果たして
先日重症肺炎球菌肺炎の話を掲載しました(http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-b2fd.html)が、肺炎時には必ず血液培養を同時採取してくると思います。
血液培養で肺炎球菌が発育すると、素直に分離させてくれれば良いのですが栄養価が高いために直ぐに自己融解してしまい分離が非常に難しい場合が存在します。グラム染色では何も見えない状態になりますが、慣れてくると肺炎球菌のゴーストかな?という像は確認出来ます。また、くまなく観察していると残存している肺炎球菌らしきグラム陽性球菌も見えることがあるが、それがスメア上で肺炎球菌であると言い切れる自身は無くなる状況です。
菌が見えなくても抗原は培養液には残っている訳で、遠心分離した上清を尿中抗原のキットにかけると陽性になることもあります。ただし、培養液自身に色々な添加物が入っているために偽陽性になることもあります。本当に陽性の場合は陽性バンドが非常に強く出てくるので区別出来るかな?の段階まで進みます。
肺炎球菌感染症の迅速検査キットでもう直ぐ新しいのが出てきます。今回のは尿中抗原では無く、気道分泌物からの検出が可能なのに加え、莢膜抗原では無くC-ポリサッカライドを検出するものです。感度・特異度ともに既存のものよりは良さそうなデータになっているのですが、臨床例も少なくこれからのデータ蓄積が大切です。
調度、肺炎球菌で自己融解したものがあり培養液の上清を測定してみましたがキレイに出ました。培養液自身は見事陰性で、本来の目的からズレますが使えそうな雰囲気です。データを少し取り始めましたので、またどこかで報告します。
やはり検査室はこういったキットの評価もしていく場でありますので、しっかりと評価したいですね。
培養陽性液の抗原検出(左が莢膜抗原、右がCポリサッカライド)
写真反対ですいません。
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