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2012年1月11日 (水)

やっぱりグラム染色は抗菌薬の適正使用に欠かせない その1

こんな状況に皆さん遭遇するでしょうか?

脳外科医:今、手術でこんなの採れたけど、合う抗生剤の情報が欲しいんだ。

私:脳膿瘍ですか?それとも硬膜外膿瘍ですか?、または術後の方?

脳外科医:神経症状がはっきり無い患者だけど、MRIでリング状の造影効果があるので脳膿瘍に間違い無いんです。外傷後や手術後ではありません。

私:じゃあ、採取時の特徴は何かありますか?

脳外科医:臭いは特に無く、膿瘍の周囲にガスを認めたくらいです。

私:そうですか。最後に抗菌薬の前投与はありますか?MRI撮影後なので。

脳外科医:はい。他院から転送されてきましたが、既にCTRXが数日間投与されていたようです。血液培養は一応出したのですが。結果未だですよね。

私:判りました。スメアは10分後に報告しますので、しばしお待ちください。

まず、この時点でどういったスメアを期待するのか?菌が出てくる場合はどういうものが見えるのか、まず頭の中を整理するのが大切です。

たとえば陽性菌か陰性菌かです。

特に、脳膿瘍などの重症化した疾患には本当に迅速に原因菌の検索が必要になると思います。

今回は手術や外傷のような創傷に伴う感染では無いので、ある程度菌が絞られます。やはりコミュニケーションは大事です。

で、見えたのが下記。

うーんと思いますが、どういった菌が予測され、この菌が原因菌である場合は、結果報告する際に何かアセスメントすべき事項はあるでしょうか?

たまに問題を出さないとマンネリ化するので、今回は問題にしました。

一応答えはその2で作る予定です。忘れていたら指摘下さい。

10001 ×1000(その1) 10002 ×1000(その2)

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グラム陰性菌」カテゴリの記事

コメント

どうも、よろしくお願いします。
脳外科のない病院の技師です。

こういうスメアは、グラム陰性か陽性かも大事でしょうが臓器移行性をまず考えるべきかと・・・

ニューキノロン、マクロライド、テトラサイクリンなどが無難かと・・

それより、感染経路ってどうなってるんですか?^^

投稿: 辰年の年男 | 2012年1月11日 (水) 13時02分

辰年の男様 コメントありがとうございます。
移行も大事だと思います。でも原因菌が何か?せめて属レベルでも分かった方が良いと思いますが如何でしょう?
グラム陽性菌にキノロン選択は第一に考えないでしょうし、移行のみ考えるのであればそもそもグラム染色なんて…。ちょっと主旨と違いますか?また、ここ以外に感染を供給している巣があれば、せっかく治してもまた一からやり直しになりませんか?

投稿: 師範手前 | 2012年1月11日 (水) 19時43分

めげずに再挑戦です。よろしくお願いします。
脳外科医に話を来た時点での判断としては、①外傷・手術後でない脳膿瘍ということでブドウ球菌の可能性が下がる、②匂わないけど膿瘍周囲にガスが認められたことから嫌気性菌は除外しきれない、③連鎖球菌、Bacteroides、腸内細菌科、Nocardiaを念頭に観察、④CTRX投与後で菌の形態が変化しているかもしれない、だと思います。
グラム染色ではグラム陰性短桿菌が見えます。
大きさはまちまちですが、概ねインフルエンザ桿菌より大きなものが多そうです。その2では莢膜が比較的厚いように見えます。
莢膜がはっきり見えない(その1)にBacteroidesがいるかがポイントだと考えて、観察しましたが完全には否定できませんでした。
しかしまずは腸内細菌科と考えて、耳鼻科領域に感染源がないかのアセスメントを勧めます。
重症なのでBacteroidesについて積極的に否定する理由がないなら、うーん、、、カバーしてしまいます(^-^;

投稿: hazetemple | 2012年1月11日 (水) 23時22分

hazetemple さま コメントありがとうございます。

さて、推測した①から④は素晴らしい限りです。やはりどの感染症においてもコモンな微生物からのアプローチは当たり前のようにしていると思いますが、案外抜けがちな内容だと思います。重症なので病原性が強いものであるとかは勿論大事なのですが、レアな細菌に出くわす確率は低いと思います。まずはコモンな菌を想定してみて、それに合わない所見であれば、考察する必要があると思います。ガスを産生しているという所からは、気腫性病変が他臓器や外界との交通があるのか、菌が産生するガスがあるのかなど考えますよね。ガスの産生する嫌気性菌ではクロストリディウムが有名ですが、今回は太いグラム陰性桿菌に見えるので、ちょっと違うかなと思います。しかし、クロストリディウムは不染性ということもあるので全く否定は出来ませんね。バクテロイデスも抑えておく嫌気性グラム陰性菌の一つです。あとは腸内細菌でしょうか。腸内細菌の気腫性病変について有名なのは腎気腫です。でも殆どの場合はDMがベースになる状況です。糖分が多いからが理由だそうです。中でも肺炎桿菌はガスの産生が大腸菌より多い傾向にあると培養していていつも思います。なので肺炎桿菌は外せません。ん、まてよ。肺炎桿菌については最近話題のK1抗原陽性のもので播種すると言うではありませんか。これは外せません。また莢膜もあるし疑いは一方深まるばかりです。この場合は肝膿瘍や尿路感染が先行して無かったのか考える必要もあります。

で、耳鼻科疾患と腸内細菌は何か関与あるのでしょうか?不勉強ですいません。

個人的には耐性菌へのアプローチも同じでは無いかと考えています。

投稿: 師範手前 | 2012年1月12日 (木) 21時45分

ありがとうございます。ひとくちに腸内細菌と言ってもガスの産生の程度はかなり違うんですね。K1抗原陽性肺炎桿菌も恐ろしいですね。
耳鼻科疾患から調べる根拠ですが、複数の成書では(文献は)直接播種が30-50%、血行性播種が25%、不明が25%でした。また脳膿瘍において、腸内細菌科が多い原発巣としては中耳炎、乳様突起炎、副鼻腔炎、膿胸、尿路感染でしたので、折角MRIを撮影されているのであれば、まずは耳鼻科領域の感染を除外してから胸腔、腹腔内の検索に移っても良いかなと考えました。
一方、もし血行性播種が積極的に疑われるなら、奇異性塞栓の場合もあるので、心エコーで右左シャント、胸部CTで肺動静脈瘻の検索を勧めるかと思います。

>個人的には耐性菌へのアプローチも同じでは無いかと考えています。

とのことですが、これは頻度や患者が発症した際の状況、以前の抗菌薬投与有無、アンチバイオグラムから耐性菌である可能性を推測するという理解で良いのでしょうか?

投稿: hazetemple | 2012年1月13日 (金) 21時21分

hazetempleさま、中耳炎ですが、少し気にして頭部MRIにて海綿静脈洞血栓症も探しましたが明確なものはありませんでした。ちょっと注意ぢないといけないものですね。
アンチバイオグラムですが、もう肺炎桿菌と分かれば市中の耐性菌が大腸菌に比べて少ないので、そこまで気にしなくて良いのかと。大腸菌でもhealth care associatedを強く疑わない状況ならキノロン以外は感受性が多いのでそこまで気にならないと。

投稿: 師範手前 | 2012年1月13日 (金) 21時57分

市中の肺炎桿菌や大腸菌の耐性ってそこまで頻度は高くないんですね ( ̄○ ̄;)! ちゃんと当院のものも見直しておきます

投稿: hazetemple | 2012年1月14日 (土) 00時12分

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