« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »

2011年8月16日 (火)

挑戦者 Come on!!

こんなスメアにも出くわします。

80歳代、男性。喘息、COPDがあるそうですが軽度であり画像上でも気腫性病変は顕著に認めず。

数日前より咳嗽があり夜も眠れず。横を向くとしんどくて、睡眠時間も少ない。呼吸苦を訴えて外来受診したところ、右膿胸を疑う所見があり、胸水のドレナージを実施した。白色の膿性胸水が出たところグラム染色をしました。ちなみに胸水のpHは7.1、LDHは2400IU/L、糖は54mg/dl。

さあ、どう読むのでしょうか?

原因菌は何でしょう?1つ?2つ?

ドレナージしたとして、使う抗菌薬は何を選択しましょうか?

ちなみに私、菌の類推は出来ましたが・・・。ゴニョゴニョ。

挑戦者お待ちしております。

10003 ×1000

今週は第5回GSSG研究会です。参加予定の方宜しくお願いします。

なお、当問題は会とは全く関係ありません。

悪しからず。

| | コメント (20)

2011年8月 8日 (月)

熱の原因と抗菌薬の相談

ICTを通じて感染症のコンサルトを受けることが多いのですが、必ず患者さんの背景、今の状況、今後の方針、問題点などを聞くようにしています。

不明熱というより感染症かどうか分からないので聞いてこられる例も多いです。

これは先日、外科術後にあった例ですが。

微熱が続いているという相談内容です。熱源の検索としては画像診断をしたが明らかにリークなど手術に伴うものは無いとのことです。一応、画像をこちらでも確認しましたが問題点はありませんでした。

尿バルンを留置していて、もしかしたら熱の原因が尿路感染なのかもしれないということで、尿路感染を起こしてるかどうか確認していくことにしました。

一般検査は?潜血(+)、白血球(+)、亜硝酸(-)。バルンも入れているし、白血球の有無はあまり充てになりませんし。原因菌と菌量を確認して参考にすることにしました。ただ、沈渣では細菌(+)。沈渣で菌の定量は出来ませんのし、菌の種類が分からない。その見えている細菌って何だろうということです。しかも亜硝酸が(-)。

これはグラム染色を見る価値があるということで研修医と一緒に確認しました。

1000×1000

グラム陰性桿菌ですね。ということは分かりましたが推定菌までは難しいようです。

じゃあ、見た染色を言葉に出して言いましょう。グラム陰性桿菌で、細い?少し塊も。

尿路感染で良くあるのは? 大腸菌ですとは分かっているようです。

大腸菌は既に分かっているスライドです。比較してみましょう。

600


ちょっと大きいので分かりやすいです。

これを目に焼き付けて前のスメアを見ますと

1


このようになります。少し細く小さい菌なので緑膿菌を含めたぶどう糖非発酵菌であると予測出来る場合があります。また、塊がある。バルン挿入している。何より亜硝酸が(-)ですので益々可能性が高まるわけです。

一般定性で亜硝酸が(-)になる主要な菌は緑膿菌や腸球菌。亜硝酸を還元する能力は腸内細菌群のように無いことがキーになると思います。

やはりこの場合は複数菌無いかどうか確認する必要があり、最後にアンチバイオグラムからCAZが適当と考え治療開始となりました。

追加で、『あ、先生!血液培養出ていませんよ。薬入れる前に採取してね』と伝えました。採取して貰えましたが結果陰性でした。

やはり現場でしっかりと話しないと双方の意見が繋がりませんよね。

| | コメント (2)

« 2011年7月 | トップページ | 2011年9月 »