養陽性の培養液です。

Mssa×1000

ここまで塊が多いとブドウ球菌と言っても良いかと思います。

そうすると質問されるのが

『黄色ブドウ球菌ですか』とか、『MRSAですか』です。

J Clin Pathol 2004;57:199–201.を参考にすると、当院はバクテアラートですので、血液培養液のグラム染色で比較的小さめの球菌が集塊状に確認され、その集塊が巨大しであれば黄色ブドウ球菌の可能性が高くなります。

つまりこの染色像を見ると”ブドウ球菌で黄色ブドウ球菌を疑う所見です”ということを報告できるまで進みます。ただしMRSAかどうかは使用している抗菌薬の種類や期間、効果、既往など総合的に考える必要がありますが最近は市中感染型MRSA(CA-MRSA)などもありますのでローカルデータを上手く用いるのも難しい菌種です。

外れたらどうしましょう?という内容もありますが、自信の無い方は言いきってしまわずに

・巨大集塊状のグラム陽性球菌ですが、現時点では黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌かの区別は困難です。

・黄色ブドウ球菌を疑いますが、稀に同様の形態を示すCNSも検出されますので培養結果を参照下さい。

など、病原性の高い黄色ブドウ球菌を臭わせながら迅速に報告すると良いと思います。

同様にグラム陰性桿菌ではどうでしょうか。

尿で大型の桿菌が見えた場合は腸内細菌を疑う所見というのもあります。概ね尿路感染の原因菌は大腸菌を中心とした腸内細菌が多く検出されます。しかし、報告者もそうですが、報告対象となる医師がどのくらい理解出来ているか?その尺度が施設の規模や教育の内容、医師の経験年数などによりバラツキもあります。そのため、大腸菌を含めた腸内細菌群を疑う所見など少し工夫も必要です。

ブドウ糖非発酵菌なんかは細菌の分類学上の専門用語ですので、緑膿菌またはその類縁菌の可能性がありますと少し幅を持たせることも必要なスキルかもしれません。

少し独りよがりかもしれませんが、検査室では今何を疑って同定を進めているのかなど透明感のある検査結果を心がけることが良いんじゃないかと思っています。

普段よりコミュニケーションを図るのは本当に重要なんだと改めて感じます。


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コメント

師範のおっしゃるように,
「MRSAですかね?」聞かれることは多いです。他の材料や前回値からある程度予測できればいいのですが,必ずしもそうではありません。「明日にならないと分からないですね」と答えることも少なくありません。

PCRでMRSAかどうかを迅速に判断できれば,それに超したことはないのかもしれませんが,
当院でも使用しているバクテアラートの,いわゆる”ブドウ球菌の染まり方(大きさ+形態)”で,ある程度予測が出来る,という論文に出会ったときは,ある意味衝撃でした。PCRなんて使用せずとも,絶対とは言えないがグラム染色の形態だけで.aureusかどうかの判別をすることが出来る,これは知っているのと知らないのとではかなり大きいと,自分は思っています。

グラム染色の限界と可能性,そのバランスをしっかりと理解したうえで,最大限利用して参りたいと思います。

投稿: Kei | 2012年11月12日 (月) 17時16分

Kei様 そうですね。自分で見ている現象をデータ化するのは良いことだと思います。うちはそういう事を付けて話していますし、分からないことは分からないと言います。
分かる範囲はこの程度ですが、当然外れも可能性としてはあります。同定キットの同定が100%のものでもありませんし。

尿のグラム染色で大腸菌と疑う菌が見えて、臨床で問題となるESBLである確率を求めましたが3.2%でした。殆ど遭遇しないことが分かりましたのでやはりグラム染色で大腸菌を疑うコメントって必要なんだと思いました。

投稿: 師範手前 | 2012年11月14日 (水) 18時33分

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