工夫
ある文献に週末にコンサルトを貰う症例は死亡率が高くなるという記事が記載されていました。確かに・・・と思うのですが数値化していないので何となくそうかなと思っていたくらいです。
週末は検査部も休日体制となり、緊急検査を中心に検査することになります。病棟も医師もオンコール体制となり、バックアップする以外にも感染症症例の場合迷っても相談する機会が少ないのも原因になるのでしょうか。
検査も少し工夫をします。早く結果を返したい一心もあります。当院は非常に薬剤耐性菌が少なく、初期治療の抗菌薬もそれほど迷うこともありません。知りたいのは菌種が中心となります。
先日、発熱性好中球減少症の患者で血液培養陽性になりました。血液培養は2セットとも陽性で、ガスを多量に産生していました。グラム染色をする前に肺炎桿菌やろか?と予測出来、早速染色を見ました。グラム陰性桿菌でやや短い太い。肺炎桿菌と推測され報告すると主治医から『肺炎桿菌ですか?』と予想外のコメントを。主治医も調度今後の治療方針など確認していたのでしょう。
グラム染色所見をCPU上で報告したのをリアルタイムで見ていたようです。FNのためCFPM投与中であり、ESBLかどうか早く報告しますとサブカルチャーを工夫して2枚塗布しました。ディスクはCPDXです。
一応、当院では報告時に主治医が聞いてくる内容、今後必要とされる追加検査、合併症など考えて報告する場合が多いです。それだけの貢献をしている証拠として励みにしています。
工夫って、日常の培養検査の応用なんですがね。迅速の感受性パネルも購入を検討することもありますが、結果を今一信用仕切れません。
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コメント
師範手前さま
休日の細菌検査の体制については、ちまたでは24時間体制という声もずいぶん聞こえておりますが、当院ではいまだなっておりません。そうするのがベストなのは分っていますが、難しい問題です・・・。グラム染色も至急の場合はオンコールどなっております。他の施設では、休日担当者はみんなグラム染色を見れるように訓練しているのでしょうか?
そんな中、少しでも早く結果報告できるように多少は工夫をしています。写真は培養と同時に直接ディスクを使ってのESBLスクリーニングですが、当院では、血培+の場合、グラム染色、培養と同時に採血用試験管にて遠心後、菌液を作成し直接パネルに仕込んで翌日判定しております。ごく少量の血球成分などが混入することがありますので、もう一度確認は必要ですが、けっこう使えます。ただ、コストを考えると厳しいですが・・・
師範手前さまは、やはりコストの面からディスクにしているのでしょうか?
投稿: 指導員手前 | 2010年4月28日 (水) 14時57分
指導員手前さま
いつもコメントありがとうございます。
当院は当直体制を敷いているので24時間体制と言えばそうです。普段の感染対策の一環で夜間まで対応していますが、夜中は研修医任せなところもあります。実際担当者によって実施していない方も多いとは思いますが、止む無く急ぐ場合はオンコール対応で1時間以内に検査結果を出すことにしてます。
当院は直接感受性検査は実施していません。あくまで参考値としか捉えられないのとMICを測ると高価なので。
参考値で良ければディスクを置いて阻止円を測定するのも悪く無いと思い実施してます。寒天も普通のものを使用しています。
ブロードな抗菌薬であれば不要かも知れませんが、現行で使用している抗菌薬を見て必要であれば写真のように培地に置きます。グラム染色で腸内細菌を疑う場合はCPDXを置く事が多いですが、特異度は低いですが感度の高い薬剤と思いこれを選択しています。CAZでも良いですがCTX-M型の場合は見落としするかも知れませんので。
これもローカルデータでESBLの出現率が低い背景によりますが、多い施設では培養液からESBLスクリーニング検査を仮試験で実施するのも必要では無いかなと思います。
投稿: 師範手前 | 2010年4月28日 (水) 21時53分