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2010年10月28日 (木)

形状でわかるもの

  先日、抗菌薬で形態変化するものについて記載しました。

http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-6b4e.html

菌に抗菌薬など化学的な影響がある場合は、普通の形状と違う形態を取り、本来の推定起炎菌が判らなくなります。

しかし、本来感染症検査をする場合で検体を採取する条件は抗菌薬投与前であるのが言うまでも無い原則論であります。

そういった場合は菌の形状に特徴があれば推定起炎菌が判明し易い。

形状で鑑別出来る細菌の多くはグラム陰性桿菌で、見る機会が多い腸内細菌は染色性が良く小型の細菌は少ないし解りやすい。特徴のある菌は、インフルエンザ菌のような小桿菌に、嫌気性菌のような薄っぺらい細々した菌も解りやすいです。

また、キャンピロバクターのような螺旋菌に、スピロヘータのような、明らかに菌の形が違うのもあります。更に、菌の周囲に菌体とは明らかに違う像が確認出来るバイオフィルム産生菌に莢膜産生菌もあります。

Fusobacteriumは嫌気性菌の中でも像に特徴がある細菌で、F. nucleatumは両端が細く紡垂型に見えるため、検査材料によっては鑑別可能な細菌です。

下記にグラム陰性で直ぐに鑑別可能な細菌を並べてみました。

ご覧あれ。

Photo 膿瘍のFusobacterium nucleatum(大型は肺炎桿菌)

Photo 便のキャンピロバクター

33_4 喀痰の緑膿菌

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2010年10月24日 (日)

第8回神戸グラム染色カンファレンス

21日は第8回神戸グラム染色カンファレンスがありました。

いつものように一般演題は2題ありました。

1例目は動物咬傷ということでCapnocytophaga canimosusの事例。血液培養のグラム染色でどう考えるか?単純にグラム陰性桿菌で返していないか?というポイントでした。また議論の対象は少しずれて、咬傷部分のグラム染色はどうなったか?動物のCapnocytophagaの場合は膿瘍など形成されないまま、重症化するので基本的には血液培養がポイントになるとのことでした。

2例目は私たちの施設です。頭部の皮下膿瘍の事例です。術後のケモラジ中に皮下に膿瘍が貯留したという事例です。調度ルチンを担当してくれた後輩はしっかりと対応してくれました。優秀ですね。

検体外観とグラム染色を掲載します。

何と返せば良いでしょうか?抗菌薬の提案も兼ねて考えてください。

次回は3月を予定しています。宜しくお願いします。

201010 

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2010年10月18日 (月)

形状変化

twitter上で少し話ししましたが・・・。

一般に抗菌薬が作用すると、菌は脆弱化もしくは死滅してグラム染色や培養で起炎菌の確定が難しくなります。しかし、抗菌薬が作用し始めて直ぐの時は、菌の形状変化のみ起こり培養でも発育してくることがあります。

私たちは日常、グラム染色で推測する起炎菌の形状や染色性をアトラスなどの既存の情報により知り、それにより鑑別していく癖がついています。そうした時に抗菌薬が作用している像などは日常的に観察している中で漸く覚えていくものになります。グラム陰性桿菌で見かけることが多いと思います。

良く見かけるのが菌の延伸化。β-ラクタム薬であるとPBPに作用し、バルジ化と呼ばれる菌の両側に延長した形です。良く見ると菌体の中央部が膨れているものも確認出来るでしょう。もう一つはキノロンです。キノロンは何故延伸するのでしょうか?作用機序から考えるとDNAが折りたとめないために延伸化するのでしょうか。

あと、膿瘍など移行が悪くMIC以下となっているかも?と推測する場合にも延伸が良く確認されます。

代表的な染色像を掲載しておきます。

こういった像を確認すると発育しないかも知れない、抗菌薬が既に投与されているかもしれないという情報共有することが大切です。

Photo 肺炎桿菌のABPC/STB投与後1時間後

Photo_3 大腸菌LVFX作用後(投与時間不明)

600エンテロバクター 肝膿瘍CPZ/SBT投与後2日目

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2010年10月13日 (水)

コモンな菌だがレアな症例と思われる培養結果の報告

更新滞っています。すいません。

これは先日お邪魔した中部地区微生物検査一泊研修会の中で話しさせて頂いた内容です。

日常的によく見る菌ですが、報告時にこれって起炎菌なのか?と思う症例があると思います。恐らく、それは検査室でもそうだが、臨床医もそう思うはずである。明らかに起炎菌が対象疾患と関連が無いとか、抗菌薬投与していないけど改善してしまったなど除外出来る要素があれば、起炎菌の可能性が低いと判断されるケースも多くなると思います。

下記のグラム染色は血液培養のものですが、同定の結果Staphylococcus epidermidisのメチシリン耐性でした。外来で1セットしか採取していない状態でしたので、翌日2セットを再採取をしました。更に2セットとも陽性になり同じ菌でした。

もうこれは起炎菌の可能性が大きくなる訳です。Lancetの報告(1995,346,15,191-192)でもありますように、S. epidermidisによる感染症の可能性は低い訳で、採取本数が少なければ少ないほど判断に迷うことになります。DukeのCriteriaを使うと、大分類でもはや起炎菌と疑う所見となり感染性心内膜炎も否定出来ません。

S. epidermidisが血流感染の起炎菌として検出されるケースの多くは、人工物の挿入患者で多く報告され、人工弁、CVカテなどの挿入者に見られます。ここで興味深いなのは感染性心内膜炎でもNative valveに感染を起こすケースがあると言う報告です。Clin Infect Dis. 2008 Jan 15;46(2):232-42.

少し戻ってみると、主治医とディスカッションしているとこの患者さんはCVも無く、人工弁も無く、他の人工物挿入も無かったことが判りました。さて?残るは、少ないも感染性心内膜炎の鑑別になります。心雑音も明確で無い状態であっても、心エコーは最低限必要でしょう。検査を提案して、受け入れて貰うと・・・ありました。

どうやら、点滴を頻回に受けている患者さんであるようです。恐らく感染源はそれだと言う事がわかり、しっかりと治療が出来たという例でした。

感染症は奥が深いのと、検出菌が弱毒菌の場合はフォーカス探しを濃厚にしないといけないな?と思った次第です。主治医とディスカッションを大いにしましょう。

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2010年10月 5日 (火)

新潟にお伺いしました

新潟臨床微生物研究会に伺いました。

少し緊張したのと、当直明けのためカツゼツ悪くすいませんでした。

新潟では、一昨年に引続きグラム染色の話でした。新潟はグラム染色については眼が肥えているので少し難しい内容にしました。でも初級者も放っておくわけにもいかないので少し初級者向けの内容も入れないといけないこともあり、少し初級者向けの話も入れました。

当日講演に使ったスライドです。下の写真はVAPから菌血症になった事例のグラム染色ですが、この時点でそれぞれ推定菌を報告出来るでしょうか?

最低限可能なことはグラム陰性桿菌という報告でしょう。果たして緑膿菌を含め、非発酵菌として医師に情報伝達が出来るか?が、ポイントになります。それは、簡単そうで難しい内容です。

非発酵菌を疑う場合ですが、血液培養の写真を良く見ると、菌が集族しています。非発酵菌は結構集族する傾向が多いと思います(思いませんか?)。また、腸内細菌群に比べ、染色性が弱く、小型な菌として確認出来ることがあります。これに、カルチャーボトルの性状(陽性ボトルの種類、時間、ガス産生など)を加えて考えると非発酵菌とより推測出来ると思います。

ただし、アシネトバクターは丸く陽性菌と見間違えるほど小型ですので一つ覚えるポイントです。

しかし、痰グラム染色ではそれを判断することは難しいし、他に菌も出てくることもあり、悩んでしまいます。痰グラム染色では白血球の多さを報告することが、重要な情報になるので忘れないようにしましょう。

医師に起炎菌について尋ねられた場合、グラム陰性桿菌で菌は推測出来ませんが、白血球がいが多いですと報告すれば良いでしょう。また、血液培養のグラム染色を見る頃は痰の培養せ推定出来る菌があると思います。多いに参考し、急ぐ症例の場合は中間報告で推定菌を報告しましょう。最終結果を待たずに治療変更出来て救命可能な症例は多いと思います。

Photo 

下記はホテルより見た新潟の風景と帰りの飛行機で見た富士山です。

新潟では懇親会もいつもながら楽しく過ごさせて頂きました。そのためか、いつも新潟の風景はあまりゆっくり見れません。景色が良い時は佐渡や油田が見えます。

Photo_2 Dsc01528 

また、お土産は加島屋さんの鮭フレークは必須アイテムです。

http://www.kashimaya.jp/

新潟の皆様、今回は本当にお世話になりました。

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2010年10月 1日 (金)

耐性菌の話題は下火になってきたんでしょうか

最近は、尖閣諸島問題やFDの改ざん事件など、医療関係とは違う話題で持ちきりになっています。つい先日までは薬剤耐性菌の話で持ちきりだった報道も、全くといって良いほど見なくなりました。

ブログの検索も以前の状態に戻りつつあります。9月初旬には掲載している薬剤耐性菌情報の閲覧数が多かったことが判ります。また、グラム染色道場として検索されている方が多いのが判り、嬉しく思います。ブログ検索状況は、今何の情報が欲しくて、世間がどういった思考で進んでいるのか良く把握出来ます。

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良いのか悪いのか判りませんが、医療機関にとって先進医療を続けて行く上で薬剤耐性菌との睨めっこは続く分けで、今も薬剤耐性菌の発生に悩む医療機関は多いと思います。

医療機関が悩むのは、薬剤耐性菌の発生を抑制したいということで、抗菌薬適正使用もそうですが、現場でファシリティーマネージメントも含めて要因分析が出来ないことも多いと思います。

特に環境に潜む薬剤耐性菌発生の要因は、日常何気なく設置されている感染性廃棄物の置き場、装着している人工物が環境面(床や壁、カーテンなど)に常時接触しているなどです。再利用する医療器具の洗浄方法などもあまり検証されていないことが多いように思います。しかし、卒後就職した医療機関で育ってしまうとそれが当たり前と思える日常がその場にあります。

感染を意識し過ぎて動線や清潔区域の管理を指摘すると、現場の職員より煙たがられる状況もあります。感染管理業務をしていく上では日ごろから、どのように溶け込んでいれるのかが大変大事になります。

微生物検査結果の解釈を、臨床医に伝えること、医師意外の医療従事者へ伝えることも同じかも知れません。

先日は香川の医療機関に行きました。皆さん大変熱心に聴講して頂き、感染に関わる職員に暖かく迎え入れして頂きました。ありがとうございました。

四国はアンパンマンカーが走っていました。うどんが有名で、エンゲル係数が日本一低いのも特色の県だそうです。

帰りに乗り換えのため停車した駅で撮影したものです。

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土曜日は新潟県に伺います。久々の新潟で楽しみにしています。宜しくお願いします。

第3回新潟臨床微生物研究会http://www.niigata.med.or.jp/php/istudy.php

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