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2010年7月14日 (水)

教育啓蒙・啓発の成果?

日曜日に医療薬学フォーラムで最初に話した、つかみ症例です。

先日、いつものことながら血液培養が陽性になりました(写真)。

ご覧のとおり、グラム陽性球菌+cluster形成=ぶどう球菌となります。

このように、血液培養からぶどう状の球菌が出てきた場合、多くの細菌検査室では『ぶどう球菌』という情報を得ています。しかし、その情報をちゃんと施設内で活用出来ているでしょうか?

血液培養のグラム染色結果と培養結果の一致率を研究したものは何件かあります。でも、ぶどう球菌が培養で発育してきた例では、100%ぶどう球菌と報告しても間違いでは無かったということです。私自身も100例の症例を見たところ、同じ結果になりました。

メチシリン耐性菌なのか、黄色ぶどう球菌なのかは分からないと思いますが、ぶどう球菌と分かるだけで、グラム陰性桿菌感染症を予測してβ-ラクタムを投与している場合は、効果が期待出来ない場合も想定される訳で、入院症例であればその可能性も上がります。最終的には、その検出菌で感染症を起こしているかどうか判断することが必要ですが。

で、先日の症例は、毒ヘビの咬傷で来院してきた患者です。ここで、毒ヘビの咬傷とぶどう球菌に何が関係するのか?という疑問が生じます。文献によれば、毒ヘビによる咬傷の場合は、咬まれた部分が壊死したりして皮膚常在菌による感染症が起こるそうです。つまり、今回のようにぶどう球菌が出てきても普通のことになります。毒ヘビの咬傷症例に関しては、抗毒素療法が先決で抗菌薬投与は後回しになる場合が多いようです。

事例の検討をしていると、担当した医師と指導医が調度他の症例の検討をしていました。指導医は『何で血液培養採ったんや?』と担当医に聞いたところ、『抗菌薬投与するのでその前に血液培養は採取しないといけないと思い・・・』と返答していました。一見バカらしい会話のように見えますが、抗菌薬投与前に培養を採取しないとという高尚な考えが認知されています。教育啓蒙・啓発活動として行っている成果として受け入れて貰えていることに感銘を受けました。結局表皮ぶどう球菌だったんですが。

結局、皮膚常在菌が皮膚消毒不足で混入したようです。うちはコンタミ率が非常に低いためそんなに問題はありません。今回は、皮膚が非常に荒れている患者さんだったとのこと。次は消毒についてもう少し啓蒙をしていきたいと思いました。コンタミは重罪です。

Photo ×1000

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コメント

師範手前様

血液培養臨床に大切さが浸透している成果がでるのは素晴らしいことですね、当院では感染対策委員会で必ずダブル採血と採血は指示医が採血と決まり2年程なりますがーなかなか提出数があがりません!散々抗生剤使用したあげく出すパターンいわゆるフオーカス不明で困りはてて出すことが多いです!若い医師にしっかり教えこむこと大切ですね。浸透するって大変なことです。

投稿: 小町 | 2010年7月18日 (日) 12時20分

 このサイトで以前、血液培養の大切さを教えていただいて、最近は外来診療で血液培養を採ることが時々あります。前は容器購入して、もし期限が切れても交換は不可、と、一般内科外来診療所にはチトきつい・・・でした。でも、その後の交渉で、交換もOKになりました。
 腎盂腎炎で高熱の人、肺炎で外来治療を開始する前にもしも入院になるときを考えて、など、治療開始前に採っておかないと後の祭・・・ということを考えて、痰や尿などの起炎菌推定をした検体の提出と、血液培養2セットを頑張っています。でも、いまだに血液培養陽性の人には引っかかっていません。混雑した外来の中で、血液培養を採らなければならないような患者さんを抱えると、結構プレッシャーですが。外来で治療開始前に採っておけば、いざ、状態が悪化していって入院をお願いせざるを得なくなった時も、情報が得られ次第FAXで入院先の担当医に知らせるような方法で行っています。
 昔っから良くみる、金と銀の色のボトルに採っているのですが、「こっちのほうが感度がいいよ。」というものがあればご教示いただければありがたいです。

投稿: 三省 | 2010年7月20日 (火) 22時12分

金のボトル(嫌気用)、銀のボトル(好気用)になるかと思います。稀な菌や嫌気菌、非発酵菌を標的にしなければ好気用2セット採取すれば良いんじゃ無いですかね?

投稿: 師範手前 | 2010年7月22日 (木) 12時19分

 このあたりよくわかっていないのですが、嫌気用2セットのみ採取した場合、好気性菌は嫌気ボトルにも生えて同定できるのですか?僕はてっきり、好気性菌は好気ボトルにしか、嫌気性菌は嫌気ボトルにしか生えないもの、と思っていました。

投稿: 三省 | 2010年7月22日 (木) 21時19分

好気性菌と俗称で言われている菌の多くは通性嫌気性菌といって、好気条件下でも嫌気条件下でも発育可能な菌です。代表的となものに腸内細菌、ブドウ球菌、レンサ球菌。なので嫌気性菌でなくても発育しますよ。緑膿菌は酸素濃度が多くないと発育しにくいので注意が要ります。嫌気性ボトルを寒天に分離したら発育することもありますよ。

投稿: 師範手前 | 2010年7月22日 (木) 23時33分

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