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2012年11月19日 (月)

感染制御専門薬剤師と認定臨床微生物検査技師のコラボ

先日、感染制御認定薬剤師のセミナーで講演機会を頂きました。

当日は寒いのにも関わらず100名以上を超える熱い薬剤師さんが来られたようです。

当日は下記の内容をギュウギュウ詰めで行いましたので少し消化不良の方もいらっしゃったかもしれません。どうもすいません。

・微生物検査から得られる統計の使い方

・グラム染色は初期治療薬の選択に大事

・ケーススタディ:妊婦のESBL産生大腸菌の腎盂腎炎、ペニシリンとクリンダマイシンアレルギー患者に発生した溶連菌感染など教科書の応用問題

私が思うところは下記にあります。

米国では『Antimicrobial Stewardship』というものがあり、原因微生物の結果から抗菌薬の選択、投与経路、投与量、投与期間など最適化したものを感染症医と感染症薬剤師と一緒に考えていくというものがあります。

http://cid.oxfordjournals.org/content/44/2/159.extract

これをすることで薬剤耐性菌の発生を抑制したり、薬剤費を削減したり、入院期間を短縮させたりしているようです。そもそも日本とは医療制度も医療従事者の数が大きく異なる国で行われているものですのでそのまま導入という訳でも無いのですが、ある程度は導入できるものはあると思っています。

色々な場所で薬剤師さんと話す機会がありますが、対象疾患(患者)と抗菌薬の結びつきが強いように感じます。微生物と抗菌薬を結びつける場合もありますが、微生物に苦手意識を持つ方が多いのでしょうか?微生物の種類が変わると難しいと言われる方も出てきます。ある抗菌薬が適応菌種から外れている場合には、それが効果が有るのか無いのか分からなくなる人も居るようです。

一方、微生物検査技師はどうでしょう?

微生物と抗菌薬を結びつけるのは非常に得意です。というのは薬剤感受性試験を日常的に行っているため、対象菌種に効果がある抗菌薬は把握できているからです。しかし、適切な投与量や投与経路については知らない人が多く、相互作用については元々教育として無いので知る機会がありません。

例えば『大腸菌にVCMは効くでしょうか?』と聞くとどういう答えが返ってくるでしょうか。

 ・薬剤師の場合は適応菌種に入っていないので考える機会が無いため答えられない。

 ・微生物検査技師の場合は感受性測定する機会が無いので答えられない。

そもそも作用機序を考えると理解できることですが、大腸菌は細胞壁を持つためVCMの作用があるように見えますが、構造上外膜を有し分子量大きなVCMは外膜を通過することができずVCMは自然耐性となります。私たちは日常的にこの現象をグラム染色を通じて確認することができています(外膜が紅色に染まりグラム陰性菌となる)。

なので、未だ微生物に触れ合う機会の多い微生物検査技師の方が知っている人は多いかも知れません。

餅は餅屋...ということわざがあるように、それぞれ得意分野はあるのでそこを相互的に使うことは必要ではないかと思います。

やはり、感染症に対しては患者と抗菌薬と微生物の3つを総合的に判断することは適切な抗菌薬を選択するためにどれも欠けてはならないものです。感染症の多くは1つの原因菌で発症することが多いですが、その原因菌を絞らずに抗菌薬を選択するとどうしても広域抗菌薬が使われがちになり、それに伴って耐性菌が増えてしまします。原因菌を絞るためには培養検査は必須でありますが、培養検査は時間がかかります。今そこで抗菌薬を選択したい場合はどうするのが良いでしょうか?

やっぱりグラム染色が大事ということになるのではないでしょうか?

伺った場所では微生物検査の外注化が進んでいるので中々グラム染色はハードルが高いものとお聞きしましたが、世話人の中には自前でグラム染色をしている方も居られました。

日本では薬剤師と臨床検査技師がお互いに力を合わせて感染症診療に貢献することは本当に大切だと思います。

下記は当日のスライドの一部です。

Mrsa

抗菌薬の届出制許可制が加算の要件に入りましたが、当院ではその前後でカルバペネムと抗MRSA薬の投与量は変化がありません。また非常に低い量で動いているために耐性菌の発生もCDADの発生も非常に少ないため非常に感染症診療がしやすいという結果になっています。みなさんの施設はどうですか?

 

 

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