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2011年2月 1日 (火)

長野県病院薬剤師会 第9回薬剤師専門講座

日曜日は長野県病院薬剤師会にお邪魔しました。

長野県は医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師それぞれの職種で感染症対策が活発な地域です。単独の職種だけでなく、それぞれの職種間での交流も多くていつもながら参考になります。

さて、当日は病院薬剤師を対象にした研修会でした。色々とお世話して頂いた先生、前日の懇親会でお話して頂いた先生には本当に感謝です。

さて、薬剤師さんと抗菌薬、微生物検査はどういうつながりを持つのか?抗菌薬適正使用を目的に院内感染対策に取り組んでいる人、服薬指導の際に患者さんへ抗菌薬について説明する時に接する人、薬剤部で在庫管理、調剤の際に関係のある人まで本当に関係はどの職種よりも深いものだと感じています。

当日は、微生物検査について説明をしていきました。特に薬剤感受性の読み方から最近話題の耐性菌、症例を交えた検査結果の読み方と投薬の際に気をつけることまで、少し盛り沢山に説明していきました(盛り沢山過ぎたかも知れませんが)。

どの職種でも、抗菌薬を処方する際に気になることは、患者の重症度もそうですが耐性菌の検出に注目が集まると思います。耐性菌と言えばMRSAと緑膿菌が頭から離れない菌種で、最近ではMBLやESBLなど範囲が広くなり、より複雑化しています。

しかし、グラム陰性桿菌の中で、緑膿菌はなぜそんなに耐性菌として注目されるのだろう?大腸菌もESBLはあるが、耐性化は緑膿菌より何故少ないのだろうか?そんな疑問を持たれている方は多いと思います。下記(右)は当日のスライドです。

MICの分布状況より、大腸菌については殆どがBP(SのMIC)より低い分布を示しているが、緑膿菌はBP付近にMICの分布が広がっています。裏を返せば、大腸菌は外来の耐性遺伝子を獲得することでMICが上がる⇒つまり耐性化(菌)となるが、緑膿菌は元々、耐性化出来る機序を持ち合わせているために、最初感受性であっても直ぐに耐性(誘導耐性)となることが特徴です。同じくEnterobacter spp.でも、染色体性AmpCを持ち合わせるために緑膿菌と同じことが言えます。

簡単に言えば、その菌が基本的に持っている薬剤耐性機序に判定基準は大きく関与することです。

左の図は喀痰のグラム染色ですが、見えているグラム陰性桿菌がただのGNRで返すのと緑膿菌では無いか?と疑いで返すのと、抗菌薬を初期に選択する際に重要なファクターとなってきます。写真では中型で部分的にクラスター形成しているグラム陰性桿菌が多く見えます。喀痰中の緑膿菌の多くはこのような態度で染色されるため、当院では既に緑膿菌を疑いますとコメントを返すようにしています。例え、大腸菌であっても患者背景より推測することで大きな差が生じないのも安心して言える理由でもあります。これだけでも、選択する抗菌薬が理由付けされますよね。

うちの薬剤師さんとも話しします。服薬指導などではどうしてこの薬を選んだのか?スイッチもしくはde-escalationがどうして行われたのか、検出菌や患者の状態と絡み合わせながら説明をして、指導に役立てるように心掛けています。薬剤師さんの多くは学生時代に微生物の実習をしていますが、卒後少し離れているので忘れがちでしょう。院内に微生物検査室がある場合は必ず訪問して、お互いの業務内容を刷り合わせるようにすると良いアウトカムが望めると思います。

微生物検査室へGO!!です。

Lvfx5600mrsa1 ×1000122 グラム陰性桿菌のMIC分布とBP

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コメント

いつも勉強させて頂いてます。この緑膿菌は、細い、少し湾曲してるものもあり、染まりも若干うすい、とわかりやすい気がします。腸内細菌と緑膿菌の区別は、はっきりと明記されていないので、迷うときがあります。先っぽが少し丸いような気もしますが。

投稿: ムヒョッホ | 2011年2月 4日 (金) 23時32分

ムヒョッホさま
コメントありがとうございました。

>この緑膿菌は、細い、少し湾曲してるものもあり、染まりも若干うすい、とわかりやすい気がします。
は正に、その表現が適切です。腸内細菌との区別は染色性と菌の大きさです。もう一つはバイオフィルム形成もあり集塊状を形成するのも一つの特徴です。私は菌の大きさの基準を陽性球菌は肺炎球菌に、陰性桿菌は緑膿菌に置いて顕微鏡を覗いています。

http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-582a.html

投稿: 師範手前 | 2011年2月11日 (金) 12時04分

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