誰かご教授を
先日、『これ、何ですか?』と聞かれた。
材料は喀痰です。強拡大をすると螺旋桿菌です。
Campylobacter spp?にしては太い気がするが、便で見える像とは異なるのでしょうか。
もしかして、Helicobacter pylori?でしょうか。
では、胃液の逆流など考えないといけません。患者背景を見ると脳出血のopeで入院のようです。吐き気もあり逆流性誤嚥でもしたかもしれません。誤嚥像が無いか探しました。弱拡大で見えますが、蛋白変性物に混じり、カンジダが多数あります。上気道の喀痰にしては背景が黒いので、消化液の誤嚥はないでしょうか?とコメント付けました。
このような螺旋桿菌を見た方意見下さい。
やっぱりピロリ菌でしょうかね?
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コメント
Brachyspirosisはいかがでしょうか
投稿: | 2010年4月17日 (土) 14時04分
他のHelicobacter属かもしれませんね。Helicobacter cinaediとか。
が、お医者さん的に気になるのは、肺感染症としての病原性のありやなしや、それから感受性がどうか、です。でもそれだと科学者失格ですね。
投稿: 勤ノ字 | 2010年4月18日 (日) 00時20分
講演会で最近よく紹介しますが、Campylobacter属菌には腸管系だけでなく、気道系に存在するものがあり、とくにC.rectusは膿胸の起炎菌として分離されたケースがあります。ただ、このC.rectusは嫌気性菌のため、嫌気培養した培地にらせん菌がいて、同定不能で私に解析依頼してくることがありました。その他に、C.gracilisや昭和大学の名前が種形容語になっている、C.showaeも嫌気性のらせん菌です。以前はBacteroides属あるいはこの類縁属で移籍された経緯があると申し上げれば、なるほど、思ってもらえるでしょうか?
よって、鏡検でかなりの菌量存在するようですので抗菌薬の先行投与がなく、微好気培養や炭酸ガス培養で発育を認めない場合には、上記のC.rectusの可能性が高くなります。嫌気培養を併用しておくのもいいかと思います。
ちなみに、Brachyspira属の菌は、らせん菌というよりスピロヘータ様で菌体がながく、らせんの巻き数も多いかと思います。
H.cinaediは100ケースほど解析を行ってきましたが、様々な病態に関与していますが、気道系の感染がまだ経験がありません。患者の基礎疾患や動物との接触歴によって、ないとはいえませんが、H.cinaediは腸管系に存在するので、気道系の感染がかなり稀だと思いますし、同じくH.cinaediはもう少し菌体が長いです。今回の菌体の2倍くらいの長さが一般的です。
投稿: Kiyo | 2010年4月18日 (日) 15時16分
先ほどのコメントで書き忘れたことがあります。患者さんの背景で歯周病、口腔内のケアが悪い、誤嚥する可能性がある、などがわかると、もうすこし菌種を絞りこみできるかと思います。これらを満たすし、通常の環境下で発育してこない場合には、さらにC.rectusが想定されます。
投稿: Kiyo | 2010年4月18日 (日) 15時39分
皆様 ご教授ありがとうございます。
スピロヘータですが、螺旋の回数や菌の太さなどから大体違うのでは・・と思ってます。
ヘリコバクター シナジーですが、もう少し細いように思いますが血液培養以外から見たことが無いので。
キャンピロバクター・グラシリスでは無いか?と思っていますが、最終的に確定出来ないこと、口腔内にもピロリは居るし、胃液の逆流があればどうなんだと思い。
一応、微好気培養は開始しましたが、発育する菌かどうかもわかりませんので、グラム染色の結果は考えることだと思いました。
でも起炎菌とも限りませんがね。
投稿: 師範手前 | 2010年4月19日 (月) 07時11分
喀痰から直接の菌種の同定は可能です。今回のケースでは、キャンピロ、ヘリコ、アーコバクター属全般を共通に増幅するプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物が得られれば、シークエンス解析によって菌種を確定できます。もし、培養で発育しなくて(おそらく嫌気培養が必要)、起炎菌として菌種を確定したい場合には連絡してもらえればと思います。
投稿: Kiyo | 2010年4月19日 (月) 09時20分
そうですか・・・どうしましょう。
仕事を増やすだけですし。でも以前口腔内のスピロヘータで7種出てきたことを想像すると良いのでしょうかね。
一度患者背景と詰めてみます。
個人の興味と患者の菌同定を混同しては行けないものと考えています。少し特殊かも知れませんが。人間、興味から学識が広がりますが。でも、肺炎起こしていればジャーナルに投稿出来ますよね。
投稿: 師範手前 | 2010年4月19日 (月) 19時06分
kiyo さま
大変勉強になりました。
以前、同じように喀痰でラセン状桿菌を認めましたが、結局なにかわからないまま終わってしまったことがありましたが、今回の説明ですこし納得できました。
Brachyspira属でもなく、H.cinaediとも違うとは思っていたのですが、培養もできずにわからずじまいでした。今度遭遇したら、嫌気培養もしてみようと思います。
投稿: 指導員手前 | 2010年4月19日 (月) 23時45分