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2012年10月19日 (金)

元文献は読みましょうね

ブログ更新が亢進していなくてすいません。こうやってファンは居なくなっていくのでしょうね。

色々な先生とお話すると非常に刺激的です。良い意味でも悪い意味でもそうですが。本当に良い意味での内容が多く、私の考えは良い方向に向かいます。本当に感謝です。

グラム染色をしているとスコアリングというものがあります。細菌の種類、扁平上皮の数、白血球の数などを分別してスコア化するというものです。

1)ゲックラー分類

喀痰の分類にゲックラー分類があります。喀痰中の多核白血球数と扁平上皮の数をカウントしてグレーディングするものです。(http://jcm.asm.org/content/6/4/396.abstract

この研究は肺炎時の喀痰グラム染色で扁平上皮が少ない検体は品質が良い検体で、多核白血球を多く含み、原因菌が特定される、または特定されなくても肺炎(特にインフルエンザ菌と肺炎球菌による肺炎)の可能性が高いとい内容です。

しかし、良く読んでみるとこういうことが記載しています。

 ・対象は基礎疾患の無い若年者の市中肺炎100人である。

 ・気管支鏡下の吸引痰と喀痰を比較している。

 ・対象菌種は肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌、A群溶連菌、グラム陰性桿菌(たぶんKlebsiella)、黄色ブドウ球菌である。

裏を返せば、院内肺炎、高齢者肺炎、誤嚥性肺炎、異型肺炎、肺結核などは除外されています。つまり、ゲックラー分類を使う時にこのような疾患では一部データの解釈が異なるということです。入院患者の誤嚥性肺炎では良くみかけることですよね。

500こういうのって微妙ですよね。

 2)Nugentスコア

細菌性膣症をスコア化したもので、BVスコアとも言われます。

昔の記事(http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/bv_4ae4.html

これはNugentが膣分泌物のグラム染色をした時にLactobacillus form、Gardnerella-Bacteroids form、Curved gram variable(多分Mobilluncus) formの3つに菌を分別してスコア化するというものです。(http://jcm.asm.org/content/29/2/297.abstract

スコアは0-10の各段階で表示され、スコアが高 いほど悪いというものです。通常、Lactobacillus formが多く存在するとpHが低く保たれて腸内細菌などの病原性の高い菌が浸入したり、増殖しにくくなるために子宮内感染や産褥感染のリスクが低いということが分かります。

しかし、良く読んでみるとこんなことが書いています。

・妊娠23-26週の妊婦のコホート研究

・正常、細菌性膣症、炎症(たぶん細菌性膣炎)、酵母(たぶんカンジダ膣炎)、その他の5分類している

・後染色はサフラニン染色

・Lactobacillus formとは大型のグラム陽性桿菌のことでLactobacillus以外のものも含まれる可能性があること

つまり、非妊婦、妊娠後期の妊婦、カンジダ膣炎や既に子宮内感染を起こしている場合はスコアリングの解釈が一部異なることが示唆されます。

Photoこういうクルーセルの存在は有用ですよね

2つに共通することは、知らないうちにスコアが適用外に汎用されていることです。どこでそうなったかは私は知りませんが、たまに間違った内容で発表や講演内容を聞く事があります。結果解釈をする場合は必ず原著論文を読んでから考えて貰う方が良いかと思っています。

 

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