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2010年9月27日 (月)

肺炎の起炎菌にも色々です

肺炎の起炎菌を探す時、市中肺炎か院内肺炎かで起炎菌の傾向が変わり、グラム染色の見方も変わります。また年齢、入院期間、在宅かなどの要素も大きく関わります。

市中肺炎では肺炎球菌、インフルエンザ桿菌を探しますが、レントゲンも肺胞融合性や気管支周囲にアクティブな像かどうかで起炎菌の傾向も変わります。

たまに結節影も見えますが結核だったりクリプトコッカスだったり非特異なものが混じります。

これもその一つです。肺ノカルジア症です。

グラム陽性の大型桿菌で放線状に伸び、放線菌との鑑別でキニオン染色がポイントです。チールネルゼン法は脱色し過ぎて染まらないこともあります。教科書にはあまり書かれていない事項ですよね。

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2010年9月24日 (金)

E. facalisとE. faecium

尿路感染症、腸管感染症を中心に検出されるですが、教科書的にはペニシリンが第一選択になると記載がありますが、E. faeciumという菌はそのペニシリンに対して殆ど耐性です。セフェム耐性というのは教科書レベルの教育事項ですが。

グラム染色で違いは判るか?ということですが、かなりベテラン領域になれば判る場合があります。E. faecuimはやや丸く見えます。(E. faecalisはやや細長く見える。)

E. faeciumが出るのは入院患者から出てくる割合が市中感染に比べ多くなるため、患者背景を考慮するとわかり易くなるかも知れません。しかし、この状況で抗菌薬を選択することは結果的に良くてもリスクが高くなると考えれます。最終的に同定結果を待つ必要があります。

実は、培養のコロニーでも同じことが言えます。E. faeciumはE. faecalisと比べ隆起して、白い集落になります。α溶血も強いように見えます。

比べてください。

中国語ではE. faecalisは粪肠球菌、E. faeciumは屎肠球菌になり由来が違うことが判ります。なるほどです。

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2010年9月17日 (金)

NDM-1のスクリーニング検査

少し前にNDM-1の検査についてまとめましたが、NDM-1保有の菌は菌種や菌が検出(感染)していた経緯により表現形が変わるようです。

Klebsiella pneumoniae肺炎桿菌ではメタロβ-ラクタマーゼ産生菌のスクリーニングとしてのSMA法で偽陰性となり引っかからない可能性があるという内容を書きました。しかし、Escherichia coli大腸菌では少し異なる表現形になることが分かりました。

以前記載したように、SMA法はCAZととの相乗作用により阻害を見付けメタロβ-ラクタマーゼの検出をします。NDM-1の場合は、酵素を複合に持っていることもあり、添付文書にあるように、CAZでの検出やディスク間を25mmという基準を遵守すると偽陰性になることが分かっています。SMA法と対象にするディスクはIPMにしてしてみると良いのは分かっていますが、今回、ディスク間を25mm以下にすると菌種によっては陽性になることが分かったようです。

http://www.nih-janis.jp/material/material/NDM-1%20SMA.pdf

東邦大学医学部の石井先生と国立感染症研究所の荒川先生より情報頂きましたので掲載します。ありがとうございます。

今後の情報収集も必要です。

厚労省の多剤耐性菌情報

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/multidrug-resistant-bacteria.html

院内感染対策サーベイランス事業

http://www.nih-janis.jp/

Ndm1 肺炎桿菌のNDM-1

Ndm1_2 大腸菌のNDM-1

Smandm1 SMA法を用いた場合の検討

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2010年9月14日 (火)

多剤耐性菌の定義

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/multidrug-resistant-bacteria_a.pdf

に、耐性菌調査の協力依頼があります。多剤耐性の定義も記載がありますが、具体的な薬剤名の記載はありません。

国立感染症研究所に問い合わせました。例えばカルバペネムは5剤ありますが、どれでも良く代表的な薬剤としてIPMが耐性ならカルバペネムは耐性になるようです。臨床微生物学的に言いますが、耐性機序の違いからMEPMは感受性になる場合はどうするの?と思う方も居られるとは思いますが、素直に考えて対応して下さい。という事でした。

アミノグリコシドもキノロンも同じです。しかし、あの案内は最後にアシネトバクターも記載ありますが、対象はあくまでも腸内細菌限定なのでお間違いなく。地方行政の担当も混乱しているようです。

腸内細菌で、カルバペネム耐性になった場合はテクニカルエラーも混在しますので、一旦止まって考えましょうね。

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2010年9月13日 (月)

アウトブレイクの察知能力

薬剤耐性菌のことが大変話題になっていますが、報道などを見ていますが、放送会社や新聞社によって報道の方法い偏りが多いことが感じられます。

これは、昨年、私も新型インフルエンザの際に体験していますが、今回ばかりは少し医療機関に対する執拗な言及が多いように思います。

確かに病院とは病気を治すために、入院をして治療をする場所である。つまり患者に医療を提供することで健康という幸福を供与する形で信頼が成り立つからである。しかし、医療機関において院内感染は絶対に防ぎ切れないものであることを一般の方も認識して貰わなければならないと思う。高度医療技術の発展とともに日和見感染という平素無害な菌によって感染を起こす機会が増えました。

どうしても免疫低下の状態や、手術などの医原的行為に合わせて抗菌薬の投与が行われることが多いです。抗菌薬を投与すれば当然如く、薬剤耐性菌が生まれるため、宿主(自分)の中で既に保有(保菌)している菌も耐性化します。これを内因性感染と言います。高度な医療を提供するにつれ、その機会は増えます。しかし、残念ながら接触感染対策の不備や環境整備の不備で患者間に薬剤耐性菌が伝播して感染を起こすこともあります。それを外因性感染と言います。確かに後者は医療機関側に責任があるかも知れません。

たまに、外来にイキナリ来た患者でMRSAが出ることがある。院内感染でしょうと言われることもある。どういう状況で検出されたか裏を採る必要もあるでしょうが、市中でも色々な菌が検出され、既に保菌状態にあり、別の疾患が発症すると同時に検査で分かることもあります。

各報道も騒ぐことなく、不安な国民に対する安心するメッセージを中心に送るべきではないでしょうか?

さて、あまり関係無いのですが細菌検査をしていて変?と思う事象に遭遇することがある。1例でも発見された場合、複数一度検出された場合など多くの場合で変?と思う症例はあると思います。複数一度の検出があった場合、細菌検査室は各科横断的に検体を預かるため、気付く機会があります。例えば、今回の耐性菌に関しては1週間に2例以上、同一部署で同様の薬剤耐性菌が見つかった場合などです。同一の情報をどう解釈するか?という点が、アウトブレイクと言われる危機的状況を考える上で必要です。勘も一つ担っていますが、勘ばかりに頼ることは出来ません。システム的に制御する方法も一つであるが、施設間差はある程度発生する。各医療機関で耐性菌の動向、受け入れる患者、患者数など多くのパラメーターが異なるからである。

さて、下記の写真は乳汁のグラム染色です。乳腺炎の疑いがあり、搾乳した母乳をそのまま遠心してグラム染色。白血球が多く、間に菌が垣間見ています。

乳汁のグラム染色では児の口腔内常在菌が多くで見られます。グラム陽性菌からグラム陰性菌まで幅広く検出されますが、目立って多いのがグラム陽性球菌です。理由は見易いから。そこで止まらず、グラム陰性桿菌も見つけるようにしましょう。

院内で授乳している場合でグラム陰性桿菌が検出された場合は、粉ミルクの汚染による乳腺炎の報告もあります。Clinical Infectious Diseases 2000;31:654–9

このように日常の変?の中にはCriticalなデータが隠されているかも知れません。

決して粉ミルクが悪いとかでは無く、このグラム染色を見た場合、感じることが多いと思います。おかしいな?と感じた場合は主治医とディスカッションすることをお勧めします。

何書いているが良く分からなくなりましたが、結局はグラム染色の変?というのは勘が働くことが多いということです。経験こそ力なりのこともあります。

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2010年9月 8日 (水)

多剤耐性アシネトバクター その2

今年3月に多剤耐性アシネトバクターの記事は一度掲載しています。

http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-5e4e.html

少し疑問に感じますが、多剤耐性アシネトバクターって定義がはっきりしていないと思います。今のところ、多剤耐性アシネトバクターの定義は多剤耐性緑膿菌と同じカルバペネム、キノロン、アミノグリコシドに加え、第3世代セフェムのうち3剤耐性の場合となるようです(平成21年度の厚労省事務連絡より)。でも、アシネトバクターはサンフォードガイドを見るとカルバペネムやABPC/SBTが第一選択になり、ABPC/SBTが感受性でも多剤耐性になるようです。β-ラクタマーゼを含むという大きな解釈であれば定義に合致するものしないものが出来てきます。これでは、臨床現場とに意識が解離するのもやむを得ないようにも取れます。

またMRABっていう略称は浸透するのか?と思うのは私だけでしょうか?アシネトバクター自体浸透しない無関心層へのメッセージをちゃんちしないと根付かないと思ってる。

愚痴はこれくらいにして、今回は検出方法についての解説です。

問題となるのは大きくメタロβ-ラクタマーゼ産生菌とOXA型カルバペネマーゼ産生菌と思います。OXA型などは未々馴染みの低い名称です。β-ラクタマーゼの名称が分からない人は検査室へGOです。検査室の方は軽い書物など読みこの機会に情報収集下さい。

とはいえ、同じカルバペネマーゼをどうやって検査室で分別しているのか?ということです。

カルバペネマーゼ自体の検出は感受性試験でカルバペネム耐性となった場合に、中心とカルバペネムで行うホッジ変法試験をすることで、他のカルバペネム耐性(エフラックスポンプなど)との区別が可能です。

次はβ-ラクタマーゼの区別です。Amblerの分類でいくと、メタロβ-ラクタマーゼはClassBに属し、OXAの殆どはClassDに属します。

メタロβ-ラクタマーゼは名前のごとく、金属イオンを中心活性に持つため、この金属イオンを阻害することで反応を見ます。金属イオンは2価のイオンになるのでEDTAでキレートします(写真右列)。また、SMAというメルカプトのチオール化合物(ナトリウム塩)で酵素阻害反応を示すので、カルバペネムまたはCAZと使い、阻害を確認することで確認が可能です。

OXAはどうか?今のところ検査室レベルで出来ることは、アシネトバクターの場合はホッジ変法試験で陽性、メタロβ-ラクタマーゼの確認試験陰性であれば可能性が高くなります。

ただし、この場合はKPCやNDM-1との区別が付かないのですが、KPCやNDM-1は腸内細菌に広く分布するものなので凡そ違うと判断出来るかも知れません。ただし、KPCはボロン酸での阻害を認めるので試薬が購入出来れば鑑別可能になります。

下記にアシネトバクターのメタロとOXAの表現型について示しますの勉強下さい。

写真は研修会で使用したものを許可を借りて掲載しています。公益性を考慮して使用下さい。

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2010年9月 2日 (木)

嫌気性グラム陽性球菌

更新が遅くてご迷惑おかけしています。

グラム染色に馴れてくると、菌の形状や染色性の違いに気付き、鑑別が出来ないかという疑問に当たります

検査室で翌日培養を確認すると覚えるスピードは早いですが、普段培養を確認しない(出来ない?)方々は少し技術の取得が遅れるかもしれません。

グラム陽性球菌を例に取ると、まず連鎖状とかぶどう状とか気にしながら見て、1つの菌に対する細かい形を観察します。連鎖状の菌でも、E. faecalis やS. pneumonia は楕円形に見える事が多いので、患者背景や感染部位を考慮すると、より起炎菌の推測に大いに役立ちます。

嫌気性菌はどうでしょうか?膿瘍を染色すると見えることがありますが、嫌気性グラム陽性球菌は染色性が劣って見える事が多いです(下記の写真参照 Peptostreptococcus sp.)。但し、標本を厚く作製してしまった場合は染色事態が悪く見誤る可能性があるので、白血球が重ならないほどの厚さか、新聞紙の文字が見えるほどの厚さに標本を作製することがポイントです?

あと、面白いのが感染症の臓器別に起炎菌の傾向が若干変わること。ためになります。CMR,Jan. 1998, p. 81–120

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