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2010年5月29日 (土)

微生物新人研修会

今年も兵庫県臨床検査技師会主催の微生物新人研修会をしています。3日間のコースですが、塗抹から培養・同定、感受性まで幅広くします。3日という過密スケジュールのために一部料理番組方式で進めないといけないのが受講者は理解が深めれないかも知れません。実習で勉強する意外にも、横の施設との繋がりをつける手段として重要ですし、他施設の状況を聞いて自分の施設でしている内容を検証出来る場でもあります。将来的にリスコミを進める良い研修会になればと思い、例年開催しています。

全国的に実習込みの研修会は大阪府と兵庫県だけのようですね。

過去の研修会模様

2007年の模様:http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_c910.html

今年の2日目の模様

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コメント

 培養の手技は、僕達医師はお願いすることはあっても、実際に自分でやってみるのはきわめて稀だと思います。
 培地にどのように生えるのか、どのように鑑別しているのか、とても興味があります。
 先日、百日咳菌の指定培養提出で、委託先で使用されている培地の話のやり取りになり、委託先の採用培地にも確認をしなければならないことを思いました。
 百日咳菌の培地としては、今現時点で特に選択性が高いものとしては、CSM培地だ、と理解していいのでしょうか?
 なんだかんだで、いっそのこと、自分で培養機材をそろえて、培養してしまおうか・・・なんて思ったときがありましたが、何だか難しそうですし、素人が手を出して大火傷をするのもなんなので、やはりプロにお願いしてお任せしたほうがいいな、と、今は思い直しています。
 でも、一度は培養しているところでどのような流れて検査をしているのか、見学させていただこう、と考えています。

投稿: 三省 | 2010年5月29日 (土) 14時52分

百日咳菌の検出は普通のボルデ・ジャング培地で差し支えありませんよ。特別な事は要りませんが、鮮度が一番大切です。
外注先へ出すのは目的菌を表示したらそれしか培養しない場合があります。契約内容などを確認されるのは良いことと思います。何でも製品と一緒でプロセスが大事です。

投稿: 師範手前 | 2010年5月29日 (土) 15時17分

 鮮度、ということは、究極的には採取した検体をそのまま培地に塗布する、と言うことでしょうか?
 外部委託先に提出するのに、どうしてもスワブにて提出します、その時のスワブスピッツ内の培地にチャコールが入っていますが、色々見ていたら、百日咳菌に関しては菌の保持性がよろしくないようなことを書いているのを目にしました。しかし、外部委託先に提出するにはこの方法しかないなあ、と悩んでいるところです。

投稿: 三省 | 2010年5月30日 (日) 23時52分

百日咳は非常に発育要求が悪く、培養はベッドサイドに培地を持って行き、寒天に咳払いしてもらうか、綿棒で直ぐに塗布するようです。外部委託の場合は運搬が入りますのでやや感度が落ちるのはやむを得ない事になります。似たような例は嫌気性菌もあります。なので綿棒の検討は悪くなるような結論が多いと思います。結局、落としどころはどこか?と言うことです。

投稿: 師範手前 | 2010年5月31日 (月) 12時03分

いつも勉強意見させていただいています。今回は新人研修とは関係ありませんが、質問させていただきたいことがありまして、この場をおかりします。(私も新人です)。肺炎球菌についてなのですが、先日、血液培養から肺炎球菌が検出されました。ディスク法ではMPIPC耐性です。同時にマクロライド、キノロンも耐性とででおり、LZDは感受性でした。主治医にはPRSPの可能性があることと、感受性の結果を伝え、外注にてMICを確認した所、外注先からはPISPとの報告をうけました。ここで、質問ですが、マクロライド、キノロンに耐性となれば、多剤耐性となるのでしょうか。PISPなので多剤耐性にはならないのでしょうか。患者は39度の熱発がありましたが、現在は発熱もおさまったとのことです。抗菌薬はCTMを使用されています。私がびくびくしているような耐性菌ではないのでしょうか。よろしくお願いいたします。

投稿: 2年目 | 2010年5月31日 (月) 16時38分

2年目さま
2年目なのに高度な質問ですね。かなり熱心に突っ込んで仕事している風景が感じられます。
質問について何点か解説しますが。
①ディスク法ではMPIPC耐性です。
ご存知の通り、ディスク法でMPIPCを測定した場合感受性は分かりますが耐性かどうかは分からないのでPCGのMIC測定になります。
②マクロライド、キノロンに耐性
それぞれ違う機序による耐性かも知れません。ちなみにCLDMはどうだったのでしょうか?耐性であればermやmefの同時変異が考えられます。キノロン耐性はgyrやparCの変異が考えられます。qnrの存在ですが、この表現型では分かりません。このような菌は珍しくはありませんが、小児患者ではキノロン耐性になり難いのが特徴なので年齢と合わせて判断して頂ければと思います。
③CTMのこと
ペニシリン耐性はPBPの変異に関与しますが、pbp2xだけの変異の場合はPCGが感受性になり、PSSPとなります。ただし、その場合PBPの変異があり、セフェムの抗菌活性が下がることが知られています。CTXやCTRXのMICが0.5付近にある場合はその可能性がありますので、セフェムを使用した場合に治療が失敗するという事例報告も少しあります。患者の重症度によりますが、髄膜炎など合併している場合はカルバペネムを勿体ぶらずに使うのも手です。

などです。当院で話があった場合に話している内容はこれくらいですが、PCGの耐性カテゴリーですが、委託したところでは何を見てPISPとされていますか?CLSIで非髄膜炎の注射用剤のカテゴリーであれば最善ですが。

投稿: 師範手前 | 2010年5月31日 (月) 19時52分

早速の回答ありがとうございます。細菌検査担当者が退職され、引き継ぎ、肺炎球菌が血液培養からというのも初めての経験でして、おまけにいつもと異なる感受性でしたのでおどおどしている状態です。医師のもとにでむくことにも慣れておらず、しどろもどろで耐性があるみたいで・・・・と。さて患者は75歳の方です。CLDMは院内でも委託先でも耐性でした。PISPと結果がきただけでしたので、MICを尋ねたところCLSIの I 判定の範囲の数値をおしえていただいただけで、はっきりとした数値はおしえてもらってません。今回のような場合(マクロライド、キノロン、CLDM耐性)、MICの値がCLSIの非髄膜炎のカテゴリ-のI判定とした時にはセフェム系の感受性はディスクの判定S,Rをそのまま判定していいいということになりますか。そこもMICの値が必要となりますか?。すみません、やはり2年目です・・・まだまだです・・・。

投稿: | 2010年5月31日 (月) 22時19分

きっちりされるのであれば耐性遺伝子を参考にするのが良いです。CLSIにはPCG感受性であればセフェムも感受性だろうという見解です。ここは前述の回答と少し乖離します。米国の分離株と日本の分離株の傾向にも関わってきます。カルバペネムも同じことが言えるので、妥当な線はCTRXもMEPMもMICを測定することでしょう。MIC測定は髄膜炎の場合は必須ですが感染症に不慣れな場合はMICの結果を参照する方が良いかと思います。CTMの場合は肺炎球菌が該当しないので何とも言えません。CTXかCTRXへスイッチするのも一つの案でしょう。この分離株の場合はPISPなのでディスクの結果は参考値になるのでしょうね。
臨床医と話すには物怖じしないことが肝要です。知らない結果は知らないと言う勇気は大切です。ただし、調べてまた報告しますという姿勢が大切です。特に英文の解読は効果的です。頑張ってください。ローマは1日にして成らず。

投稿: 師範手前 | 2010年5月31日 (月) 23時22分

こんばんわ。偶然このサイトを見つけました。ひとつ質問があります。今日あるドクターに昨日外注に出した喀痰のとまつキョウケンの結果がかえってきたので連絡しました。それはグラム陰性桿菌3+あとのグラム陰性球菌、グラム陽性桿菌等はなしでした。そうしたらそのドクターが私に「何の菌やと思う?」と聞いてこられました。私はとっさに喀痰でグラム陰性桿菌だとクレブシエラでしょうかね?なんて答えました。勝手にこたえていいものでしょうか?臨床症状とかもだいじですよね?ちなみにそのドクターはいつも突然いろんなことをきいてこられるので技師泣かせですが勉強になるなと思っています。これからもこのサイト楽しみにしています。よろしくお願いします。

投稿: まさよしこ | 2010年6月 1日 (火) 22時23分

まさよしこ様 初のコメントありがとうございます。

グラム染色でグラム陰性桿菌のみ検出され菌量が3+であるという報告ということで宜しいでしょうか?
この事象を検証していきますが
 喀痰+グラム陰性桿菌=肺炎桿菌 というのは短絡的な考えになります。インフルエンザ菌もグラム陰性桿菌、緑膿菌もグラム陰性桿菌、大腸菌もグラム陰性桿菌などなどだからです。
 市中肺炎を疑いグラム陰性桿菌しか見えない場合はインフルエンザ菌が最も多く、次いで肺炎桿菌になります。しかし、悪性腫瘍などの基礎疾患があり入退院を繰り返す、緑膿菌の履歴がある、入院患者である、90日以上の抗菌薬の投与暦があるなどの要素がある場合は前述の考えが当てはまらない場合があります。つまり、市中肺炎の要素に少しでも違う要素が入ってきた場合は考え方がことなることです。加えて、臨床ではレントゲン所見などから推定する起炎菌を考え喀痰を提出します。診療の基本となる場合のグラム染色の本質は抗菌薬の選択をどうするか?です。それは菌種により少し使い分けが可能だからです。
臨床医にどうして喀痰を出したか、何を(何菌)を考えているのかなどを聞くことは今後の検査結果を左右する要素になります。
非常に検査室に興味がある医師がいらっしゃるようで何よりですが、医師も検査室に来た目的を聞いてみるのも良いコミュニケーションを採る上で必要です。
もう一つは外注業者でも良いので3+は何菌か特徴のある所見がありますか?など聞いても良いかも知れません。有用な情報が無ければ今後院内でグラム染色だけは実施する方が良いでしょうね。
こんな答えでどうでしょうか?

投稿: 師範手前 | 2010年6月 2日 (水) 01時33分

師範手前さま
お返事ありがとうございます。大変参考になりました。院内でグラム染色していますがその患者さんのは院内にはまわってこずに外注に出されたようです。これからはドクターに検査に出した目的なども聞いてみようとおもいます。
ちなみに私は兵庫県の会員です。微生物研修会にまたおじゃまします。よろしくおねがいします。

投稿: まさよしこ | 2010年6月 3日 (木) 17時29分

まさよしこ 様 失礼しました。院内で実施されていましたか。良いことですね。医師に意見を聞くことはお互いの齟齬が少なくなるために良いことと思います。特に病院で働いているのですから。研修会ですが毎月第3火曜に開催します。お忙しいと思いますが時間が許す限りご参加下さい。本ブログの番外編もしていますので。

投稿: 師範手前 | 2010年6月 3日 (木) 18時22分

百日咳ですかー三省様は医師だったんですかーなんと頭が下がります、世の中には熱心な方もいるのですね!みなが三省様のような方ならば日本の感染症もすごいことになると思います!師範手前様
今回の研修会参加させて頂きます。

投稿: 小町 | 2010年6月 5日 (土) 21時06分

小町さま
>師範手前様 今回の研修会参加させて頂きます。
宜しくお願いします。医学検査に掲載してまもなく怒涛のような申し込みが続き、とうとう先週、キャンセル待ちになりました。研修会開催しても人数集めに大変だったのですが、今回は開催前に盛況のようです。当日宜しくお願いします。時間外にグラム染色について話出来れば・・・。

投稿: 師範手前 | 2010年6月 5日 (土) 23時58分

こんにちわ。先日よりアドバイスいただいてるまさよしこです。同定の結果が返ってきました。大腸菌でした。ドクターに報告がてらに詳細を聞きましたらお年寄りなので嚥下性肺炎をくりかえしているとのこと。今まで外注検査の結果などあまり興味をもってみていませんでしたがこれから注意して結果を追いかけていきたいと思います。ちなみにそのKドクターは昨日「便潜血反応の1+はどういうことなん?」とわざわざ検査室までこられました。がんばるのみです(汗)

投稿: まさよしこ | 2010年6月 8日 (火) 15時34分

まさよしこ 様 
それは良かったです。CTXまたはCTRXは耐性では無かったでしょうか?その場合はESBLという耐性菌のため接触感染対策が必要かも知れません。臨床医と話するとどうして良いのか方向性が定まりますので大切です。

しかし、
>「便潜血反応の1+はどういうことなん?」
とはこれくらい勉強して欲しいですが、Hbを測っているのかどうかを私も看護師さんに説明することもあります。
万能型の臨床検査技師に成りたいとは思っています。

投稿: 師範手前 | 2010年6月 8日 (火) 19時34分

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