先日の
先日の推測していますか?という投げかけに関してコメントを色々頂きました。
http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-f70e.html
簡単に説明するとグラム染色を見て『何を考えているか?』です。
通常は、
①適当な材料を採取し、臓器特異性のある起炎菌を探す
②初期治療の抗菌薬を適切に投与するため
③感染巣を推定する
などでしょう。
今回は血液培養より菌を検出して、グラム染色を実施しましたが、血液培養は上記の①~③を目的にしています。
血液培養のグラム染色をした時は、他に病原検索に必要な材料が出ていてグラム染色(または培養)で何が出ているか同時に確認することが重要です。
『血液培養からグラム陰性桿菌が出ています。』と報告して、『フォーカスは何処なんやろ?』と呟かれた場合に、
『何か疑われていることがあるんですか?』とか、『尿から同じような菌が見えています。培養で大腸菌様の検出があるので、尿路感染はどうなんですか?』とか会話が広がります。
会話の中には患者の重症度や初期治療の抗菌薬情報など仕入れる機会もあります。臨床医も出した検体の簡単な中間情報も聞け治療の方向性なども少し見えてくることでしょう。今回の症例の大きなポイントは血液培養を提出した医師と血液培養が陽性になって診察した医師が違うことです。似たような事例では、救急にかかる病院とかかりつけ医は違うことなどです。
フォーカスが不明ですが、血液培養から一方に卵型の芽胞があるグラム陰性桿菌+腸内細菌と思われるグラム陰性桿菌+染色性がやや悪いレンサ球菌が確認出来ます。記載していませんが、グラム陰性桿菌だけは好気ボトルと嫌気ボトルの両方から染色で確認されています。以上のことから感染のフォーカスは横隔膜下の臓器と推測出来ます。
今回は、上手く情報伝達が繋がり、腸に憩室が見つかり直ぐに対応することになりました。
加えて、私は染色結果報告時に、血液培養から検出されている菌にスペクトルを有する抗菌薬の情報を伝えることが出来るかどうか考えます。芽胞菌はClostridiumが疑われていますが、C. perfringesやC. difficileなどのメジャーな菌以外が出ている場合は芽胞の特徴から推定出来る菌種があるので、その情報と必要なら詳しい菌の情報に加え、抗菌薬の感受性率です。感受性結果が判明するまで何日かかるかの情報も加えるのも良いでしょう。
総合的にまとめると、染色結果を報告する場合には下記のようになりました。簡単に短時間に情報を詰め込む技術も必要ですね。
| 固定リンク
「背景など病態把握」カテゴリの記事
- 喀痰のRejection Criteriaについて(2017.12.26)
- そうです、ただ見るだけでは無いんです(2017.04.18)
- 喀痰グラム染色を斬る その2 肺膿瘍とグラム染色像(2017.03.01)
- 喀痰グラム染色を斬る その1(2017.01.25)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
師範手前 様
推測していますか?の問いに、推測していますと答えたいのですが、推測の仕方がまだまだ足りないようです。
今回、フォーカスはどこか、原因菌は何かまでは推測できたのですが、抗菌薬まではできませんでした。日常的に遭遇する菌ならそこまでいけるのですが、めったにお目にかからないような菌についての推奨抗菌薬までは頭がついてきませんでした。
まだまだ未熟のようです・・・
投稿: 指導員手前 | 2010年4月 5日 (月) 17時19分