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2011年4月11日 (月)

尿のグラム染色

4月に入り、初期の研修医1年目が新たに入社してきました。皆さんの施設もそうと思います。

当院の検査部では、初期研修医1年目のオリエンテーションとして血液型とグラム染色の講習をしています。

グラム染色は毎年、自分の口腔粘膜を綿棒で採取して染めてもらっています。理由はグラム陽性球菌から陰性桿菌、嫌気性菌まで見られるため染色作業が適切に行われているかどうか確認しやすいからです。それからルチンでやってきた検体を実際に染めてもらっています。

いつもは喀痰ですが、今回は尿を染めてもらいました。尿は一般定性と沈渣に加えて、グラム染色を実施することは重要な検査の一つです。

尿路感染を疑う場合、頻尿や背部痛などの症状に加えて、混濁しているかどうかの肉眼的所見を確認し、尿一般定性と培養検査を出すと思います。どれも尿路感染症の診断には重要な項目です。ちなみに、濁り具合で尿路感染の診断をした場合、約6割くらいの感度しかありません。当然、特異度も下がります。

一般定性で尿路感染を診断する際、注目する項目は亜硝酸塩還元試験や尿中白血球反応でしょう。亜硝酸塩還元試験は主に亜硝酸を還元できる大腸菌を初めとする腸内細菌群の存在を示唆します。しかし、腸球菌や緑膿菌は亜硝酸を還元出来ないため陰性となります。一方、白血球も尿路感染で多く出てきますが、人工物が留置されている場合も出てくるので尿路感染診断のための特異度が下がる原因になります。一般定性は過信出来ませんが尿路感染の診断には必要な検査です。

培養検査は尿路感染の菌種同定に加えて、薬剤感受性の把握に必要です。最近はキノロン耐性菌やESBL(3世代セフェムも耐性となる)産生菌の検出も市中では普通にあるので治療経過を追うこと、適切な抗菌薬への変更を検討する場合に非常に参考になります。

培養の結果が後回しになっても、救急の現場では尿のグラム染色は実施して欲しいという事は伝えましたが、受け取り側がどれだけ興味を持ち、かつ重要視しているかは継続して教育が必要です。

600 ×1000(大腸菌)

Photo ×1000(腸球菌)

Photo_2 ×1000(緑膿菌)

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