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2010年6月18日 (金)

6月の出稽古

http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-cbed.html

先日の出稽古では、大腸穿孔(例えば虫垂炎など)時に得られるグラム染色像を題材にして、急ぐ報告について話をしました。

2つともさほど差が無く、polymicrobial patternが見られます。それぞれ、どのタイミングで出てきた検体かはグラム染色の像を見ただけでは判断出来ません。あるあるネタですが、腹水でこのような像を得られ、無菌材料だからと言って直ぐに報告した場合、『ああ、ありがとう』とありきたりの答えで返答されると、少しモチベーション下がりますよね。患者背景を調べた場合に大腸穿孔で入院し、直ぐに手術した時に採取した腹水と分かります。穿孔で採取した腹水なので、腸内容物のような像が見えるのは当たり前になります。培養すると多菌種発育する訳ですが、グラム染色で見えたままの結果が得られるとは限りません。

しかし、同様の像が得られる術後に発生した二次性腹膜炎(縫合不全や遺残膿瘍などが原因)の場合は、逆に非常に喜ばれることがあります。理由は術後の経過が悪いという現象が現場にあるからです。

結局、見分けは消化器外科で手術してどういう経過になっているか理解することです。

術後感染予防のためセフェムが使用される事例が多いと思いますが、腸球菌は自然耐性菌であることが知られています。術後に腸球菌による二次性腹膜炎を起こした場合の重症度は高く、死亡率こ上がるという報告は散見されます。

なので、二次性の場合は腸球菌を探し、短いレンサ球菌が見えた場合は報告を直ぐにする必要が出てきます。同様にセフェムに耐性のMRSAを思わせるブドウ球菌やカンジダなども同様です。腸内細菌が病原性が高く、それ自体問題にもなりますが、VCMの投入を考える陽性球菌や抗真菌薬の投与を検討するカンジダの存在は普段見ている像ですが重要になります。

Journal of Antimicrobial Chemotherapy (2002) 50, 569–576

Archive of Surgery 1985;120:57-63 

6 スライド①

Photo スライド②

Photo_2 スライド③

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コメント

 なるほど!とても解りやすいです。前回の題目は、よくわからず(全くどう答えを導いたら良いか見当が付かず・・・)何にもコメントできませんでした。よくわかりました。
 矢印のカンジダは、僕にはこれがカンジダだ、と、よう判別しません。何かコツか、特徴はあるのですか?思いっきり強くグラム陽性に染まる、ちょっと大きいもの、といったところですか?

投稿: 三省 | 2010年6月18日 (金) 14時02分

三省さま

かなり見てここしか無い場合はカンジダと言い難いですよね。複数見て同じ像かどうか確認するのが大事です。
この場合は左のブドウ球菌より大型なのでカンジダと考えます。

投稿: 師範手前 | 2010年6月18日 (金) 19時42分

師範手前様
昨日同じような事例に遭遇しました。
腹水が検体として提出され、塗抹で酵母様真菌とグラム陰性桿菌とグラム陽性桿菌が見られ、翌日、培養から腸内細菌とカンジダとコリネが発育してきました。そして腹水と同日に採取された血液培養が陽性となりグラム染色をしてみるとグラム陽性桿菌とカンジダがみとめられました。早急、主治医に電話して腹水の結果と血液培養の結果を報告しますと、腹水の検体は、小腸の穿孔が起きて腹水がたまっていておなかを開けてその時に採取したものであることを教えていただきました。主治医もいろいろ患者の状態について説明していただけました。
また、血液培養の結果から敗血症を起こしている考えられましたので、抗真菌薬とVCMの投与について検討していただくようおねがいしてみました。
この場合嫌気性菌のついてもフォロする必要があったのでしょうか?

投稿: 門前の小僧 | 2010年6月18日 (金) 23時20分

腹水は小腸穿孔時でしょうか?はたまた、小腸穿孔術後の感染でしょうか?それにより少し対応が変わります。穿孔時の血液培養ですが、ルチンでは不要だそうです。理由は優位菌しか判らないから。好気の陰性桿菌をキャッチするのは良いようですが。

投稿: 師範手前 | 2010年6月19日 (土) 01時53分

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