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2010年7月18日 (日)

お知らせ &エンテロバクターの話

20日は兵庫県臨床検査技師会微生物研修会で出稽古をします。暑いですが時間のある方は参加して下さい。出稽古はいつも研修会のはじめに開催しています。遅れないように。

今週は、ブログ内で結果が上手く反映出来ていない院内肺炎の話をします。

http://www.hamt.or.jp/gyouzi/link/EV2010/ev1007-P4P5.pdf

また、今週は日本臨床衛生検査技師会感染制御部門研修会が開催されます。実習は耐性菌(特にβ-ラクタマーゼ)をします。参加される方は頭をフル回転下さい。最後の感染症ケース・スタディーではインタラクティブな内容で企画しています。活発な討論お願いします。

http://www.jamt.or.jp/japan/h22/20100723-kansen.pdf

先週の医療薬学フォーラムで話した内容です。

恐らく薬剤師の皆さんは施設のAUD(患者1000人当たり1日に使用される抗菌薬の量)を算出されていると思います。AUDは施設間の抗菌薬の使用量を比較する上で非常に有効な指標です。しかし、同一施設内ではどうでしょうか?特に大きな患者層に変更がない限りバイアル数の変動=AUDの変動にはなるんでは無いでしょうか?

また、検査部より報告するのはアンチバイオグラムであり、ある一定期間(例えば3ヶ月、6ヶ月)に検出された主要な菌種の数やアンチバイオグラムは施設内のローカルデータとして初期抗菌薬の選択に重要です。

つまり、抗菌薬適正使用の原則論を話す上で薬剤師と臨床検査技師の協力は不可欠なもので、双方のメリットを活かしで、適正化を進めることで医療費削減の一助に繋げることが施設内にもたらすアウトカムになります。。PKPDで有名なWA.Craigは既に1978年の段階で効果について報告しております(Ann Inter Med 1978,793-795)。これってびっくりですよね。薬剤師さんは細菌検査室で作られる検査データの製作プロセスは是非知っておかれた方が良いものです

アンチバイオグラムは良く、緑膿菌のカルバペネム耐性率を監視する役目があることが知られていますが、エンテロバクター、シトロバクターなどの第3世代セフェム耐性菌群の感受性率の推移を見てセフェムの適正使用に用いることが出来ます。特にエンテロバクターは院内感染の要素が強く、ベビーからICUに入室する重症者まで幅広く検出される菌です。当院の3世代セフェム耐性率を見ましたが2006年と2009年を比較すると3世代セフェムの感受性率が30%も改善していました。適正化を進めている賜物であろうと先日の委員会にも報告をしました。CLSIでもエンテロバクターは3日おきに感受性を実施が推奨されています。β-ラクタマーゼは通常ampCを産生しますが、感受性のあるセフェム使用をした場合には大量産生株へ進行することがあるからです。(CMR,Apr. 1997, p. 220–241、CMR,Jan. 2009, p. 161–182)

写真は膿瘍から検出されたEnterobacter cloacaeです。小さめな桿菌ですが、培養で見ないと何とも言えない。緑膿菌とは明らかに違うので、そのコメントは有効かも知れませんが。グラム陰性桿菌の細かい菌を知らなければ太刀打ち難しいかも知れません。

Photo ×1000

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コメント

師範手前様

赤痢菌について教えていただきたいのですが、師範手前様の施設では赤痢菌を疑う菌が培養で出た場合、PCRなどもあわせて同定されてるのでしょうか?
自施設だけでなく他の施設での同定確認なども出されているのでしょうか?
赤痢菌と類似しているE.coli inactive との鑑別はどのようにされてるんでしょうか?
質問ばかりですみません。よろしくお願いいたします。

投稿: こたろう | 2010年7月21日 (水) 01時16分

こたろうさま

知っている範囲でお答えしますが。うちは市中病院なのであしからず。
赤痢菌を疑う菌が発育した場合は、普通の同定のみ行っています。同定は自動機器でしていますが、同定精度の問題で、TSI、LIM培地を追加しています。血清も置いているので血清型を当てることも多いです。通常PCRまではしていないと思います。PCRを実施する場合は行政検査として地方衛生研究所に出しています。行政検査になるので無料になります(場所によっても違うかもしれません)。
侵入性大腸菌との鑑別は難しく、市販の同定キットでは赤痢菌と誤同定されるケースが多いのは昔からの問題として上がります。
当院では他に鑑別性状として①運動性②ガス産生を指標にしています。稀に精査依頼がある場合にガス産生(または運動性+)の赤痢菌疑いが混じるからです。この性状では明らかに赤痢菌は否定されますので。しかし、ガス産生-、運動性-の条件下ではクリステンゼンのクエン酸培地で鑑別することがあります。一応粉培地で買い置きしています。クリステンゼンのクエン酸培地は大腸菌と赤痢菌を区別する良いアイテムになります。理由は同定キット(自動機器を含む)のクエン酸利用能はシモンズ処方で作成されているから区別が付きません。
患者背景もそうですが、疑いが強い場合はこのような詳細な同定をしながら報告するようにしていますがタイムリミットとして検体提出後48時間を目処に考えています。
また、CT-SMACに発育(分離頻度の高いsonneiは紅くなる)するので、たまに鑑別として読むことがあります。
行政では、血清型を再度行い、赤痢毒素、侵入性因子(invI)の検査もしてお上に報告しているようです。だったら早くに行政に回す方が効率的と思います。

投稿: 師範手前 | 2010年7月22日 (木) 18時47分

師範手前様

回答ありがとうございました。クリステンゼンのクエン酸培地早速準備するようにします。

ありがとうございます、大変参考になりました。

投稿: こたろう | 2010年7月25日 (日) 21時49分

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