« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »

2010年4月29日 (木)

グラム染色で確認し難いもの

グラム染色で確認し難い細菌は色々あります。

結核菌をはじめとする抗酸菌とアスペルギルスをはじめとする糸状菌は他の塗抹染色法で検出します。

先日、喀痰の目的菌がアスペルギルスで、汚い膿性痰でした。

外来で抗真菌薬の投与もされています。こうなると培養で発育しないことも。真菌の培養は難しいです。頼みの綱は塗抹染色で、今回はグラム染色を見ても探し当てることが出来ず、蛍光染色(ファンギフローラY)に頼る事に。実施したらやはり確認出来ました。隔壁や細胞壁がキレイに染まっています。分岐部の両側に隔壁も確認出来て、形状よりアスペルギルスが推測されます。

注)この染色は接合糸菌は染色されません。

Aspergillus ×500

| | コメント (3)

2010年4月27日 (火)

右から左へ聞き流し(休憩です)

最近はエビデンスを主体とした感染症や院内感染対策の教育啓蒙が学会、セミナーや院内教育まで幅広く使われるようになってきた。私が臨床微生物学に携わり始めた15年前にはあまり聞かなかった(私だけ?)ことです。

また、各種ガイドラインも日本に導入された経緯など、良く判らない範囲も多いと思います。最近、私も関わらせて頂きましたが、感染症関連の出版物にエビデンスやガイドラインの読み方なるものが出てきて、初心者にも分かりやすく解説されています。英語が苦手だなと思うかたも一度ご覧下さい。

なるほどと思うことも多いですが、この本を参考に違う視点で考察した著書を検討することも大切です。検証には必ず反証が伴うことがあるので、しっかりその根拠を評価することが大切です。また、自分の周辺にも同じ現象が落ちています。その検証をすることも必要ですし、細菌のデータは是非検査室を活用して下さい。

Size4 臨床ですぐ使える感染対策エビデンス集+現場活用術(メディカ出版)

Ref1269827269_200 感染症診療ガイドライン総まとめ (総合医学社)

この本は関わっていませんが、面白い内容が多いです。

L_704 感染症診療のエビデンス(文光堂)

| | コメント (0)

2010年4月26日 (月)

工夫

ある文献に週末にコンサルトを貰う症例は死亡率が高くなるという記事が記載されていました。確かに・・・と思うのですが数値化していないので何となくそうかなと思っていたくらいです。

週末は検査部も休日体制となり、緊急検査を中心に検査することになります。病棟も医師もオンコール体制となり、バックアップする以外にも感染症症例の場合迷っても相談する機会が少ないのも原因になるのでしょうか。

検査も少し工夫をします。早く結果を返したい一心もあります。当院は非常に薬剤耐性菌が少なく、初期治療の抗菌薬もそれほど迷うこともありません。知りたいのは菌種が中心となります。

先日、発熱性好中球減少症の患者で血液培養陽性になりました。血液培養は2セットとも陽性で、ガスを多量に産生していました。グラム染色をする前に肺炎桿菌やろか?と予測出来、早速染色を見ました。グラム陰性桿菌でやや短い太い。肺炎桿菌と推測され報告すると主治医から『肺炎桿菌ですか?』と予想外のコメントを。主治医も調度今後の治療方針など確認していたのでしょう。

グラム染色所見をCPU上で報告したのをリアルタイムで見ていたようです。FNのためCFPM投与中であり、ESBLかどうか早く報告しますとサブカルチャーを工夫して2枚塗布しました。ディスクはCPDXです。

一応、当院では報告時に主治医が聞いてくる内容、今後必要とされる追加検査、合併症など考えて報告する場合が多いです。それだけの貢献をしている証拠として励みにしています。

工夫って、日常の培養検査の応用なんですがね。迅速の感受性パネルも購入を検討することもありますが、結果を今一信用仕切れません。

Photo ×1000Dsc01473 左(CPDX追加)右(なし)同じ菌株です。

| | コメント (2)

2010年4月23日 (金)

こういうの

今度は化膿性関節炎です。こんなのが見えました。

やはり大事なのはグラム染色です。

化膿性関節炎を疑う場合ですが、empricに抗菌薬を入れるのは良くあることですが問題です。

症状ありきですが、バイタルに影響が無い場合も多いと思います。外来でもグラム染色くらい待てる時間が多い状況が多いので、やはりグラム染色をして、起炎菌を推定して、抗菌薬を選択することが大切です。

問題なのは菌種と耐性菌です。殆どがブドウ球菌によるものですが、グラム陰性桿菌だったらどうでしょう、見た甲斐がありますね。また、患者背景を考えた場合に耐性菌かどうか判断する材料が増えます。どれだけものに出来るかになります。MRSAなどは外来で治療するに当たり経口抗菌薬の選択幅も狭いのが微妙です。

『何か分かれば教えて下さい』とコメント入っていることもありませんか?

Photo ×1000

| | コメント (4)

2010年4月21日 (水)

コメントどうですか?

関節液でこういうのが見えます。

当然、化膿性関節炎を疑って提出されている訳で、まず菌の有無を確認します。

菌が見えない場合にそのまま終了しますか?また、結晶成を分を探し報告していますか?

臨床検査と言っても、どの部門で詳しい検査をしてくれているか意外に知られていないことが多く、当院は細菌検査の所見で確認しているそうです。

この症例はピロリン酸塩であり偽通風を疑う訳で。

どの部門で検査しているか確認していない場合は、やはりコメントを残すことは付加価値を高めすよね。

1

| | コメント (3)

2010年4月17日 (土)

誰かご教授を

先日、『これ、何ですか?』と聞かれた。

材料は喀痰です。強拡大をすると螺旋桿菌です。

Campylobacter spp?にしては太い気がするが、便で見える像とは異なるのでしょうか。

もしかして、Helicobacter pylori?でしょうか。

では、胃液の逆流など考えないといけません。患者背景を見ると脳出血のopeで入院のようです。吐き気もあり逆流性誤嚥でもしたかもしれません。誤嚥像が無いか探しました。弱拡大で見えますが、蛋白変性物に混じり、カンジダが多数あります。上気道の喀痰にしては背景が黒いので、消化液の誤嚥はないでしょうか?とコメント付けました。

このような螺旋桿菌を見た方意見下さい。

やっぱりピロリ菌でしょうかね?

Photo ×1000Photo_2 ×200

| | コメント (8)

2010年4月13日 (火)

では、もう少し難しいかも

こんな症例ではどうでしょうか?

脳神経疾患の再術後、入院時の鼻腔分泌物からMRSAが検出されています。痰量の増量を認め、微熱が続きます。胸部レントゲン所見では下肺野にやや陰影がある。白血球は正常値ですが、CRPは3.0です。

主治医からコメントを求められ・・・。

グラム染色は下記のようになりました。

2 ①×1000Photo ②×1000

| | コメント (3)

2010年4月 8日 (木)

難しい?グラム染色所見

免疫能が下がった人、慢性の誤嚥性肺炎が続く人、菌交代症などなど、膿性の喀痰が採取された時に見えるグラム陽性桿菌。中でもこんな菌は良く見えますよね。

形状的には特徴的であっても複雑なのは病原性と薬剤感受性(初期治療の抗菌薬選択)です。グラム染色は、起炎菌かどうかの判断に加え、菌種が特定出来る情報が得られることが重宝される理由の一つでもあるのでしょう。薬剤感受性は抗菌薬投与下では凡そ推測(というか耐性菌か判るかも)出来ますが、細かい感受性は同定や感受性成績を見ないと何とも言えませんね。

でも、そういう時にも種が判らなくても、属レベルでの報告が必要な症例もあります。

下記のスメアは重症肺炎経過中に採取された喀痰スメアです。経過中に呼吸状態が悪化したとかで・・・。

どうなんでしょうか?どう報告していますか?

Photo ×1000

| | コメント (7)

2010年4月 4日 (日)

先日の

先日の推測していますか?という投げかけに関してコメントを色々頂きました。

http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-f70e.html

簡単に説明するとグラム染色を見て『何を考えているか?』です。

通常は、

①適当な材料を採取し、臓器特異性のある起炎菌を探す

②初期治療の抗菌薬を適切に投与するため

③感染巣を推定する

などでしょう。

今回は血液培養より菌を検出して、グラム染色を実施しましたが、血液培養は上記の①~③を目的にしています。

血液培養のグラム染色をした時は、他に病原検索に必要な材料が出ていてグラム染色(または培養)で何が出ているか同時に確認することが重要です。

『血液培養からグラム陰性桿菌が出ています。』と報告して、『フォーカスは何処なんやろ?』と呟かれた場合に、

『何か疑われていることがあるんですか?』とか、『尿から同じような菌が見えています。培養で大腸菌様の検出があるので、尿路感染はどうなんですか?』とか会話が広がります。

会話の中には患者の重症度や初期治療の抗菌薬情報など仕入れる機会もあります。臨床医も出した検体の簡単な中間情報も聞け治療の方向性なども少し見えてくることでしょう。今回の症例の大きなポイントは血液培養を提出した医師と血液培養が陽性になって診察した医師が違うことです。似たような事例では、救急にかかる病院とかかりつけ医は違うことなどです。

フォーカスが不明ですが、血液培養から一方に卵型の芽胞があるグラム陰性桿菌+腸内細菌と思われるグラム陰性桿菌+染色性がやや悪いレンサ球菌が確認出来ます。記載していませんが、グラム陰性桿菌だけは好気ボトルと嫌気ボトルの両方から染色で確認されています。以上のことから感染のフォーカスは横隔膜下の臓器と推測出来ます。

今回は、上手く情報伝達が繋がり、腸に憩室が見つかり直ぐに対応することになりました。

加えて、私は染色結果報告時に、血液培養から検出されている菌にスペクトルを有する抗菌薬の情報を伝えることが出来るかどうか考えます。芽胞菌はClostridiumが疑われていますが、C. perfringesやC. difficileなどのメジャーな菌以外が出ている場合は芽胞の特徴から推定出来る菌種があるので、その情報と必要なら詳しい菌の情報に加え、抗菌薬の感受性率です。感受性結果が判明するまで何日かかるかの情報も加えるのも良いでしょう。

総合的にまとめると、染色結果を報告する場合には下記のようになりました。簡単に短時間に情報を詰め込む技術も必要ですね。

Photo 

| | コメント (1)

« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »