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2011年7月 5日 (火)

肺炎球菌ワクチン接種しましょうね

先日、当院の内部勉強会で、『ワクチンで防げる感染症』というテーマで勉強会を企画しました。内容は『肺炎球菌ワクチンとHibワクチン』が主ですが。

勉強会の主旨は、医療従事者としてワクチンに関する知識を付けて貰いましょうということです。ワクチン接種する場所に立ち会わない方にとっては特に経験の無い限りワクチンの知識はあまり十分とは言えず、『あんた、病院で働いているやろ?こういう場合ってワクチンは要るの?どうなん?』と家で聞かれたり、友人に聞かれたりして焦ったり、困ったことは無いでしょうか。

臨床検査技師に関してはワクチンの教育などは全くと言って良いほど無いに等しい医療従事者の一つだと思います(細菌検査室に従事しないと関わり無いんでね)。

肺炎球菌は良く見る感染症の一つですが、良く見る=注意しないといけない感染症 なんだと改めて感じました。中には、当院の侵襲性肺炎球菌感染症事例を中心にデータを示しながら解説していきました。少しご紹介します。

【当院の動向2005-2010】

肺炎球菌は2005年に298例の分離がありますが、2007年の353例をピークに、2010年は201例と減少してきている(これはインフルエンザ菌も同じ傾向に)。

補足:検査方法など変更ありませんので問題は無いと思います。

分離例は冬季に多く、夏季に少なくなる。

PSSPの分離率(CLSI髄膜炎カテゴリーで全て判断した場合)、2005年は32%だったんですが、2010年は42%と年々増加傾向=PRSPが減少中。

【小児の肺炎球菌性髄膜炎のサマリー1994-2011年】

10名の肺炎球菌性髄膜炎があった。死亡事例は0人。これは凄い良いと思った。後遺症は1名のみ(ちなみにHibは13人あり、死亡例はまたもや0人。後遺症は3名とやや肺炎球菌より多い。病原性が強いためかも)。

髄膜炎は5例だけ血清型の結果が残っており、うち4例は4型、6B型(2人)、19F型で80%がPCV7でカバー可能。

肺炎球菌が血液培養から検出された事例は62例。うち42例は6B(15人)、9V、14(4人)、19F(5人)、23F(4人)と69%がPCV7でカバー可能。

【MLSTの結果】

14例でMLSTを実施しST236が最も多く3人。問題のST320、ST3111は確認されなかった。

【考察】

・肺炎球菌の検出数は年々低下しているが、侵襲性株が多くなっている感じ(当院成人例で増えた)。

・ペニシリン耐性菌は減少傾向(抗菌薬の適正使用か?)。

・PCV7でのカバーは各報告通りで約7割。

・当院での小児細菌性髄膜炎では死亡例が無かった。

・集団発生と考えられるクローンの一致は無かった。

・6B型の発生が多かった。6Bに関しては再燃例の報告も多く、ブレイクスルーかワクチンを接種しても抗体が付き難い可能性が示唆される。特に6Bは注目。http://cid.oxfordjournals.org/content/37/8/1029.abstract

また新たな血清型による侵襲性感染症もある(当院では先日15Aが出ました)。

http://cid.oxfordjournals.org/content/47/11/1388.abstract

やはり、肺炎球菌ワクチンとHibワクチンは、まだまだ接種率が上がったとは言え、十分ではありません。小児の肺炎球菌感染症が減ると、成人の発症事例も減ったという報告がある(http://jid.oxfordjournals.org/content/201/1/32.abstract)ので、継続してワクチン接種を推進して行こうと思います。成人のワクチン接種でも肺炎が少なくなるというデータ(http://www.bmj.com/content/340/bmj.c1004.abstract?sid=570efa9f-24c2-4301-9cb2-4c07e53c0953)もありますので皆さんも頑張って勧めていきませんか?

写真は肺炎球菌の気管支肺炎を起こした患者さんから得られた喀痰スメアです。莢膜が見えています。この莢膜はキレイと思いがちですが、『悪そう・・・』と私は感じます。莢膜は貪食を回避しますし結構図太いですね。なので、このスメアで貪食され消えかかっている肺炎球菌は今後どうなるんやろと心配です。

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コメント

 プレベナーとアクトHibはうちの息子にも接種しました。各4回ずつ打ちましたが、1回あたり8,000円もするので、嫁が激怒していましたけどね。
 ところが、今年度から自治体の助成が満額でることになって、去年接種した分も返還されることになったんですよ。これには嫁も大喜び!
 そして、助成されるとなった途端に、接種希望する方が急増して、予約でいっぱいだとか。ワクチンの接種率を上げるには、国や自治体の支援が必要なのかもしれませんね。
 ちなみにうちの両親(共に68歳)はニューモバックスを打ってもらってます☆

投稿: 大石 | 2011年7月 6日 (水) 17時42分

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