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2011年2月22日 (火)

不明です という相談

当院で受ける感染症の相談の多くは

①原因菌が薬剤耐性菌(疑い含む)であり適切な抗菌薬の選択をしたい時

②現行の抗菌薬に不能の場合

③重症疾患の場合

④感染症と思われるがフォーカスが不明な場合

です。皆さんの施設ではどうでしょうか?

感染症医が居ない場合は細菌検査室に多く相談が持ちかけられることでしょう。

先日③+④の症例がありました。

60歳代の女性です。主訴は発熱と背部痛。プレショック状態で救急搬送されてきました。

背部痛を訴える発熱性疾患としてよく遭遇するものでは尿路感染症、肺炎、胆管炎、脊椎炎。感染性心内膜炎などでしょう。凡そ、各疾患に対する最初のアプローチとして、尿路感染症の場合は尿一般定性検査、肺炎の場合は胸部レントゲン、胆管炎の場合は生化学+エコー、脊椎炎の場合はCT、MRI、感染性心内膜炎は聴診とエコーになるのでしょうか。不明熱?の多くは感染病巣の検索が不十分なことも多く、患者背景(生活歴、基礎疾患、症状の期間、渡航歴、ペット飼育歴など)を聞き漏れていることも多くあるようです。感染症科や総合診療内科へ研修に行ったり、感染症に興味を持ち検討を繰り返し行っていない場合は中々辿り着かないこともあるようです。

結局、何の検査にも引っかからずに不明熱+プレショック。

この時期に多いのが他人より貰う感染症。寒いので部屋は閉鎖的空間ですし、どうしても密着してしまう。インフルエンザが流行するのも何らか関係があるのでしょうか。

こういう場合は何を考えるのでしょうか?

最も怖い原因菌は莢膜産生菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌)と溶連菌は必ず抑えておかないといけないのでしょう。急速に症状が悪化する疾患でもありますし、髄膜炎菌や溶連菌の場合は今後院内感染対策が必要になる場合もあります。

やはり血液培養は必ず施行したい細菌検査の一つです。急性期の場合は大体半日で陽性になります。少し結果が遅れますが今後の診療体制を考えた上で重要でしょう。

下記は9時間後に陽性になった血液培養のスメアです。

どんぴしゃです。連鎖の長い菌で血液培養は溶血が激しい模様。⇒溶連菌を予測して抗原検査の結果A群(Streptococcus pyogenes)でした。菌も見つかれば治療指針も立ち、Natural courseも考えることが出来ます。血液培養は本当に重要な検査です。

6002×1000

こちらも宜しくね。

http://gram-english.cocolog-nifty.com/blog/

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グラム陽性菌」カテゴリの記事

コメント

A群はどこからですか?咽頭または皮膚軟部組織?ABPCですか?CLDMは必要ですか?

投稿: | 2011年2月22日 (火) 08時11分

即レスですね。もし良ければ匿名でも良いので名前入れて頂けると嬉しいです。
この場合、頭部から臀部にかけてCT撮影しましたが何もなく、頭部と体幹はMRIでも何もなく、気道症状も中枢神経症状も無く敗血症になっていました。基礎疾患もありません。このように、菌血症のみ症状あるA群溶レン菌感染症は皮膚軟部組織疾患の次に多く気を付けないといけない疾患でもあります。治療は基本はペニシリンでHIGH DOSE(12g分4がうちのスケジュール)+CLDM1800-2400mg/分3-4(うちのスケジュール)でフォローとなりました。
皮膚軟部組織疾患=溶レン菌という定説が強すぎて見落とす可能性もあり症状としっかり向き合うことが大切だと思っています。

投稿: 師範手前 | 2011年2月22日 (火) 12時46分

先週当院でもありました。
長期入院患者さんですが、突然の発熱、背中に痛みのみで血液培養が提出されており、その日にのうちに血液培養が陽性となり、グラム陽性連鎖球菌でした。そうですA群溶連菌でした。
進入経路は不明です。

投稿: neco | 2011年2月23日 (水) 00時20分

A群って血液培養の陽性数はそんなに高くないですよね。先日当院でもありました。うちはユナシンを使いよくなりました。CLDMの使用はケースによりけりです。必ず皮膚に患部がないかチェックしてもらってます。

投稿: | 2011年2月23日 (水) 08時11分

A群溶レン菌のprimary bacteremiaは15-30%あったという報告多いですよね。病巣検索が出来ていないのかも知れませんが遅れて皮膚症状が出てくる場合があります。生化学ではCRP,CK,LDH,BUNをモニターすることが臨床検査としては大切で、GLU,Lactateも状況により追加ですね。背部痛のある場合関節炎や脊椎炎の可能性もあり頸から仙骨までのMRIは必要になるでしょう。例数は少ないですが、髄膜炎も起こすので慎重に見ていく必要もあるんでしょう。
SBTの使用は基本的にはβラクタマーゼは出さないので薬価の低いABPC単独の方がよい場合もありますね。

投稿: 師範手前 | 2011年2月23日 (水) 12時41分

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