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2010年9月 8日 (水)

多剤耐性アシネトバクター その2

今年3月に多剤耐性アシネトバクターの記事は一度掲載しています。

http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-5e4e.html

少し疑問に感じますが、多剤耐性アシネトバクターって定義がはっきりしていないと思います。今のところ、多剤耐性アシネトバクターの定義は多剤耐性緑膿菌と同じカルバペネム、キノロン、アミノグリコシドに加え、第3世代セフェムのうち3剤耐性の場合となるようです(平成21年度の厚労省事務連絡より)。でも、アシネトバクターはサンフォードガイドを見るとカルバペネムやABPC/SBTが第一選択になり、ABPC/SBTが感受性でも多剤耐性になるようです。β-ラクタマーゼを含むという大きな解釈であれば定義に合致するものしないものが出来てきます。これでは、臨床現場とに意識が解離するのもやむを得ないようにも取れます。

またMRABっていう略称は浸透するのか?と思うのは私だけでしょうか?アシネトバクター自体浸透しない無関心層へのメッセージをちゃんちしないと根付かないと思ってる。

愚痴はこれくらいにして、今回は検出方法についての解説です。

問題となるのは大きくメタロβ-ラクタマーゼ産生菌とOXA型カルバペネマーゼ産生菌と思います。OXA型などは未々馴染みの低い名称です。β-ラクタマーゼの名称が分からない人は検査室へGOです。検査室の方は軽い書物など読みこの機会に情報収集下さい。

とはいえ、同じカルバペネマーゼをどうやって検査室で分別しているのか?ということです。

カルバペネマーゼ自体の検出は感受性試験でカルバペネム耐性となった場合に、中心とカルバペネムで行うホッジ変法試験をすることで、他のカルバペネム耐性(エフラックスポンプなど)との区別が可能です。

次はβ-ラクタマーゼの区別です。Amblerの分類でいくと、メタロβ-ラクタマーゼはClassBに属し、OXAの殆どはClassDに属します。

メタロβ-ラクタマーゼは名前のごとく、金属イオンを中心活性に持つため、この金属イオンを阻害することで反応を見ます。金属イオンは2価のイオンになるのでEDTAでキレートします(写真右列)。また、SMAというメルカプトのチオール化合物(ナトリウム塩)で酵素阻害反応を示すので、カルバペネムまたはCAZと使い、阻害を確認することで確認が可能です。

OXAはどうか?今のところ検査室レベルで出来ることは、アシネトバクターの場合はホッジ変法試験で陽性、メタロβ-ラクタマーゼの確認試験陰性であれば可能性が高くなります。

ただし、この場合はKPCやNDM-1との区別が付かないのですが、KPCやNDM-1は腸内細菌に広く分布するものなので凡そ違うと判断出来るかも知れません。ただし、KPCはボロン酸での阻害を認めるので試薬が購入出来れば鑑別可能になります。

下記にアシネトバクターのメタロとOXAの表現型について示しますの勉強下さい。

写真は研修会で使用したものを許可を借りて掲載しています。公益性を考慮して使用下さい。

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