肺炎の起炎菌にも色々です
肺炎の起炎菌を探す時、市中肺炎か院内肺炎かで起炎菌の傾向が変わり、グラム染色の見方も変わります。また年齢、入院期間、在宅かなどの要素も大きく関わります。
市中肺炎では肺炎球菌、インフルエンザ桿菌を探しますが、レントゲンも肺胞融合性や気管支周囲にアクティブな像かどうかで起炎菌の傾向も変わります。
たまに結節影も見えますが結核だったりクリプトコッカスだったり非特異なものが混じります。
これもその一つです。肺ノカルジア症です。
グラム陽性の大型桿菌で放線状に伸び、放線菌との鑑別でキニオン染色がポイントです。チールネルゼン法は脱色し過ぎて染まらないこともあります。教科書にはあまり書かれていない事項ですよね。
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コメント
いつも参考にさせていただいています。さて、今年になりグラム染色でノカルジアを推定できない検体(喀痰)から、純培養状態でノカルジアを確認でき、つい先日は塗抹ではっきり確認できた検体を何日も観察していましたが、培養で分離同定できません。肺炎桿菌・大腸菌多数が認められています。このような場合、起炎菌はノカルジアになるのでしょうか・・・。また、ノカルジアの感受性はおおまかにディスクとかではできないものでしょうか?
規模が小さな細菌検査室では、外注がいいのかと頭を悩ませていまして・・・・。
投稿: 初心者 | 2010年10月 4日 (月) 23時44分
ノカルジアの場合検出されればご存知のとおりKM、IPM、TOBの阻止円形成で簡易同定が出来ると思います。しかし、あくまでこれは正式な感受性ではありません。
ディスク法で感受性が出来ない理由として、特定の培地が指定されていないことに加え、培養時間が長いことです。CLSIでも今のところ微量液体希釈法しか基準がありません。
過去に当院でも7例の感受性を調べてみましたが、STには耐性は無く、MINOやEMに対して少数で耐性を認めました。ただし、注射薬については検討していませんが文献的にはIPMやCTRXがt著効したという例が多いです。どうしても感受性をする場合は寒天平板希釈法が出来る大学病院などに依頼するのが良いかと思います。基本的には治療効果が悪い場合や副作用で今の抗菌薬が使えない事情がある場合に依頼されるのが良いかと思います。感受性は無理にしなくて良いかと思いますので、主治医と一度文献的に考察して相談されるのが良いかと思います。当院ではもう感受性は積極的にしていませんし、ディスクの結果は参考にならない由を伝えています。
あと、発育しないのは抗菌薬が投与されている場合、他の菌が被って検出が難しい場合、放線菌だった場合です。特に放線菌は類似した形態をするので注意ですね。
投稿: 師範手前 | 2010年10月 5日 (火) 01時00分