« 2011年2月 | トップページ | 2011年4月 »

2011年3月30日 (水)

Criteria for rejection of a specimens

培地不足が続いておりますが、皆さんの施設ではどのように凌いでいるでしょうか?
既に粉培地に切り替えて、毎日作製しているでしょうか?または、血液を購入して学生時代を思い出し血液寒天培地を作製しているでしょうか?生培地を提供してくれる企業が徐々に復興に向かい流通も復旧してきております。もう少し不自由するかもしれませんが、企業も頑張っています。皆さん、もう少しの辛抱です。頑張っていきましょう。
さて、生培地を節約するには以下の方法が思いつきます。

① 培地をケチって使う
② 緊急度別に検体を優先に検査をするため、検体数を制御して貰う
③ とにかく手で作れる培地は頑張って作る

① に関しては、培地を半分ずつ使用するとか、継代培養する場合はもっと分画するとかにする。ただし、分離培養をする際の注意点として、常在菌が多数ある検体や周囲汚染菌が多く発生すると予測される検体の場合は分画を避けて使用しなければ検査の質自体下がり兼ねませんので、グラム染色などを活用しながら、培地を追加や削除していくと良いのかもしれません。

これとは違う考えで、rejection criteriaというものがあります。簡単に言うと「検査に適していないために受け取らない」ということです。受け取らないというのは少し齟齬がありますので、これに「出し直して貰うように付け加える」という後出しが微生物検査室にとっては重要です。ASM(米国微生物学会)には既に、このrejection criteriaが明記されていますが、日本にはこの考えがマダマダ浸透しきれていません。確かに医療制度や検査室の体制も異なるため完全一致出来るものは無いのかもしれません。

このCriteriaの中から

1) 検体に名前の無いものはダメ⇒医師や看護師に電話して確認し、確認が取れない場合は翌日再度連絡する。培養は無記名でするが、個人が特定出来ない場合は報告書をしない。
2) 長時間放置した検体(1時間以上室温放置した尿、輸送培地に接種していない淋菌のオーダーなど)はダメ⇒基本的に出し直し。
3) 未滅菌の容器に採取された検体はダメ⇒検査はしないで採り直し。
4) 容器が破損している検体はダメ⇒喀痰や血液の培養、ウイルスの検査はしない。採り直し。
5) 外部や常在菌の汚染が酷い検体はダメ⇒報告はしないで、別の部位や採取方法を検討して貰う。
6) 同じタイミングで同一場所から複数採取する検体⇒ダメでは無いが、効率が悪いので1検体のみ受け取る。ただし血液は除く。
7) 好気培養の無い嫌気培養の依頼⇒好気培養をリクエスト(というより日本でも好気をしないと保険診療出来ないよ)

中々、無さそうで有りそうな事象だと思います。

そもそも、吐しゃ物、尿カテーテルの先端、人工肛門からの漏出物、悪露、新生児の胃液は検査しないで良いことになっています。そうですね、何の検査をしているか判らないし、出た菌の判断が出来ないのが大きな理由でしょう。例としては、尿検体でも扁平上皮がたくさんグラム染色で見えた場合は検査を実施しても参考になり難いと思います。上記の5)にあたりますね。

なので、受取をしない場合はそれなりに理由が必要です。上記の1)~7)に該当するだとか、グラム染色で確認してから理由を述べるだとか、正論を講じて医師や看護師に伝えなければ、論争に発展しかねません。「まあ、いいか」という習慣を生むと余計培養検査が難しくなり、節約しやはずが仇となり浪費してしまうはめになります。

また、今の時期は臨床上、微生物学的な考察が無ければ救命出来ない可能性のある検体を優先的に検査していき、他の検査で代用出来そうな場合(単純性膀胱炎は尿中亜硝酸還元能と尿中白血球を参考にするなど)は、そちらで代用するなど討議することも必要になるでしょう。何事も、臨床か検査室か一方で決定するのでは無く、患者さんにとって必要最低限の検査は今何が出来るのか?今後、必要な検査をどう絞り込んで行くのか?今、真剣に考える分岐点に来ているのかもしれません。

Pray for Japan.

Esbl 尿のグラム染色 ×1000

 白血球が多く、市中感染で見える場合は多くが大腸菌であるので、アンチバイオグラムと材料別菌検出状況を添えるのも培養を省略出来る一つかもしれない。

| | コメント (0)

2011年3月27日 (日)

遠く遠く(近く)離れていても…

先日、感染管理認定看護師研修生、神戸研修センター第7期が修了を迎え29名のCICN卵の卵が旅立ちました。また、今回は研修センターのF先生、T先生も卒業です。木曜は、調度、研修生主催の謝恩会に呼ばれ情報交換という口実の飲み会に参加させて頂きました。
私は、ここ5年ほどこの研修に関わり、毎年研修生と接する機会を頂いております。本当に熱くて楽しく、温かい方たちばかりで、同じ認定資格を持って(ICMT)を持っていますが、その情熱には毎年敬服しています。
5年もしていると、学会などで再開する機会も多く『先生!』と未だに呼ばれ、内心『いやいや、もうあなたたちに教わる事が多いから先生は…』と本当に感じます。教員じゃないし、偉くもないし、先生呼ばわりするのが本当に苦手にしています。普通に接して下さいね。

卒業生は5月に試験を受けて合格すれば晴れてCNIC(最近はICNとは呼ばない)の卵に。頑張って欲しいものです。

この研修はかなりタイトでハードな研修と聞いています。まず、半年間もある、地元を離れての生活(2重下宿もある)、ハードな研修内容、レポートの嵐+家事・子育て++旦那(家内)のケア。もう、寝る時間と膨大な貯金を注ぎ込むようです。本当に大変と思います。個人的に思うに、研修に来られる方々はそれだけの人望に厚く、期待を寄せられていると思いますのでどうにか修了されるのでしょう。

これから、CNICを取得しスタートするんですが、専従を約束されている方や兼任で続けていく方など施設の立場もそれぞれ違います。焦り、誇り、おごりも出てくるでしょう。何から手をつけようか?と考えることもあると思います。今度は実践で介入までの過程に予算、人間関係が複雑に交錯してきます。初めから飛ばさなくて良いでしょうし、患者さんのために良いと思うことは沢山あります。自分の興味、勧めたいことを計画し、信念・辛抱強く続けていくことが大切です。これは自分自身与えられた人生であり、命題であり、色々な事象を通じてコミュニケーションを養い、人間性を高めるスキルでしょう。

人は生活をしていく上で感染症は避けられないハプニングである。医療は我々に幸福を与える目的で供与されるべきで、医療に伴った感染症の発生は避けれぬ事象です。

我々、感染管理者はその感染症の発生を未然に防ぎ、起きた場合被害を最小限に食い止めなければならない使命感があります。その使命感を達成させるべく、着実に業務を遂行しなければなりません。まずは、得意分野も進めるのも1つでしょうし、見つからない場合は研修で知ったことを活かしてみるのも良いでしょう。ただし、自分の健康にも配慮し、周囲の協力も理解し進めて行って貰えば幸いです。

3月は出会いと別れがあります。寂しいでしょうが、別れは次へのステップアップであり、スタートラインです

もうじき新年度を迎え新入社員も入ってきます。そして、皆さんの活躍を楽しみにしております。

最後は槇原敬之の『遠く遠く』を歌い終了しました。地元を離れた事はありませんので完全に理解出来てないかも知れませんが。リスペクトしている曲の1つです。

http://music.goo.ne.jp/sp/lyric/LYRUTND11016/index.html

| | コメント (0)

2011年3月22日 (火)

血液培養検査に思うこと

今回の震災で、血液培養について話題に上がることが多いです。それは、血液培養ボトルが不足しているからである。巷でも食料品や乾電池、懐中電灯など買占めで枯渇している中、医療業界でも、医薬品の不足から、医療器具、消毒薬の不足、検査試薬の不足など各方面で皆さん苦労されているようです。

血液培養ボトルについての品不足も深刻な問題です。

今回問題になっているのはBACTECの血液培養ボトルですが、販売しているのは日本BDですが、出荷が配送センター(福島県)が震災の影響で停止しているとのこと。ボトル自体は輸入品であり、東京湾に入港後、福島へ輸送され全国に出荷される仕組みになっているようです。情報の出所はあえて伏せますが、3月18日現在の情報で、被災を免れた+新たに輸入された血液培養ボトルは約2-3週間分あるようです。現在は、この出荷作業が少し停止しているため、全国的に品薄状態が続いているようです。福島の配送センターは諸事情があり、正常に機能するまでは時間がかかるため、臨時配送センターの立ち上げを急いでいるところのようです。この配送が開始されれば解消の方向に向かうとのことですが、もう1週間程度は出荷が滞る可能性があるようです。(復活の見込みがあるのですが、あくまで見込みであり、通常の発注は出来ないと思われるため、正常化には更に暫くかかると思われますので、勘違いの無いように)

ついでにですが、血液培養の自動機器はBACTECとは2分する形でBacTARERTがあります。このBacTARERTは、シスメックス社が販売しているものでせが、そちらは、今回は影響が殆ど無いようです。現状では、BACTECユーザーで血液培養ボトルの供給不足が起こっていることが問題になっています。

血液培養について考えてみましょう。血液培養は敗血症の診断、感染症の合併症予測、疾患の重症度、感染病巣の特定など色々な理由で採取されます。当然、提供している医療の内容で起炎菌や陽性率も変ってくることがあるので、日常から自施設の傾向については週報、月報を通じて臨床側に情報提供をしなければなりません。

当院の状況を少し紹介しますが、

・1000ベッド当たりの採取率は25人/日で、陽性率が平均10%(コンタミ率は全体の1-2%)。

・尿路感染症、急性胆のう炎(胆管炎)が原因となる菌血症が多く、採血の約60%が外来。

・基礎疾患として悪性腫瘍が約30%、消化器疾患とprimary infectionがそれぞれ10%づつ。

・菌検出状況は、腸内細菌が主体で約30%、次いで黄色ブドウ球菌が約15%。CNSは約10%。緑膿菌やカンジダは全体の5%以下。

・全体の約60%が1日以内に陽性となり、好気ボトルが先に陽性になったものは約50%、嫌気ボトルが先に陽性となったものは約40%、同時陽性が約5%。残り5%がどちらかのみ陽性。

・どちらか陽性の場合、好気の陽性は緑膿菌やカンジダはそれぞれ約10%、嫌気性菌は嫌気のみ陽性の20%。

こういう背景であり、発熱すると必ず採取がされ、採取は抗菌薬が投与されていない条件で殆どが採取されている状況です。看護師さんが、『抗生剤の前に血液培養を採取しないと』とか、『早く抗生剤を入れたいので血液培養採取ましょう』とか医師に相談している姿を良く見ます。臨床にかなり馴染んでいます。

こういうベースを踏まえ、今回の血液培養ボトル不足に備えて、下記のような対応を考えています。

【2セット採取が原則】

・敗血症が疑われる場合(血圧低下、発熱または低体温、急激な白血球数の増加や減少など)

・血液培養でしか診断が出来ない疾患(例:、骨髄炎、感染性心内膜炎、髄膜炎、腹部感染症)

【1セット採取で対応出来そうな疾患】

・カテーテル関連菌血症(カテーテル抜去と培養を提出させるのが原則)

・急性腎盂腎炎、化膿性胆管(胆嚢)炎(血圧の低下を伴わず、合併症を予測し採取するものと、急性期で疾患であること)⇒この場合は尿採取や胆汁採取などで代替出来る場合は採取は血液培養の代用が出来るため、血液培養の採取は省略出来る)

【採取を控えるか、要検討が必要な疾患】

・陽性率が低い疾患(単純性膀胱炎、リンパ浮腫を伴わない蜂窩織炎など皮膚疾患、上気道炎)

・他の材料で代用出来るような疾患(痰培養、尿培養など)⇒この場合は採取がしっかり出来る場合。グラム染色が多いに役立つので積極的に活用する。

【判断の難しい疾患】

低栄養、免疫抑制剤投与中、化学療法中で白血球が1000以下(好中球の分画を見ること)など

のように考えております。未だ、混乱はありませんが臨床との調整中で、今後、各診療科で説明をしていきたいと思いっています。

1セットから2セット採取した場合の陽性率向上より、1セットも採取出来ずに敗血症を見逃すことや、起炎菌同定が出来ずに治療が奏功しないことを考えた場合は、少なくなってきた培養ボトルを有効活用する方が非常に有用だと考えています。全国的に品薄状態ですので、営業マンや問屋頼みにしても、無いものは無い。スーパーに行って商品が無いからと言って店員に噛み付かないのと同じにして貰いたいです。こういった状況こそ、皆さんで柔軟に対応する『ウエシマ作戦』が必要なのでは無いのでしょうかと思います。誰が悪い訳でも無いことを考えて臨床へ協力要請をし、しっかりと検討をすることが必要です。また、各関連学会より何らかコメントが出れば嬉しいでしょうが出るんでしょうか。

ウエシマ作戦:

http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2011/03/18/kiji/K20110318000450280.html

ただし、制限解除をする時期をしっかりと検討することも制限時に必要です。大体、この期間、ここまでなど在庫状況を照らし合わせてになります。

皆さん、今しばらく苦労すると思いますが頑張りましょう。

1 喀痰のグラム染色をもう一度整理しましょう。

| | コメント (4)

2011年3月16日 (水)

後ろや下を向いて検査しないで 培地が無いから検査出来ないのか

東北太平洋沖地震が起きてから、早いもので6日目になりました。

現地では、余震が続き、震災で起きたことが段々と分かりつつあります。

復興の話は未だ大きく取り扱われていませんが、この先どうするのかという問題解決をしていかないといけなくなるでしょう。現地でも特に大きな感染症が話題になっている訳ではありませんが、今(3/15現在)微生物検査をしている中で問題になっているのが試薬の供給では無いでしょうか?

供給が出来ない理由は、各メーカーや問屋さんに直接聞けば良いですが、少し聞いた話や今回の災害状況から把握すると、輸送経路の分断で配達がままならないところ、勤務者の確保のため時間が要しているところ、計画停電のため生産量に制限があるところなど理由は様々です。

状況は日々刻々と変化してきており、明日になれば通常化するかもしれませんし、2週間はかかるかも知れません。阪神大震災の時もそうでしたが、輸送経路の確保についても、被災地への救急車両の通行のため、緊急輸送路の確保のための車両制限に続いて、通常の運送経路の確保をするなど優先順位も出来てきます。その中でも余震の影響も含め、今後の早期回復が望まれるわけです。

ここ数日、良く質問を受けるのが、『培地をどのように使っていけば効率的なのか?』、とか『血液培養の2セットは一時中止すべきだろうか?』などかなり具体的な内容です。

培地は本来1患者、1枚という風な使い方が奨められているが、状況により1枚に2検体塗布することもあるでしょう。1枚に複数検体を塗布するのは、1枚で1検体使用する時と比べて検査の質に違いが無い場合で、選択力の強い培地(カンジダ分離目的のサブロー培地やMRSAスクリーニング用の培地など)や明らかに優位な菌種が発育すると予測される材料(皮膚の膿汁など。特にグラム染色で単一菌種と確認出来る場合は、なお良い)などでしょう。使用する培地の数や使用方法については各施設でプロトコールが出来ているので理由など再確認すれば良いと思います。ただし、この培地の使う枚数についての質問を、メーカーに問い合わせるとか、大学病院に聞くとかは標準的な意見しか返って来ませんので参考にならないことが多いと思います。

それを、明確な答えが出てこないからと言って、聞いた相手を困らせることの無いように、自施設の菌検出状況や材料別検出状況を片手に、頻度の高い菌(膿の黄色ブドウ球菌など)やどうしても外せない菌(便の赤痢菌など)と患者背景を考慮して、一時的に細かい対応をすることで培地不足は解消されるでしょう。

本当に培地が枯渇しそうな場合を想定すると以下のような事例で、一時的に培養をしないなどで対応できるかも知れません。

注意)あくまで参考程度にして、自施設の状況を確認して、臨床医と協議の上決定して下さい。

例1)軽症例であり、入院の必要性が無く外来で経口薬の処方を受け、外来診療で治癒可能と思われる感染症(疾患例:急性扁桃腺炎)

初回は培養不要だが、初期抗菌薬で症状改善が悪い場合は耐性菌の可能性も含めて培養をして貰うのもありだと思います。

例2)グラム染色である程度疾患の状態た起炎菌が想定されるなど、培養を一時的に省略可能な場合(疾患例:有熱性では無い単純性膀胱炎)

例3)感染経路別予防策を徹底するための監視培養(一応ねっ!、と思うMRSAのみの培養)

例4)キャンピロバクター腸炎を疑う場合など(グラム染色を積極的に活用出来る疾患)

また、血液培養についても究極は下記のような考え方が出来る。

例5)急性期市中感染時の血液培養1セットのみで良い(必要な場合は右手に好気培養、左手に嫌気培養を実施。)

ただし、この場合は以下のことが考えられる。

外来など通性嫌気性菌が多く分離されることがデータから確認出来る場合。ソケイ部分からの採血など採血時に皮膚常在菌が検出される化膿性が高い方法での採血。

例6)血液培養が陽性になりにくい疾患は省略してみる。

ただし、この場合は以下のことが考えられる。軽症の肺炎や単純性膀胱炎など。

などなど。施設の大きさ、提供している医療の内容、患者背景などそれぞれの施設で考えて動いていかなければなりません。また、検査室だけで決めてはいけません。必ず、実力のある医師、感染症を理解してくれる医師と良く相談の上、病院の移行として決定してから始めなければなりません。

ここが、難しいところですが、いくら感染症を起こして血液培養が陽性になりそうな状況でも血液培養を採取しなければ、診断も出来ませんし、菌の分離も出来ませんしね。やはり、日常的に有用な検査、適切な検査材料の採取、データ集計をしているかどうかが鍵になってきます。『そんなん出来へんわ!』と調べる前から不平不満を訴えるのでは無く、とりあえず今のような状況では、少し位犠牲を被り頑張らないといけないように思います。

とやかくメーカーに問い合わせするのでは無く、自らの力で、少し考えてみてはどうでしょうか?

また、培地は無くなったら粉末を購入して自分で作れば良いと思います。さすがに血液寒天培地をというのは酷かも知れませんが、出来る範囲で対応して、出来ないものは周囲と相談して自分ひとりで抱えないようにしましょうね。

Photo 抗菌薬投与前(グラム陰性桿菌、たぶん腸内細菌)

Photo_2 抗菌薬投与後24時間(菌が抗菌薬で消失≒抗菌薬が効果的な可能性あり)

| | コメント (7)

2011年3月14日 (月)

災害時の感染症対策

神戸で被災した時も感じましたが、災害が起きた後の感染症コントロールが重要な場合もあります。中国の友人より、四川省の地震の時も、炭疽や破傷風が救急搬送されてきたけどどうしよう?という相談もありました。災害時の感染症コントロールをする上で知っておくと良いこともあります。

情報を集め、公開していこうとしているサイトを見つけましたので情報のある方は活用して下さい。

災害時(津波を含む)感染症対策

http://blog.livedoor.jp/disasterinfection/

http://blog.livedoor.jp/garjyusaiga/archives/52154940.html

聞いたことがあっても、診たことの無い感染症も多いと思います。

炭疽菌の薬剤感受性 http://idsc.nih.go.jp/iasr/23/263/pr2635.html

炭疽菌検査マニュアルhttp://www.jscm.org/manual/anthracismanual.pdf

破傷風 

http://idsc.nih.go.jp/iasr/29/336/kj3363.html

http://idsc.nih.go.jp/iasr/30/349/dj3493.html

簡単にケガをして化膿することもあると思います。

ブドウ球菌の化膿、ガス壊疽の感染症も多い(日本では違うかもしれません)と言います。

今一度、調べてみてはどうでしょうか?

出来ることは限られていますし、今は協力者と知恵を貸すしか出来ません。

被災地の方々へ、大変だと思いますが希望を持って生活を続けてください。

| | コメント (1)

2011年3月10日 (木)

第9回グラム染色カンファレンス 終了

本日は第9回グラム染色カンファレンスでした。送別会などある中、かなりの人数が参加して頂きましてありがとうございました。内容は下記のとおりです。

1.『腹痛、嘔吐で救急受診した80代男性の1例』 

  内容はKlebsiella pneumoniaeの続発性細菌性腹膜炎の事例。特発性細菌背性腹膜炎(SBE)の多くは単一菌種であり、腹水の白血球増多が少ないことが多いというものでした。続発性のものかどうかを鑑別する必要がありますよね。

2.『Nadir期に発生したり腸炎の1例』 

 内容はNon-Typhi SalmonellaとP. aeruginosaが混合した腸炎⇒菌血症と肺炎の事例。ナリジクス酸耐性であり、感受性をどう捉えて治療に生かすのか?という内容です。結局、喀痰から出たSalmonellaとP. aeruginosaをどう肺炎と診断するのか?という内容です。肺外Salmonellaの治療は難しいですね。ちなみに感染性動脈瘤は見つかりませんでした。

3.『インフルエンザAの60代男性』

 内容は肺炎桿菌の眼内炎の事例。肝膿瘍か前立腺膿瘍からの血行性転移の可能性あり。肺炎桿菌って怖いですよね。今回は莢膜多量産生菌について検討がありました。String testについて詳しく解説してくれました。勉強になったのではないでしょうかね?

String testとは肺炎桿菌のコロニーを白金耳でさわり粘性を確認するものです。

http://cid.oxfordjournals.org/content/45/3/e25.full

magA遺伝子の有無により莢膜多量産生が決めるほか、病原性も強く、侵襲性疾患が多いという感染症と臨床微生物学的な考察も入れていました。性活動が活発という言葉にも引っ張られました(淋菌やクラミジアの眼疾患との鑑別?)。

活発過ぎる討議ありがとうございました。次回は7月28日です。場所は同じです。

我こそはと思われる方、聞きたいこと一杯だけどなどグラム染色を気になる方、是非発表をお願いします。

写真は肝膿瘍由来の肺炎桿菌(血液培養)とβ-ラクタム作用後の肺炎桿菌性肺炎の喀痰像です。

元々大型の桿菌なので、β-ラクタムが作用すると大きすぎる(延伸する)くらいの像で確認出来ます。真菌?グラム陽性桿菌?と間違えそうですが、陰性桿菌なのと莢膜をきっちり読めば肺炎桿菌と鑑別出来るでしょう。莢膜の過剰産生も解りやすいですが、あまり見かけませんが覚えておく必要があるでしょう。日々精進です。

Photo ×1000 莢膜過剰産生の肺炎桿菌(血液培養)

Photo_2 ×1000 β-ラクタム作用後の肺炎桿菌(喀痰)

| | コメント (0)

2011年3月 8日 (火)

3月10日は 第9回神戸グラム染色カンファレンス

年に3回している『神戸グラム染色カンファレンス』が3/10に9回目となります。

日時:2011年3月10日(木) 19:00~たぶん21:00ごろ

場所:クANAラウンプラザ神戸 9階 ローズマリー

http://www.anacrowneplaza-kobe.jp/

会費:500円

詳しくは大日本住友製薬のMRさんに聞いてください。

この研究会はグラム染色が治療へどのように反映させるのか?

この像をどう読んで、こう活用した、他の菌(感染症)とどう鑑別した?などマニアックに考える会です。

今回は画像診断とグラム染色のベーシックレクチャーはいったん終了し、症例検討のみ3題にしています。どれも含みの多いタイトルですね。活発な討議を期待しています。

1.『腹痛、嘔吐で救急受診した80代男性の1例』 

  神戸市立医療センター西市民病院 呼吸器内科 藤井 宏 先生

2.『Nadir期に発生した腸炎の1例』 

  西神戸医療センター 消化器科 津田 朋広 先生、臨床検査技術部 福田理恵 先生

3.『インフルエンザAの60代男性』 

  神戸大学医学部附属病院 感染症内科 松尾 裕央 先生、検査部 大沼 健一郎 先生 

今後は、皮疹をどう読むのか?この検査結果はこう読め、あなたの知らない細菌検査室の謎めいたことを紹介するコーナーなど考えています。

| | コメント (0)

2011年3月 3日 (木)

多剤耐性アシネトバクターの略号はMDRA

少し長く難しいですが大切な内容になっていますのでゆっくりお読みください。

昨年の騒ぎを受けて、今年から多剤耐性アシネトバクターが基幹定点報告の対象疾患になりました。

http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T20110126H0020.pdf

名称は薬剤耐性アシネトバクター感染症で広域β-ラクタム薬、アミノグリコシド、ニューキノロンの3剤耐性を示す、薬剤耐性アシネトバクターの感染症になります。

この感染症というフレーズが微妙ですが、過去にもMRSAMDRPにも適用されてきたのと同じになります。

実際、感染症とは何を指しているのか?と考えた場合以下のように定義付けられています。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-43.html

多剤耐性アシネトバクターによる感染症が疑われ下記の①または②、または死亡事例が発生した場合

1)    無菌材料(髄液や胸水など)から検出された場合

2)    無菌材料では無いが喀痰、膿汁などの材料から菌が分離され、感染症の起炎菌と判断された場合

2)については感染症であっても感染かどうか判断出来なかった(疑わなかった)場合は全て報告対象から外れることになります。アシネトバクターが常在菌として検出されるため当たり前のことではあるが、血液から出た場合は理解出来るが保菌か感染かの判断は本当に難しいものと思います。悪意がある場合など、感染していないと言い張れば届出はしなくて良い訳であるが、知らずのうちにアウトブレイクし収集つかなかった場合のことを考えると隠蔽と思われるかもしれません。

検査室の基準はどうでしょうか?

ここで言う広域β-ラクタマーゼはカルバペネムを端的に指し、IPMが記載されています。

IPMMIC16μg/mlまたはディスク法≦13mm

AMKMIC32μg/mlまたはディスク法≦14mm

CPFXMIC4μg/mlまたはディスク法15mm

(注)ただし、IPMAMKCPFXは代表薬であり同じ系統薬剤で検査した場合で上記の基準を満たした場合でも報告対象になります。)

になります。それぞれCLSI法の基準に準拠していると思いきや、AMKだけ判定基準は「I:中間」では無いですか。皆さん気づいていましたでしょうか?

となると、注意書きにもありますがGMTOBもそれぞれ「I:中間」で考えていかないといけません。ちなみにGMMIC8μg/mlまたはディスク法≦13mm

アミノグリコシドのみ「I:中間」であるのは、普遍的なサーベイランス基準を作り報告対象とすることが求められる訳で、毎年基準を変えるのであれば実数把握をする場合に不具合が生じるからであります。あくまでも感染症法にのった症例を引っ掛けるためのサーベイランス基準であり、耐性菌か云々かは問わないということになります。本来はRの基準に従う方が良いかと思いますが、その辺は法律と単純な耐性菌サーベイランス基準の相違のようです。実際、JANISの報告でも2009年の多剤耐性アシネトバクターの報告数は32株、僅か0.20%しかありませんでした。

ところで、多剤耐性アシネトバクターの略号ですが、雑誌や参考書、ネット記載によるとMDRAとか、MDRABとか、MRABとかMDRAとかと統一性が無いように思います。国立感染症研究所の報告を見るとMDRAに統一されているのをお気づきでしょうか?つまりMulti Drug-resistant Acinetobacter spp.という訳で、特にA. baumaniiに限定はされていません。皆さんもご存じの通り、A. baumaniiの同定は同定キットや同定機器でも非常に苦手にしている分野であり、A. baumaniiの他にAcinetobacter genomic sp.3Acinetobacter genomic sp.13TUA. calcoaceticus4菌種が含まれるためです。総称でA. baumaniiとなりA. baumanii-A. calcoaceticus complexと呼ぶのが正しい表記のようです。今のところ、これ以上はPCRblaoxa-51-likeを引っ掛けて区別する以外、効率の良い同定方法は無いそうです。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/31/365/dj3657.html

このOXA-51-likeというのは何か?ですが、OXAというAmblerのβ-ラクタマーゼ分類でClassDに属するβ-ラクタマーゼの51を持つもので、全てのA. baimaniiの染色体上に保有しています(CMR 2008,Jan.,538-532)ClassDはカルバペネマーゼであり、カルバペネムを分解するβ-ラクタマーゼになります。しかし、このβ-ラクタマーゼを保有していても普段は発現しないでカルバペネムも感受性になります。このblaoxa-51-likeは、遺伝子の上流にIS Aba1というプロモータが存在しなければ発現する機会を失い、何かの拍子でIS Aba1が組み込まれると発現しカルバペネムを分解するようになります(J Infect Dev Ctries 2009,3(5):335-341)。しかし、MDAPMBLのようにカルバペネムを効率良く分解出来るものもあればそうで無く、IPMの場合MIC0.5-4μg/mlの間で表現されるものもあります。つまり、前述した基準ではdetect出来ずにbreak throughされる危険性を伴う訳です。では、どこでOXA-51が発現しているかどうか見抜くのでしょうか?発現していない場合のMIC分布はIPMMICが≦0.5μg/mlになりますので、IPMMIC1μg/mlを超えることがある場合は注意する必要が出てきます。つまり、多剤耐性菌を捕まえるのと、薬剤耐性化しているアシネトバクターと捕まえるのとは少しニュアンスが異なる訳です。また、カルバペネム耐性でもOXA型β-ラクタマーゼ以外にもMBLがあり、治療上必要かどうかわかりませんが、臨床微生物学的にはOXAMBLかを分別することが必要になるのでしょう。OXAClassDになるのでSMAEDTAによる阻害はかからない訳ですので、容易にMBL産生アシネトバクターとの鑑別は可能です。

最後に、A. baumaniiの世界的な流行株を観察すると、ST92という菌株が大きく流行しているようです。日本の流行株もこのST92もしくはST92と遺伝学的に類似しているクローン(CC92)のようです。この、STとは細菌のタイピングをする手法の一つで、MLST法により同一クローンかどうか世界的な比較も出来る標準的な方法になっています。ただし、この検査方法は技術的にマスターしなくては出来ない方法で一部のリファレンスラボや大学でしか実施していない現状です。これから報告も増えてくるので読み方や検査方法だけは知っておきたいものです(http://pubmlst.org)。

今まで少し放置してきた菌なのかも知れませんが、これから蔓延化するのを防ぐことが必要ですし、微生物検査室の活躍が望まれるに違いありません。

感染症学会の薬剤耐性菌WGではこの多剤耐性アシネトバクターを少し取り上げて考えていく予定とお聞きしています。検査室の皆様のご協力をお願いすることもあると思いますが宜しくお願いします。http://www.kansensho.or.jp/about/yakuin/infection.html

写真は膿汁から出たアシネトバクターです。見慣れた通りの球状の陰性菌です。本当に桿菌なの?と思わんばかりです。

Photo_3 ×1000

| | コメント (2)

« 2011年2月 | トップページ | 2011年4月 »