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2012年3月26日 (月)

血液培養陽性の報告はどうするのが良いか? 前編 医師に聞きたいこと

最近、グラム染色クイズがありませんが、少しご勘弁下さい。

先日、静岡県のセミナーに伺いました。医師と技師の間のコミュニケーションを上手くさせるために必要なスキルを付けることを目的とした内容です。医師と技師が同じテーブルに座り、1つの感染症例についてお互いの意見をぶつけ合い落とし所を考えることは、双方の仕事のスキルアップのために必要では無いかと思います。とても良い会だったと思います。

さて、その中でこんな質問がありました。

『血液培養陽性の連絡時にどんな情報があれば有用ですか?』

さて、皆さんの施設ではどうなっているのでしょうか?

院内ルールはあまり無いと思います。勿論、院内実施と外部委託では対応はガラリと違うと思います。丁度、私も自分の施設でしている内容をまとめ直してみました。

【陽性時に医師に聞きたい情報】

1)血液培養を提出した理由
 そもそもどういう理由なのか、殆どの症例が感染症を疑うからであり、単純に熱が出たのでパスで採血が実施されたなども入るかもしれません。
2)感染症の場合は医師が想定している疾患
 既に疑わしい疾患は、現場にはあるわけで。大まかに疾患について突っ込んでも良いと思います。疾患から検出頻度の高い菌が判ることが多いです。
3)現行の抗菌薬とその選択理由
 1)と2)に続いての事ですが、使用抗菌薬を知ることで、感受性結果として欲しい抗菌薬が判ります。また、今後、広域⇒狭域への適正使用を促すことが出来ます。
4)結果報告の方法、推定菌の情報は何処まで要るのか?
5)結果は急ぐのか?何時までに欲しいのか
 既に、初期治療など、適切な処置が施されて、症状が沈静化している場合もあると思います。逆に症状が改善されていない場合があります。結果はどのレベル(情報として菌種まで、グラム染色の結果まで、推定菌の段階までなど)の情報を求めているのか知ることは、同定感受性のプロセスを作り出すために必要です。
6)誰が採血したのか、採取部位(抹消、ルート、部位)
 本来はあってはならないことですが、どうしても皮膚常在菌のコンタミネーションが起こる場合があります。殆どが採血手技上の問題ですが、採血者の問題も含まれることが多いと思います。血液培養の採血慣れている人であると、コンタミネーションの可能性も下がりますが、夜間、休日通して、必ずしも一定の人が行えるわけでもありません。
また、採血部位はどこなのか?カテーテル採血なのか、カテーテルでも鎖骨下動脈なのか?また、FDLのような汚染が多い場所なのか?それにより今後の対応も大きく変わります。
面倒くさいと思う方も居るでしょうが、採血理由を聞くことは、微生物検査のプロセスを構築するために必要であり、微生物検査が血液培養陽性というクリティカルな状態をもって意思疎通を図ろうとすることは、臨床現場にとって無駄なことでは無いと思います。

書こうと思いましたが、【陽性時に医師に伝えたい情報】は次回へ続く・・・・。

写真は、Clostridium perfringensです。敗血症時の死亡率が高い疾患ですが、一部消化器疾患のオカルト症例として言われることもあります。壊死性筋膜炎の場合は急ぐでしょうし、ドレナージが上手くいった胆管炎の場合は急がない場合もある菌の一つです。こういうのは微生物検査室だけで決めにくいので、上記の内容について丁寧に聞いてみましょう。ただし、電話の場合は向こう側の都合がありますので、一度『今お時間宜しいでしょうか?』という言葉は付けましょう。接遇接遇。

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2012年3月17日 (土)

CAPD腹膜炎の検査って

CAPD排液の培養ってたまに来ます。皆さんの施設もありますか?
自分自身、いつも疑問に思ってることがあります。
それは、検査依頼の方法が提出医によって、結構統一性が無く、結果報告の方法について悩んでしまうことが多いからです。
CAPD腹膜炎を疑い検査依頼されるのでしょうが、下記のような内容で提出なものがあります。
1)カルチャーボトルに入れて提出してくる。
これじゃグラム染色出来ないよ。と、培養が陽性にいませんで待つ。
2)スピッツに入れて提出。
嫌気性菌大丈夫かな?そもそも、量ってこれで良いの?という疑問。
3)ケンキポーターで提出
この検体量が大丈夫かな?嫌気もカバー出来るので問題なさそう?
4)チューブの先を出して来る
どういう結果を期待しているんだろう?デバイスそのままって。
そもそも、CAPD腹膜炎を考えた培養検査をしたいけど、提出方法について聞かれることは無いように思います。また、学会、研究会や技師会の勉強会でも、腹水の培養方法はたまに議論の対象にはなりますが、CAPDの培養方法や結果解釈について論議になることは少ないのかなと思います。
でも、培養方法って基準ってあるんだろうか?って思う方もおられるのではないでしょうか?
スタンダードな方法は実はあるのですが、検査室含めて知らない人が多いように思います。
ISPD GUIDELINES/RECOMMENDATIONSというものがあります。
Peritoneal Dialysis International, Vol. 30, pp. 393–423
そこには、下記のような事が書かれています。
1)CAPD排液は50mlを採取し、3000gで15分間遠心する。
2)遠心後の沈渣はをグラム染色に用いる。
3)残った沈渣に滅菌生理食塩水を3-5ml分注し、寒天平板と血液培養ボトルに接種する。
そうすると検査感度は95%と良い結果が得られえる。
排液を直接カルチャーボトルに接種する方法もある。排液50ml採取して、5-10mlを2本のカルチャーボトルに採取する。院内で培養していない場合などは使えるかも知れませんが、既に排液が混濁し結果を急ぐため、グラム染色が必要だと思われますが、未実施または出来ない場合にはこの方法が良いのでは無いかと思います。採取後は6時間以内に37℃で培養を開始することが条件になります。
ただし、この方法は80%程度の感度しかなく、遠心集菌した方法の方がより感度が良いことは念頭に置き結果解釈は必要だと思います。
上記の方法を実施すると、培養陽性の場合は24時間以内に75%もの検査感度が期待出来るようです。培養は3-4日間継続して行い、発育の遅い酵母様真菌を疑う場合はさらに継続して培養を行う方が良いようです。ここには記載は少ないですが、稀な疾患としては抗酸菌(特に迅速発育菌)、ノカルジア、アスペルギルスがありますので、何を疑い検査しているのか、検査室は提出医に確認し、提出医は検査室へ伝えることが、この検査の意義を高めることになりますね。
最近はブロードレンジPCRも用いられてきたので、出来る施設では採りいれていくと良いと書かれています。
原因菌は何でしょうか?グラム陰性桿菌の場合は予後が悪いことが知られています。
検出が多いのは、黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、緑膿菌などのブドウ糖非発酵菌群、大腸菌などの腸内細菌群など。多くはデバイス関連の原因菌、横隔膜下臓器感染を起こしやすい細菌になり、通常の腹膜炎から検出される菌とは何ら変わりありません。排液とありますが白く透明がかっていますが、濁ると重症です。結果を急いであげましょう。
結果によって、投与する抗菌薬は大きく変わります。
当然、グラム染色は急いだ方が良いでしょう。
グラム染色で見えるのか?という疑問ですが、見えるか見えないかは見てみないと何とも言えません。見ないより見た方が得だと私は思っています。
染色で見えなくても、白血球の数をカウントすることで診断基準の一つがあります。
白血球数が100個以上/μLで好中球が50%以上を占めることが一つの指標だそうです。
色々知らないことが多く、改めて見直してみると不勉強が露呈されるのでこの辺にします。
最後に、出口部感染は、発赤や腫脹といった炎症所見を認めることが多く、一部膿瘍が出来ますので、そこの膿をグラム染色で染めてあげるのが大事です。
写真を掲載しますね。
Capd400 ×1000(菌は確認出来ませんが、白血球が多い。後ほど増菌でS. maltophilia)
Capd10003 ×1000 Streptococcus Viridans
Capd2 ×500 珍しいAspergillus
Capd ×1000 出口部膿瘍 MSSA

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2012年3月 6日 (火)

気になる 感染防止対策加算 24年度診療報酬改定

3月6日の深夜にアップした内容ですが、詳細を見てみると修正追加の箇所がありました。赤字で記載しておりますので再度参照下さい。

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24年度診療報酬改定が話題の中心になっているこの頃です。

1月末に感染防止対策加算の内容が明示されて、2月10日には点数が判明しました。

加算1が400点、加算2が100点となりました。

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加算1は今まで感染防止加算を算定出来ていた施設は、年2回の講習会に年4回のカンファレンスが加わります。そのカンファレンスには加算2の施設に参加をして貰わなければなりません。あたりまえですが、加算2の施設からは相談を受けないといけません。

また、下記の事項も必要です。

・抗菌薬適正使用のための届出制・許可制が必要ですし。

・医療評価機構などの第三者機関の審査

・地域や全国のサーベイランスに入っている(これは強制ではありません)

加算2は今回追加となったもので、加算1の条件を少し緩和したものです。加算2は加算1と違い、1名の専従が専任になり、加算1の行っているカンファレンスへの参加を4回するということが条件になります。加算1の施設との連携が要点になりますが、加算1の連携を行う施設は別に1つでも無くても良いようです。なので、カンファレンス4回に参加する加算1の施設が4つ(1回ずつ別の施設)でも問題は無いような感じです。勿論記録は必要であるということは言うまでもありません。

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詳しい内容が段々と出てきています。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/h24_01-03.pdf

今まで加算1を算定していた施設は100点から400点にアップします。加算2との連携が必要になるので、加算2の施設とお見合いが始まります。元々地域連携を上手く使っている地域ではさほど問題が無いように思います。

加算1を算定予定の施設では専従の医師か看護師の設置が大きなハードルとなるかも知れません。ちなみに、看護師の場合には『5年以上感染管理に従事した経験を有し、感染管理に係る適切な研修を修了した看護師。』 の事を指します。

適切な研修って?どういう事でしょうか?ICNが居れば良いようですが、ICNで無くても良いようです。

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『感染管理に係る適切な研修を修了した看護師』の定義

ア 国及び医療関係団体等が主催する研修であること。(6月以上かつ600時間以上の研修期間で、修了証が交付されるもの)

イ 感染管理のための専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。

ウ 講義及び演習により、次の内容を含むものであること。
(1) 感染予防・管理システム
(2) 医療関連感染サーベイランス
(3) 感染防止技術
(4) 職業感染管理
(5) 感染管理指導
(6) 感染管理相談
(7) 洗浄・消毒・滅菌とファシリティマネジメント等について。

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加算2を採れそうな施設では、いきなり、5年以上感染管理に従事した経験を有する専任の看護師の確保を求められます。7:1の体制を敷くのも難しい状況の施設もある中、専任を置くことは最も難しくと思います。また、3年以上従事する専任の医師、薬剤師や臨床検査技師の確保も難しい施設があるようです。

加算1を採る施設にとって加算2の施設の存在は本当に貴重になりそうです(下記のURL54ページ参照)

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/5-2-1.pdf

また、加算1の施設同士で地域連携加算が算定出来るようになります。加算1の施設はフルで入院初日に500点の加算が見込まれます。

地域連携加算は連携をする互いの施設に赴き、チェック項目について相互チェックし評価するという方式です。国公立病院のチェックリストがベースになっているものが、HPに掲載されています。結構細かいオーディットが設定されているようです。おちおち、4月を待っている場合ではありません。

3_2

下記URLの83ページから。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/5-2-2.pdf

届出票もここ(169ページからの様式35)

詳細は、今後も出て来そうなので、まだまだ厚労省のHPは注目ですね。

気になるページはここです↓↓↓ Check it out !!

中央医療審議会

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008ffd.html

平成24年度診療報酬改定

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/

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2012年3月 2日 (金)

スキルアップセミナーの申し込みが開始されたました サンプル答えあります

スキルアップセミナーの受付開始になりましたね。担当者さんからは、受付開始とともに申し込みが来て登録に追われているとお聞きしました。他のスキルアップセミナーの内容を見ていると非常に豪華な講師陣で、皆さん三重に行きたくなるような内容ばかりですね。私も頑張らねばと思います。

http://www.61jamt.jp/gyou/

最近、色々な場所で色々な人にブログの話を伺います。

N医大のK先生のご指導もあり2007年から始めたこのブログですが、もう直ぐ5年になろうとしています。最初は、自分の考えの是非を伺いたくて始めたのですが、今では教育ブログになってしまい良かったのではないかと思っております。

別に私の成果でもありませんが、その間にグラム染色の診療報酬も25点から50点へと倍増することとなりましたし、検体管理加算にはグラム染色が必要になってきました。これは素直に喜ばないといけません。ただし、診療報酬が上がった分だけ、しっかりと結果報告をし、診療支援に結びつかなければならない責任はありますよね。

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ところで、先日の記事ですが、どういう答え方をしたのか参考に内容をご紹介します。

http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-0977.html

患者情報として、消化器術後の患者で喀痰を提出してきたというシチュエーションです。

写真1はこれです。

10001 ×1000

グラム染色の読みとしては以下のような内容が汲み取れます。

1)多核白血球が多い良質な喀痰であること。

2)グラム陽性球菌とグラム陰性桿菌が見え、グラム陰性桿菌の方が数的に多いこと。

3)グラム陰性桿菌の多くは貪食されている像が確認されること。

4)グラム陰性桿菌の多くは大きく無く、短くも無い桿菌で、莢膜は確認出来ないこと。

これを術後患者と掛けて考えると

①嚥下が上手にいかず誤嚥性肺炎を起こしている。

②消化管の動きが悪くなり、消化液の逆流が起こり肺炎となっている。

③手術をするような患者であり、医原的行為が実施されていることや術後抗菌薬が投与されているのにも関わらず、菌が検出されている(つまり耐性菌の可能性を示唆する)。

①②③を考えて、胸部X線で浸潤影が確認されていると術後肺炎の可能性が高まります。当然、術後抗菌薬に無効なグラム陰性桿菌を中心とした誤嚥性肺炎の治療方針を固めることが論点になります。緑膿菌も視野に入れての対応になりますので、当院では初期治療としてCAZ+CLDM、またはPIPC/TAZが選択肢として上がってきます。一応、グラム染色の結果とともにディスカッションをして、投与量、投与回数、投与期間、培養結果判明までの対応について決定します。

そして、臨床経過として呼吸回数、SpO2、体温、血液検査(必要かどうか判りませんが胸部X線も)を確認し、相談して使用した抗菌薬の効果について追っていきます。

必要が無いかもしれませんが、菌が残っていないか、使用抗菌薬に対する菌交代現象が確認されていないかなど観察する目的で培養検査をします。当然、培養検査の前にグラム染色にて抗菌薬の効果についてのスクリーニング検査は実施します。

下記が投与5日後のグラム染色です。

510001 ×1000

このグラム染色の読みとしては以下の通りです。

5)先日確認した結果に比べてグラム陽性球菌もグラム陰性桿菌も確認されなくなったこと。

6)多核白血球は沢山見えているため、良質の喀痰であることが判ること。

結果的にこうコメントしています。

グラム染色上では先日確認された菌は確認出来ていません。菌は減少し、投与している抗菌薬に効果があると考えます。多角白血球は依然として確認されており、炎症症状は継続していると思われます。肺炎を考える場合、先日お話した投与日数は最低継続をお勧めします。また、経過中に症状が悪化した場合は耐性菌の出現など、再評価が必要になるので、再度、喀痰培養をご検討下さい。

このようにして、グラム染色を使いながら診療支援を進めていきます。勿論培養結果も参照にしないといけない場合もありますが、抗菌薬投与下ではグラム染色で確認出来るが、培養では発育しない、または菌が思ったより少ないなどがグラム染色の所見を持ってお話出来るからです。

こういった内容を踏まえるとグラム染色が50点とは決して高い検査では無いはずです。

当日はこんな内容を話してきます。

また、ブログアップもアップアップせずに頑張りますので応援宜しくお願いします。

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