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2010年11月 1日 (月)

第8回神戸グラム染色カンファレンス その2

先週の解説です。

http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/8-eb13.html

皆さんはグラム陽性桿菌というのは判ったと思います。

グラム陽性桿菌は臨床分離される機会が多い割りに、臨床的意義が低いため注目されにくい菌群です。

一昔前はグラム染色で多くの菌種を推測し報告するのはタブーという風潮がありましたが、今は少しずつ菌種の推定報告をする機会が増えて来ました。

グラム陽性球菌に関しては、グラム陽性球菌のグラム染色報告時に【ブドウ球菌なのかレンサ球菌】なのかが大事なように、グラム陽性桿菌も簡単な推定菌報告は必要だと思います。

グラム陽性桿菌の場合は、分類上大事なのは有芽胞なのかどうか。院内感染対策上消毒薬の選択も異なるからです。また、分岐状なのか、短いのか、長いのか細かい情報は臨床に、検査室の同定に使うこともあり、どういう形態の菌でどの菌を推測しているのかという報告も大事です。同時に、感受性試験の方法、薬剤の決定から、既存のデータによる感受性率の報告まで、あまり馴染みの無い菌種については情報を多く持ち提供する事が大切ですね。

結局、この菌は同定したら、Propionibacterium acnes。初めはCorynebacterium sp. かどうかの鑑別付かず報告。翌日好気培養で菌の発育が無かったのでP. acnesの可能性大と追加報告しました。抗菌薬はVCMを推奨し奏功しましたが、培養も開始されていない状況で信頼性のある抗菌薬はこれしかありません。それはグラム陽性桿菌はβ-ラクタムの感受性が悪いものが中にはあるからです。

やはり、こういった症例を対象にした場合、ブドウ球菌やグラム陰性桿菌の検出もあるかと思われるのですが、グラム陽性桿菌と報告するだけでも大きな収穫間違い無しです。

1 鑑別その1

2 鑑別その2

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グラム陰性菌」カテゴリの記事

コメント

グラム陽性捍菌。Corynebacterium 尿で確認されますね、また最近腹腔膿瘍からBacillus cereus、確認されます。臨床的にどうなんでしょうか?

投稿: 小町 | 2010年11月18日 (木) 21時00分

コリネの中でUTIを起こす菌はありますし、腹腔内にバチルスは常在しています。コリネの場合はバルンなどの人工物が長期留置していない場合、複雑性UTIの要素が無い場合などUTIの誘引は多くあります。市中感染の単一菌は少ないんでそういう背景の場合は多くなければ問題ないと思います。
バチルスは原発性の腹膜炎であれば優先順位は下がると思います。

投稿: 師範手前 | 2010年11月18日 (木) 23時59分

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